突きつけられた事実
4人はその後も歩き続けて陣地に到着した。
「ふぅ......無事に着いたな......ユウゴ達も、もう来てるはずだけど......」
リュウキは陣地内を見渡しながら、呟いた。
陣地の中には対空兵器や各部隊との交信アンテナが林立し、それらを巨大な柵と深い堀が取り囲んでいた。
焦げた金属の匂いと、止むことのない通信音が、ここが最前線であることを物語っていた。
「そしたらさ、私がこの2人を待機エリアまで送ってくるからリュウキはユウゴ達を探しておいてよ」
シリカはリュウキに提案をした。
「ああ、ならそれで頼む」
「じゃあお願いね。2人とも行こうか」
リュウキは離れて行きシリカ、イーダ、シャナは再び歩きだした。
「......あの......シリカさんは、どうして戦おうと思ったんですか?」
歩き出して、しばらくするとシャナが口を開いた。
「......私はね......友達の大切な妹を助ける為に戦ってるんだ。その子はあんまり深くは言えないけど......敵に捕まっちゃってるんだよね。だからそれを助ける為にね......」
「......そうなんですね。友達の妹さんを......」
「うん。自分の兄弟とかそういうわけじゃないから......あまり理解できないかもしれないけど......その友達は妹を失った姿が......ホントに見てられなくてさ、そしたらそれを救う手立てがあるっていう事が分かった時......居ても立っても居られなくなったんだ......」
シリカの声は穏やかだったが、拳は無意識に強く握りしめられていた。
「そうなんですね......デリケートな事聞いちゃって......ごめんなさい......」
少し悲しそうに話すシリカにシャナは謝罪した。
「そんな謝らなくて大丈夫だよ!......あ、ほら!もうすぐで到着だよ!あの建物で待っててね」
シリカは一般の人の待機エリアである大きなビルを指差した。
そこは元はスーパーマーケットだったらしく、陳列棚等が沢山並んでいた。
「ここまで......本当にありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
シャナはシリカに礼を伝えて、イーダもそれに続いた。
「ううん。お礼なんて大丈夫だよ!その為に来たんだから当然だよ!......じゃあ、入ろっか!」
3人は建物に入ろうとした。
「なんだ、生きてたのかシリカ」
突然、背後から声をかけられ振り向くと、そこにはシタデレが居た。
「あ!シタデレさん!......良かった......ご無事だったんですね」
シリカは駆け寄ってシタデレの無事を安堵した。
「え......ああ、まぁ私は特に何とも無い......それと、お前らに伝えておく事があってだな......」
シタデレはシリカの態度は予想外だったのか、彼は少したじろいた。
「......ん?おい、そこのお前」
シタデレはイーダを指差した。
「え?シタデレさん......イーダが......どうかしたんですか?」
「......ああ......その、お前のエネルギーが見た事の無い珍しい物だから、目に止まっただけだ......」
「え......それ、さっきまで居たあの子にも言われた......」
イーダは思い出したかの様に呟いた。
「さっきまで?何かあったの?」
シリカはイーダに問いかける。
「はい......シリカさん達が......来る前の話なんですが......私と同じくらいの女の子に出会って......でも、その子......黒い翼が背中から生えてて、とても人間とは思えなくて......」
イーダは、ぽつりぽつりと語り始めた。
「それで......その子もシタデレさんと同じ様に......私に珍しい力があるって言って......私の身体の中に......手を入れて......きたんです......」
「身体の中に......手.......?どういう事.......?」
シリカはその時の状況を上手く想像できずにいた。
「......どう説明したらいいか分からないんですけど......ホントに身体の中にスルスルって手が入っていたんです!」
シャナはイーダの説明に付け加える様に同意した。
「それで......その子は......シオって名乗ってきて......」
イーダはその少女の名を口にした。
「え?......シオって.......?ホントに!?その子は......シオって名乗ったの!?」
シリカはその少女の名を聞いて最悪の事態を考えた。
「黒い翼を持つ少女に......シオだと......私達が出会った奴と同じ様だな......シリカ、私がお前に伝えようと思った内容、そして今お前が考えているであろう事は同じだ。私が見た少女もマインドエネルギーの形がリュウキと酷似していた......あの少女が、お前達が追ってる奴なのだろう」
シタデレは、シリカに淡々と事実を伝えた。
「ホントに......嘘じゃ無いの......!?」
シリカは突然突きつけられた事実に激しく動揺した。
「何を呆けている......その事自体は前もって伝えられていた可能性だろう。事実から目を背けるな。今後の対応を考えろ」
シタデレはシリカを叱咤した。
「そう......ですよね......すいません......突然の事で......」
「とりあえず......今は休んでおけ、その後に全員で対策を講ずる」
シタデレはそう言うと去って行った。




