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天からの侵略者

なんか考えすぎると良くないですね。

不気味で巨大な物体が地上に近づきつつある時誰かが言った。

「なんか小さい奴もいっぱいいねえか?」


よく見ると、空を覆うように無数の影が舞っている。鳥を思わせる形をしていたが、可愛らしさなど微塵もなくーーその姿は、まさにエイリアンだった。


その時街の放送が聞こえた。

「住民の皆様、現在、空中に浮かぶ物体についてですが、宇宙政府軍が接触を試みています。住民の皆様におかれましてはどうか落ち着いた行動をとるようお願いいたします」

 その言葉通り、宇宙軍の戦闘機数機が飛び立つのが見えた。


「おー、カッケーなー」

「すげえ、生で見るの初めてだぜ!」


そんな言葉が出た次の瞬間、戦闘機は黒い群れに飲み込まれ、閃光と共に落ちていったそれを見たクラスメイト達はさっきの楽観的な雰囲気から一転、


「……今、撃墜されたよな?」

「大丈夫かよ?あれ」


その直後、爆発音が聞こえ、校舎が大きく揺れる。

気付いた時には既に校舎が倒壊してクラスメイト達は瓦礫の下敷きになっていた。周りを見ると今までの平和な日々が嘘だったと思えるほど建物は倒壊し、そこら中で悲鳴や助けを呼ぶ声が聞こえていた。担任のシラヌイ先生が「皆さん無事ですか?」と聞くが周囲からは


「助けて!」

「痛いよー」


と言った声が響き、なんとか巻き込まれなかった俺を含めた何人かが下敷きになったクラスメイトの救出に向かう。隣にいたシリカの元に駆け寄り瓦礫を退かすと、幸いにも軽い怪我で済んでいた。


「大丈夫か、シリカ」

「うん私はなんとか、歩けそうだから私より他の人を助けてあげて」

「おーいリュウキ動けるならこっち来てくれー」

声の主はロドメルだった幸いにも彼は難を逃れていたらしく下敷きになったクラス委員長のユウゴを助けようとしていた。


「すまない。世話をかける」

「当たり前だ、同じクラスだろ。おいリュウキ1人じゃ無理だ力を合わせて上げるぞ」

「了解、じゃあ行くぞ」

「「せーの」」

何とか瓦礫を退かしユウゴを助ける。

「ありがとう。恩に切るよ」

「大丈夫だ、それより動けるか?」

「何とかね。そんなことより早く他の人も助けよう」


どうにかクラスメイトの救助が終わったが倒壊に巻き込まれた影響で重症者が何人かいた。


「み、皆さん、落ち着いて……! ま、また揺れが来るかもしれませんから……!」


先生が1番落ち着いていなさそうだがそこでユウゴは「とりあえず校舎の外、校庭へ向かいましょう!」と言い先生も同意したので皆でなんとか校舎から出る。


校庭には他の学年の生徒も多くいたが皆同じく怪我をしており、  

「シラヌイ先生!シラヌイ先生のクラスは無事ですか?」

「校長先生!怪我人が多いですがなんとか全員無事です」

「そうですか、良かったとりあえず皆、生きていてくれて...」

「これで全クラス揃いましたね、急いで避難しましょう!」

「皆さん、手短に話しますので聞いてください。先ほど役所からで、ここダラスは未知の生命体から攻撃を受けている可能性が高いとの連絡がありました。そのためここは危険ですので避難所に向かいます。避難所であれば、政府軍の海兵隊が守備しており安全とのことです。重症で動けない人は軍の車両で移動して自力で歩ける人は徒歩で向かいます。話は以上です。それではすぐに出発します。」


話を聞いた生徒達からは不安の声が聞こえた。

「未知の生命体?さっきの浮いてたやつか?それにしても攻撃ってなんでいきなり...」とロドメルが呟く。

「さあな、でもいきなりこんなことしてきたんだ。敵ってことは確かだろ。ふざけやがって」

「そりゃそうだけど...」

ロドメルは突然の事で動揺している様子だった。


その後すぐ学校を出発した俺たち徒歩組は、人数も少なくまとめて動くことが出来た上、海兵隊の護衛もあったおかげで比較的安全で順調に動けていたが、見晴らしのいい高台に到達した時だった。いつも冷静なユウゴからは珍しく驚いた口調で「あ、あれは……! あり得ない、大きさだ!」と指差した。


指した方向を見ると、住宅街を我が物顔で歩く巨大な虫のような生き物だった。

その体躯は家屋を軽々と押し潰すほどで、硬い甲殻が夕陽を反射して鈍く光っている。


「な、なんだよあれは!」

「虫?でっかくて気持ち悪い!」

「あんなの見たことないぞ!」


奴の足が地面を踏みしめるたびに、ドスン、ドスンと重低音が響き、アスファルトがひび割れていく。遠くにいるはずなのに、振動が足の裏から伝わってきて、クラスメイト達は思わず身をすくめた。


護衛の兵士が「騒ぐな、あれの相手は我々に任せ、君たちは早く避難しなさい!」とクラスメイト達を

一喝する。

避難の列は徐々に前へ進み、目的地近くの街道に差しかかった。その時、先頭の兵士が突然、拳を上げて「止まれ!」と叫んだ。



次の瞬間、路地の影からぞろぞろと這い出てくる黒光りした生き物たち――節くれだった脚、硬い外殻、そして無数の牙がうねる口。まるで巨大な昆虫と爬虫類を掛け合わせたような異形。


「うわっ……! なんだよあれ!」

「ひっ……き、気持ち悪い!」


生徒たちが悲鳴を上げる間もなく、先頭の怪物が喉を震わせた。

次の瞬間、緑色の粘液が唸りを上げて飛び、海兵隊員の一人に直撃した。


「ぐっ……!?」


酸の飛沫に包まれた兵士は苦痛の叫びをあげ、装甲服ごと焼けただれて崩れ落ちた。焦げた匂いが風に流れ、生徒たちの背筋を凍らせる。


「撃てぇッ!!」

指揮官の号令と同時に銃火器の轟音が響き渡る。閃光と硝煙が立ちこめ、怪物の外殻を弾丸が貫き、数体が血飛沫を撒き散らして倒れた。しかし群れは怯むどころか、さらに前へとにじり寄ってくる。


「ひっ……くるな、くるなよ……!」

「後退しろ! 生徒たちを下がらせろ!」


兵士たちは必死に射撃を続け、生徒たちは悲鳴を上げながら後方へと追いやられていく。リュウキは必死に仲間を庇いながら走ったが、視線の端に、酸で無残に溶けた兵士の姿が焼き付いて離れなかった。


やがて重火器の援護射撃が加わり、怪物たちはようやく動きを止める。焼け焦げた死骸の匂いと、耳の奥に残る絶叫の余韻だけが辺りに残った。


「……一人、やられたか」

隊長が短く呟くと、兵士たちは黙祷するように一瞬だけ目を伏せた。


生徒たちは顔を真っ青にし、誰もが声を失っていた。

「……俺たち、本当に……助かるのか」リュウキの心に、言葉にならない不安が渦巻いていた。


避難所へ向かいながら、俺はただひたすら家族の無事を祈るしかなかった。












とりあえず2話まで出来ました。楽しんでいただけると幸いです!

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