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Space Liberator  作者: ツインタニア
銀氷のアリゲーター

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夢のまた夢

「ハァ....ハァ....あと......やっと着いた......」


兵士は歩き続けてようやく星庁舎へと辿り着いた。


道中、多くのスヴァールクスと遭遇したが、何故か襲われる事は無かった。


「止まれ!何者だっ!」


要塞から見張り役の男が出てきて小銃を構えながら兵士に声を掛けた。


「ま......待って下さい!俺は......人間です!第5中隊所属です!」


兵士は手をあげながら自らを証明する身分証明書を見せた。


「......ふむ、確かにこれは本物の様だ......だが、解せぬな......お前は何故丸腰でここまで来れたというのだ?」


見張りは兵士に問う。


「あ......えっと......その......隠れて......どうにか......」




「......お前の判断は上へ委ねよう。今、外から入ってくる人間には皆、警戒している故、一度収監させて貰うがな......」


兵士は何とか入る事を許可され、見張りに着いていき牢獄に入った。


「ここでしばらく待っていろ。上に話を通してくる」


そう言うと見張りは去っていった。


「とりあえず......中に入れて良かった......早く解放されて欲しいが......」


兵士は牢屋の中で座りながら一息着いた。


「それにしても......俺、何であんな所に寝てたんだ......?」


兵士は自らの記憶を思い出そうとするが、その事を考えるだけで突然頭に強烈な痛みが走った。


「痛っ......!なんだ......?突然痛みが......痛み......?......そういえば......腕も痛いな.....逃げる最中に知らずに怪我でもしたのかな?」


兵士は服を捲って自らの腕を見た。


「なんだ......これ?注射された......みたいな......それに少し......緑色だ......」


兵士の腕は注射針で刺された様な小さい跡があり、その周囲は緑がかった色に変色していた。


「あ......ああ......そ、そうだ......皆、あの時......あの少女に......皆......殺されて......うわあああああああ!!!」


兵士は腕の傷を見て全てを思い出した。


「あれは、悪魔だ......人の皮を被った......悪魔だ......」


兵士の脳裏には、部隊が全滅した時の映像が鮮明に映し出されていた。


ーー


彼の部隊はスヴァールクスの掃討を命じられ、順調に任務をこなしていた。


「うん......?おい!あれは人か?」


部隊の1人が建物の上を指差し、それに気付いた周りも反応して視線を移すと1人の少女が崩れ掛けた建物の屋上に立っていた。


「人......?というか女の子だな......」


「生存者か......?救助したいが、どう、登るか......」


周りからはそんな声が聞こえたが、少女の様子は何処か異様だった。


異星人の襲撃という前代未聞の危機的な状況にも関わらず泰然と建物の上に立って、空を見上げており、よく見れば背中からは黒い羽根の様な物が生えていた。


その少女の様子は絵画の中の様な不可思議な美しさがあり、兵士達は皆、我を失って見惚れるほどだった。


「はっ......!お、お前達!何を見とれている!任務を遂行するぞ!あの子は生存者だろう......救助の用意をしろ!」


我に返った部隊長が周りに大声で命令を下して、それを聞いた兵士達も同様に我に返った。


「は......はい!承知しました!」


「申し訳ありません!隊長!すぐに準備致します!」


兵士達は口々に謝罪を述べて、急いで少女を救出するべく、行動を開始した。


「おい!そこの君!聞こえるか!今君を助けに向かう!焦る必要はない!落ち着いて、私の言う事に従ってくれ!」


隊長は少女に向けて大声で呼び掛け、少女はそれに気付いて下を向いた。


「おお!気が付いたか!良いか?繰り返しになるが、どうか落ち着い......」


隊長が再び少女に呼び掛けたその時、少女はまるで、最初からそこに居たかの様に、隊長の目の前に立っておりその首を切断して手で持っていた。


首を失った隊長の身体はそのまま力無く地面に倒れ、他の兵士達は何が起こったか分からず、固まってしまった。


少女はそれを見て口を開く。


「助けて......くれるん......だよね......ありがとう兵隊さん......私の中から......聞こえる声......それが全てを......全てを喰らう様に......囁いてくるの......だから......食べさせてね......全て......」


少女は言い終えると持っていた隊長の首を手放して地面に落とした。


その少女の圧は凄まじく、正しく神に会ったかの様な感覚であり、兵士達は無意識のうちに少女に近づこうと無防備に歩き出す者、跪く者もおり荒廃した戦場とは思えない異様な光景であった。


「何をしているお前達!て、敵だっ!あの少女を殺せ!隊長の仇を取るんだっ!」


真っ先に声をあげたのは副隊長であり、それを聞いた兵士達は再び我に返り、武器を手にして、構えた。


「撃てっ!撃てっ!」


副隊長の渾身の叫びに、兵士達は構えた銃の引き金を引いた。


轟音と共に砂煙が上がり、少女の姿は見えなくなる。


この全方位からの弾丸雨飛の集中砲火を受けた少女の事を誰もが死んだと思っていた。


「うわあああああ!辞めてくれえええ!」


突然、兵士達の背後にいた副隊長の悲鳴が聞こえて振り返るとそこには少女とその目の前で腰を抜かした副隊長がいた。


「......どうして......拒絶するの......?......そんな事したら......死ぬだけなのに......」


その瞬間、少女の羽根が副隊長に振り下ろされて、副隊長の首も切断された。


恐慌状態に陥った兵士達は無我夢中で銃撃するも少女には一切当たらずになす術なく殺されていった。


「くそっ......!これでも喰らえっ!」


ある兵士はロケットランチャーを構えて少女に撃ち放った。


「ん〜。危ないなぁ......」


しかし少女はまるでキャッチボールの球の様に軽々しく、素手でロケット弾を止めた。


「化け物が......」


ロケットランチャーを放った兵士は呟く。


「......残念......これは食べられない......だから......返すね......」


少女はロケット弾を持つと、撃ってきた兵士にボールの様に投げ返した。


「うわあああああ!」


ロケット弾はその兵士の元に投げ返され爆発した。


そうして、遂に部隊で生き残っているのは2人だけになった。


ーー


「ハァ....ハァ....思い出した......思い出してしまった......」


牢屋にいた兵士は過呼吸になりながらも全てを思い出した。


「そうだ......あれが......あれが......真の......ああ......駄目だ......真なる姿を見たら......もう......戻れない......」


兵士の心を覆って居るのは不安、絶望、恐怖、様々な負の感情が心を支配していた。


その瞬間兵士は全身に気絶しそうな程の激しい痛みを感じて苦しみだした。


兵士は少女の前で意識を失う直前に言われた事を思い出す。


「貴方がこれから見るのは夢......いや、夢のまた夢よ......」


この言葉を思い出しながら、兵士は牢屋の中で再び意識を失った。



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