神への対策
オイミャク星での戦いは大きな爪痕を残しながらも終わった。
星の復興は宇宙政府とソルアを代表とするドルゴヌの人々が行う事になり、それを見届けた、エリディアンはイルメグへと撤退した。
「さて......では、オイミャクでの戦いについて、それぞれ報告を聞かせてもらおう」
リュウキ達はそれぞれ王宮の一角にある、会議室の大きな机を囲んで椅子に座って今回の事を話し合った。
会議室には重苦しい沈黙が漂っていた。
誰もが、オイミャクで見た“あの存在”を脳裏から追い払えずにいた。
「まずは、シタデレから頼む」
アラデスクはまずシタデレを指名した。
「では、まず私から......まぁ、1番大きな問題はやはりシオと名乗った人間でしょう。あれは私の目には神に等しい存在に見えました」
「......神......か......オロニアルには神を作り出すほどの力があると言うのか?」
アラデスクはシタデレに問う。
「あれはオロニアル単体で作った物では無いでしょうね......あくまでシオの言葉を信じるのなら......ですが、あれはスヴァールクスが長年に渡り、求めた強き指導者であり、支配者、スヴァールクスは数だけでみれば我らよりも圧倒的に多い......その全ての祈りを集約した存在があのシオという少女なのでしょう」
シタデレは自身の見解を述べた。
「ふむ......しかし出会った私の事を忘れていたわけでは無かった。覚えていてなお、戦闘になったのだ.....人間の時の事を覚えていたのに何故.......?」
「......おそらくですが......シオの精神がスヴァールクスの祈りの力、すなわち信仰によって無理矢理、人間から神としての意識に捻じ曲げられているのかと......それを取り除く事さえできれば......」
アラデスクの疑問に対してルインも持論を述べた。
「ふむ......つまりシオは、自らを人間ではなく......スヴァールクスの神であるという認識に変えられているという事か.......?」
「あくまで......憶測ですが......」
アラデスクとルインは頭を悩ませた。
「信仰の影響を取り除く......として、何か方法はあるのか.......?」
アラデスクは再び問う。
「今の段階では......良い方法は思い浮かびません......ですが、神の強さはその神を信仰する存在の数が多ければ多いほど強くなります......スヴァールクスは星の数ほど居る......殲滅するのは不可能に近いでしょう......」
シタデレは続けて
「しかし、彼女を止めなければ宇宙の全ては彼女に平伏す事になるでしょう......それほどまでに圧倒的な力を持っている存在であることは間違いない......」
シタデレは悲観的な見通しを立てた。
「私もシタデレと同じく、良い案は思い浮かびませんね......私もシオと直に刃を交えましたが、一瞬で圧倒的な力の差を思い知らされました......せめて、動きを止める事だけでも出来れば......」
ルインもシタデレと同じく良い案は浮かばなかった。
「ううむ......何か良い手立てを考えなければならぬな......リュウキ......いや、シリカ達全員に問おう」
アラデスクは突然シオの話を黙って聞いていた4人に話を振った。
「これは最早、私やお前達だけで済む問題ではない......エリディアン、いや宇宙政府とも協議して対策せねばならぬ問題だ。今ならば......まだ間に合う、平和な暮らしに戻るという選択も間違ってはいないだろう」
アラデスクは彼らに選択肢を提示した。
4人はこの時点で既に実戦を経験してきているが、それはあくまで局地戦だった。
アラデスクの言葉はこれからの戦いがさらに激しい物になる事を物語っていた。
「......俺は......今更引くつもりは無い......シオだけじゃ無い......エマだって......俺の大切な友人なんだ!その2人を忘れて普通の暮らしになんて......俺は戻るつもりはない!」
リュウキは自らの決意を述べた。
「私だってそうよ!今更引くつもりは無いわ!」
シリカもそれに続く。
「エマやシオを見捨てたまま......逃げるなんて事出来ねえよ!」
「同じくだ......2人を救わずして、戻るつもりは無い!」
ロドメルとユウゴも同意した。
(――やはり、彼らは退かぬか)
「......そうか......ならば......皆改めて頼むぞ!」
アラデスクは4人の返答を分かっていたかの様に軽く笑いながら返事をした。
「流石はリュウキ達だな......しかし......私はシオが何故プライマリークリスタルを求めていたのかが気になりますな」
口を開いたのはリッテンだった。
「ふむ......確かに......奴らの目的も調べなくてはならぬな......とりあえずはここで解散としよう」
アラデスクの号令で皆、解散となり席を立つ。
「あ、リッテン博士......少しよろしいですか?」
「どうしたのだシタデレ?」
シタデレは部屋を去ろうとするリッテンを呼び止めた。
「あの人間の件です。少し進展がありましてね。少し来てもらえますか?」
「ああ、わかった」
2人はそのまま部屋の外へ出て行った。




