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Space Liberator  作者: ツインタニア
解放の夜明け

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狂気の人格

シタデレはそんな状況に腹が立ったのか、その異常な存在に声を掛けた。


「おい!一応聞くがお前人間か?名前は?何処から来た?」


「わ......わた......私は.......ゼータ......ヘッグ......シオ様の......忠実なる......下僕......」


「違う!?......違うんだ!あれは悪魔だ......目覚めては行けない存在だった。どうすれば!一体どうすれば!?」


「あぁ、真なる女神よ......この愚かなる私に愛を......違う!これは私ではない!私の頭から出ていけぇ!」


ゼータヘッグと名乗った彼は明らかに錯乱して、支離滅裂な発言を繰り返しており、その様子はまるでモーデルと同じく、複数の人格があるかの様に自分の言葉に自分で言い返していた。


「シオ?今シオって行ったのか!?シオの事を知ってるのか?答えろ!」


ロドメルの問いに対して


「あれは悪魔だ......宇宙の全てはあれに平伏す事になる.......嫌だ......助けて......怖い......」


「真なる......姿を......見てしまったら......もう....元には......モドレナク......ナル......」


その言葉を最後に彼は落ち着きを取り戻すも、今度はリュウキの名を呟き始める。



「女神の為......リュウキを、クドウ リュウキを連れて行かなければ......」


「何処だ......何処に隠れているのだ......あのお方が......お呼びであるぞ......」


「リュウキ......だと彼をどうする気だ!」


「女神の......我が主の元へ連れて行くのだよ!この宇宙の全てを主に捧げるのだ......それこそが......我が喜び......我が全て......我が存在意義よ!」


「我が主の邪魔をするならば叩き潰すのみよ!掛かって来るがいい!相手になってやろう!」


ゼータヘッグは今までの敵とは比べ物にならない速さで向かって来る。


「まずい......今のこいつらでは無理だ......」


シタデレは呟きながら弓を構えて矢を放つと同時に


「目を瞑れ!!!」


大声で叫び3人は咄嗟に目を瞑り直後にシタデレの矢が爆発音と共に凄まじい光を放つ。


「ぐぁ、目眩しとは小賢しい真似を!」


「お前らはクイーンの方に行け。こいつは私が引き受けよう」


「え?でも......」


「早くしろ!走れ!」




シタデレの号令と共に3人は走りだし、探知機を頼りにクイーンの方に向かう。



「自分1人が残り、他の皆を逃すとはなかなか泣かせてくれるじゃないか......」


「話しかけるなダボが......ここを通すつもりは無い」


「お前1人で主の力を賜った私を止められるとでも?」


「確かに私1人では無理であろうな。だからこそ応援を呼んでおいたのさ」


「今放った矢は目眩しだけが目的じゃない。私の位置を知らせるためさ」


「何?」


その瞬間、爆発音と共に天井が崩落する。


崩落による粉塵と瓦礫の中からモーデルが姿を現した。


「シタデレよ!無事ですか?約束通り救援に参りました!」


「まだくたばってなかったか腑抜け弓使いよ!この勇のモーデル様が助けに来てやったぞ!平伏して感謝するがいい!」





「うるさいですよ勇の私。今は協力して敵を倒すべきです」


「いいだろう知の俺よ。久々に丈夫そうな相手に会えて嬉しいからなぁ......弓使い、俺の邪魔をせずに戦えよ!」


モーデルはそのままゼータヘッグに突っ込んでいった。



「うるさい奴だ。だが......今回ばかりは感謝するぞ......」



ーー


ロドメル達はシタデレと別れた後、敵の攻撃を掻い潜りながらも探知機を頼りに一直線にクイーンの元へ向かっていた。



徐々に反応は強くなり、やがて開けた場所に出る。


そこは至る所に大量の卵が固まって置いてありその真ん中にはクイーンと思われる巨大な生物が鎮座していた。


クイーンはまるで悪夢が凝縮されたような巨大な女王個体だった。


黒曜石のような漆黒の外殻は光を吸い込み、うねる筋繊維のような肉の質感がその表面から露わになっている。


頭部は人間の2倍以上もある長い冠のように伸び、背後へと反り返る巨大な外殻はまるで王冠か、墓標のような威圧感を放っていた。


四肢は細くはないが異様にしなやかで、鋭い鎌のような爪が地面を抉っている。


背中からは複数の骨質の棘が枝のように伸び、まるでその存在自体が暗黒の王座を形成しているかのようだった。


腹部は脈打つ肉塊のように膨れ、産卵を続けているせいかひときわ肥大しており、そのたびに緑色の粘液と卵が地面に落ちていく。


顔面には眼に当たる器官はなく、口元には数層にわたる鋭利な歯列が重なる。


ギギ……と擦り合わさる異様な音が空気を震わせ、尾の先端の槍のような突起がゆらりと揺れた。


立っているだけで周囲の空気が重圧に変わる――

それはまさに、星を支配する“母”という名の災厄だった。



クイーンは今この瞬間も新たな卵を産んでおり時間を掛ければこちらが不利になって行くのは明白だった。


その時遠くに人影が見える。


「あ!あれリュウキ達じゃねえか?」


「ホントだ!シリカちゃんもいるよ!」


「合流して一度体制を立て直すべきだろう。幸いクイーンはまだこちらに気付いていない。ブリンクで一気に近づこう」


3人はブリンクを使用してリュウキ達と合流した。














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