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Space Liberator  作者: ツインタニア
解放の夜明け

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21/57

シタデレとシリカ

人間の小娘の矢の一撃は門番に命中し勝敗は決まった。


「勝負は決まりましたね。彼女の介抱をお願いします」


ルインの言葉と共に倒れたあの小娘の救護に模擬戦を見ていたルインと私を除く全員が走り出す。


私はまさかあの人間の小娘が勝つとは思わず驚きを隠せずに立ちすくんでいた。




「さてどうですか、シタデレ?彼女は貴方のお眼鏡に叶いましたか?」


「ルイン.…..お前はこの展開を読んでいたのかァ?」


「さて、どうでしょうねぇ.....」


その返答を聞いた私は深い溜息を吐いた。


「ハァ..….私はどうやらお前の手のひらで踊らされただけの様だな...」


「そんな事はありませんよ。彼女は自力で弓兵としての才覚を目覚めさせただけです。私と貴方はきっかけを与えたに過ぎません」


「ですが約束は守って貰いますけどね」


ルインはそう言うと私の方に顔を振り向かせた。


「ハァ...あんな事言わずにすぐさま断るべきだったと後悔しているよ」


私は今までで1番大きな溜息を吐いた。


「ルイン様。倒れたシリカ殿は生命に別状はなくマインドエネルギーの大きな消耗で気絶している様です」


「そうですか。では彼女を私とシタデレで医務室に運びますので。それ以外の方はそれぞれの訓練に戻って下さい」


ーーー


そうして私とルインの2人でシリカとか言う人間を医務室まで運んだ。


「さて彼女は暫くすれば目を覚ますでしょう。シタデレ、カイマン皇子に続く貴方の2人目の教え子なんですからね。ちゃんと面倒見てあげて下さいよ」


「うるさい。このシリカとやらに弓は教えるがそれ以上の事をする気はないぞ」


するとルインは何故か笑い出した。


「ふふふ、はいはい分かりましたよ。それじゃあ私はユウゴとエマの指導に向かうので後はお願いしますね」


そうしてルインは医務室から出て行き部屋には私と眠っているシリカの2人だけになる。


2人だけになり、とりあえずシリカのマインドエネルギーの残量を見る。目に意識を集中させてその対象を見ると色の濃さで対象のエネルギーの残量、身体の状態を見る事ができる。


マインドエネルギーは慣れていない者が多く使うと身体に不調を来す。シリカの場合は意識を失うという形で発現した。


「全く全身ボロボロじゃないか....死にたいのか?こいつは」


身体の状態を見て思わず呟く。このまま自然回復を待つ時間は無駄なので自分のエネルギーを少し与える事にした。


エネルギーは時間経過で回復するが今のシリカの状態を見るに長ければ数日掛かる事が目に見えていたので、とりあえず意識を取り戻すのに十分な量を与えて目が覚めるのを待つ事にした。


待つ間は何もする事がない為、医務室にある雑誌を少し読んでみたがすぐに飽きて辞め、目を瞑り何も考えずに座って待つ事にした。


ーーー


私はシタデレにシリカを任せて訓練場に戻ってユウゴとエマに訓練を行うと伝える。


「シリカはシタデレに任せましたので私達は訓練を再開しましょう。エマさん、ユウゴさん。準備は良いですか?」


「え?シリカは大丈夫なんですか?というかあのシタデレさんに看病してもらうって大丈夫なんですか?」


するとユウゴからシリカについての質問が来る。


「大丈夫ですよ。彼はシリカの事を認めた様ですので面倒臭がりながらも看病してくれますよ」


「え?シリカちゃんあの怖そうな方に認められですね!すごい」


「はい。彼自分では気付いてないでしょうが認めた存在を名前で呼ぶ癖があるのですよ。模擬戦の時は小娘などと言ってましたが、医務室に行った時にはシリカと呼んでいましたのでね」


「ですので看病もその後の訓練も問題はないでしょう。それではユウゴさん、エマさん貴方達はブリンクの距離を更に伸ばす訓練を行いますよ!こちらに来て下さい!」


ーーー



視界を覆っていた闇に一筋の光が現れて少しずつ意識が回復していき知らない天井が見える。


少しずつ身体を起こし自分が医務室にいる事を認識する。


「あれ?私....なんで?」


一瞬頭が混乱したが直ぐに模擬戦の事を思い出して意識が覚醒する。


「あれ?模擬戦は」


「ようやく目が覚めたか」


「あ、シタデレ...さん?」


私は思わず彼を見つめる。


「なんだ私の顔をじろじろと見て何か気になるのか?」


「あ、いえ...すいません」


模擬戦は結局どうなったのか聞きたかったが思わずたじろいてしまう。


「今日から早速訓練。と言いたいが、また倒れられても困るからな、明日から弓についてお前に教えていく」


「え?じゃあ...」


「勝てば教える....そう言ったのは私だからな。ルインにお前が目を覚ました事を伝えてくる」


そう言うと彼は振り向く事なく部屋から出て行った。













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