襲撃の爪痕
8話です。どうぞ!
俺は気がつけば何処までも続く荒野にいた。
(ここは...何処だ...?)
(俺は一体...何を...?)
「お兄ちゃん!」と後ろから声を掛けられ振り向くとシオがいた。
「シオどうしてこんな所に?」
「お兄ちゃん。私ね。生まれ変わるんだよ。新しい生物としてね!」
「生まれ...かわる?シオ...一体何を言って•••」
そう言った直後シオの体がスヴァールクスの化け物に変化していく。突然の出来事に俺は悲鳴をあげる。そして気がつけばベットの上にいた。雰囲気から察するに何処かの病院に見える。
「ゆ、夢か良かった...」
(いや、良くはない。だってシオは俺の...目の前で...)
あの時の事を鮮明に思い出し悔やんでも悔やみきれない気持ちになる。なぜあの時動けなかったのか。助けることが出来たのではないかとやり場のない怒りが込み上げて来ていた。
その時、病室の扉が開き看護師が入ってくる。
「クドウさん!意識が戻ったんですね!」
「え?あ、はい...なんとか...」
「少々お待ちください。今お医者さんを呼んできますから」
そうして暫くすると、医者らしき男とスーツ姿の怪しげな人物が部屋に入って来た。
「えーと、クドウ リュウキ君だね。私があなたの担当医のグルノーです。よろしくね。早速だけど今何か体の違和感とかあれば何でもいいから教えて欲しいんだ」
そうして簡単な問診を行うも特に問題なく終了した。
「よし、とりあえずは問題無さそうだね。でも暫くは様子を見るから、あと数日は入院してもらうよ。
それでも異常がなかったら退院していいからね」
「はい...ありがとうございます」
問診中の俺はシオのことが頭から離れなかった。
「...私からは以上だけど何か質問はあるかな?」
「あ、はい大丈夫です」
「それじゃあこちらの方が君に用があるみたいなんだ。私はこれで失礼するよ」
そう言ってグルノーさんは出ていき変わりにスーツ姿の男性が口を開く。
「クドウ リュウキ君だね。我々は君にエリディアンについて話を聞くために政府より派遣されてきた。アトマス アデルフェアと言います。早速だけど、初めての地球外生命体との接触で政府側も混乱していてね。その対応の参考にする為に初めて接触した君に話を聞かせてもらいたいんだ。良いかな?」
「はい...俺の分かることであれば...」
そうして俺はアラデスク達の事、シオが攫われた事を全て話した。
「シオが攫われたからは記憶が無くて...そこからは気がつけばここにいました」
「なるほど...彼らは本当に人類と手を取り合う為に来たと見て良さそうだな」
「あの、俺が意識を失っている間に一体何があったんですか?」
「ああ...我々人類側はそのスヴァールクスとやらと交戦を続けていたのだが突如として彼らは撤退していったんだ。我々としては好都合だったがね。そうして程なくエリディアンと名乗る種族が我々に接触してきてね。手を取り合い共にスヴァールクスと戦おうと提案してきたんだ。その時、君の身柄も引き渡されたんだ。後日返事を伝えると言いとりあえずは終わったんだがね。政府側としてもエリディアンの提案を受け入れるかどうか意見が割れていてね。接触者である君の意見を聞きたいと言う事で今に至るんだ」
「彼らは少なくとも俺たちを助けてくれました。だから敵対の意思は少なくとも無いと思います」
「分かった。その意見参考にさせてもらうよ。また何か聞く事だったりがあるかもしれないから私の連絡先を渡しておくよ。クドウ君も何かある時は連絡してくれたまえ」
「はい...分かりました」
「それじゃあお大事に」
そう言って彼は病室を出ていった。
暫く布団に横になり眠っていたが急に廊下が騒がしくなり、目を開けると病室にシリカ ロドメル ユウゴそしてエマが入ってきた。シリカは俺の事を見るや否やこちらへ走って俺の頬を叩いた。
「バカっ!帰ってくるって...言ったのに...何してるのよ...本当に...本当に......心配したんだから...」
「ほーら、シリカちゃん落ち着いて〜。まずは無事を祝うって最初に言ったでしょ〜。ほら、一週間ぶりの再会だから、ね?」
「全く、お前が1人で飛び出したって聞いた時はびっくりしたぞ!俺たち友達なんだから。相談しろよな〜。ほんとに...」
「全くだ!命あったから良かったものの、死んでいてもおかしく無かったぞ。そのような勝手な行動でクラスの規律を乱すような行動はこれ以上認めるつもりはないぞ!」
「ああ、ごめんね...本当に、俺が悪かったよ。結局シオのことを助けるって言って飛び出したのに1人じゃ何も出来なかった。シオを守ることができなかったよ...」
少しの間空気が重くなるが、それを破ったのはユウゴだった。
「全く!君は自分が助かった事をもっと喜ぶべきだろう!確かにあの時はシオちゃん以外にも少なからず被害は出たがスヴァールクスの脅威はまだ去った訳ではない!前を向いて未来のことを考えるべきではないのか!そうでなければシオちゃんも浮かばれまいあの時命の危険を顧みず外へ出た君を僕は見ていた!あの時の元気な君はどこにいったんだ!」
「ユウゴ...あの時...」
「ああ、見ていたさ。でも家族を想う気持ちが痛いほど分かったから止めなかったよ...」
「そうだぜ、俺と喋ってる時のお前はもっと明るいシオちゃんに元気な姿を見せてやるのがお前に出来ることだろリュウキ!」
「ロドメル...ありがとう」
「リュウキ君!退院するまでに怪我とその暗い気持ちは全部治しなさいよ!そうしないともう1発喰らわせるからね!」
「シリカ...」
「リュウキ君。また一緒に学校通うの楽しみにしてるからね〜。それと〜これクラスのみんなから寄せ書きだよー。それ見て元気出してね〜」
「うん。ありがとう。そういえば他の皆はどうなったの?」
「ああ、ウチのクラスは何とか皆命に別状はなかった...ただ他のクラスもという訳には行かなかったがね」
「街も今混乱していてね。学校も暫くは自宅学習と言うことになっている」
そうして俺たちは近況を語り合った。
「む、そろそろ面会時間も終わりか...ロドメル
クサカゼさん ラタトスクさん。そろそろ行こう。
........皆、君の帰りを待っている。だから早く退院するんだ。僕たちから言えるのはそれだけだ」
「ああ、ありがとう」
そうして皆を見送り、再び1人になるが。先程よりは気が楽になるのを感じながら俺はベットに戻った。
なるべく早く投稿できるように頑張ります!