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嬉しくない転生、目指すは冒険者

ふと悪役令嬢とヒロインが協力する転生物が見たくなって書きました。


年齢=恋人居ない歴、化粧も最低限で推し活の為につまらない仕事を受けるOLである私は、普通の日常を送っていた。

傍から見ればつまらない人生かもしれないけど、推しの為に生きて好きな物に囲まれるオタクライフは大好きだし後悔だってしていない、けど……だけどそれでも……


「死ぬ前に……一回くらい本気の恋をしてみたかった。」


目の前のコンクリートに流れる自分の血を見つめながら火傷みたいに熱い体を横たわらせて呟く、残業を終わらせて帰宅途中に目の前で余所見運転のトラックに轢かれそうになった学生を助ける為に後ろから突き飛ばして代わりに自分の体がぶっ飛んだ。

視界の端には驚いて尻餅をつく学ランの青年の青ざめた顔が見えるが大怪我はしてなさそうなので一先ず安心、こんな陰キャオタクでも人の命を救えたなら十分ではないだろうか?小さな後悔を口にしながらもどこか満足しながら目を閉じた。



んで、目を覚ますとフランス人形みたいな金髪碧眼の悪役令嬢になっていましたとさ……。


「はああ?!何番煎じの展開だよお?!」


転生ネタは古今東西あらゆるジャンルで擦られに擦られまくったネタなのに自分が今更それを体験するなんて誰が思うのだろうか、美しい飾りが施された枠に収められる鏡の前で絶世の美少女が頭を抱える。


「うわあ……けど……ふわあ、めっちゃ可愛い。」


思わず鏡に見蕩れる私は間違いなく重度のナルシストと思われるだろうがしょうがない、オタクは美男美女が大好物なのだから


「髪も綺麗な金髪でサラサラだし、目も宝石みたいで綺麗な青、肌もすべすべもちもちでまつ毛もバサバサしてるし唇もぷるんてしててまじで芸術品。」


まだ子供だから体付きは幼いが将来はボンキュッボンの色気たっぷりで赤いドレスが良く似合う美女に育つし、見た目だけなら将来安泰。

……なぜ、成長後の姿を知っているのか……皆さんにはもうお分かりだろう。


「うん!乙女ゲームの悪役令嬢……ダイアナ・リーン・ルーベルトやないかい!」


これもお決まりのパターンですねえ!分かってましたよ!だって私が目覚めた時、メイド達は酷く怯えていたし普通に接してただけで不審な目を向けられ、挙句の果てにお礼を言ったら頭を心配されてしまった。


「でも良かった……まだ悪役令嬢としては子供のわがままで済まされる暴挙しかしてなくて。」


怯えてるメイド達には悪いが私のしたことなんて精々権力を持て余した子供があれやこれやとわがままを言って気に入らなければ水をかけたり物を投げつけて癇癪を起こすくらい、酷いは酷いが他のもっとやばいことをしてる悪役令嬢達に比べればそんなに大した事では無い。


(このゲーム自体が基本的に王道なストーリーを進むそこまで過激な描写が無い割と平和なものだしねえ)


昨今の工夫を凝らし、ストーリーを練り込み、悪役令嬢の残酷性を求めたり過激な描写が増えることが多くなったゲーム界隈で珍しくThe王道なこのゲームは王道であるが故に話題作にはならなかったけど展開も読めるから安心してプレイ出来るゲームとして評価が高かった。


(とはいえ、悪役令嬢である以上は断罪されれば罪を問われるしもし、従来の転生物通りに改心して進んだ場合は王妃になるか転生ヒロインとガチンコバトル……どっちもやだなあ)


確かに見目麗しい王子を初めとする攻略対象に会いたい気持ちが無いわけじゃ無いけど中身は陰キャオタクなのでそもそも貴族とか王妃という地位がとにかく重い、それに加えて変にヒロインが転生者で恨みを買って泥沼展開も嫌だ、かと言って断罪されて前科が付くというのも日本人の心がある私としては避けたい所……。


「よし、貴族やめて冒険者になるか。」


私は、そう決心した。

そうだ、貴族をやめれば自由になれるしヒロインとバチボコしなくてもいいし一国の王妃なんていう責任がクソ重い地位にならなくてもいい、何よりこの悪役令嬢のポテンシャルを最大限引き出せばお金に困ることだってない筈だ。


「そうと決まれば行動あるのみ!」


まずは、自分の事について整理しよう。

この世界は【夜明けの聖女〜運命の恋〜】というベタもベタな名前で販売された乙女ゲーム、中世ヨーロッパ風の舞台に剣と魔法が発達したこれまたよくある設定の世界である。

主人公は、この世界でも稀である聖魔法をレベル10まで扱える逸材として聖女という称号を授かり、王国の中でも由緒ある学園に通い始める。

この学園が本作の舞台で、攻略対象もこの学園に通っている。

そこで出会うライバルこそがこの私、この国の第一王子の婚約者にして悪役令嬢のダイアナ・リーン・ルーベルトである。

その所業に関しては説明するものでも無いだろう、主人公に嫉妬し、彼女をいじめ、最後は攻略対象達に断罪されて婚約者の立場も貴族としての地位もうしない国外追放となる。


(幸いなのが、処刑だったり殺されるルートが無くて国を追い出されるか修道院に入れられる展開くらいしかないのがありがたい。)


つまり、よっぽどの罪を犯さなければ概ね殺される事無く自由にはなれる。

けれど、できることなら誰にも迷惑をかけずに穏便に自由を手に入れたい。


(この悪役令嬢のポテンシャルはかなり高いから順調に育てれば学園を卒業する頃には高ランク冒険者に匹敵する力を手に入れられるかもしれない。)


あと問題になってくるのが、王子の婚約者という立場とまだ見ぬヒロインの存在だ。


(正直、ダイアナの家族仲はあんまり良いとは言えない、絵に書いたような権力と富を大事にする典型的なお貴族様だ。)


娘のわがままも気にも留めない両親は私が王子の婚約者である事が大事で私自身にその価値が無いと分ればすぐに家を追い出すだろう。

こちらとしてもそっちの方がありがたいので家族仲の修復とかそういう事はしない、必要が無いし。

時系列的に既に王子との婚約は決定してしまっているはずだから今更覆すことはできない。


(なら……王子とヒロインをくっつけて婚約者の立場を解消して貰えればいい。)


そこで問題になるのがヒロインなんだけど……もし彼女が転生者だったら色々と面倒になる可能性がある。

このパターンでヒロインが性格の良い子で悪役令嬢と手を取り合って仲良しなんてパターンは中々見ない……ほぼ確実に揉めると思っていいのかもしれない。


(なら……なるべく学園に入ってる段階でそこまで攻略対象達と関わらない道を選ぼう。)


そこから私が取った行動は、両親にお願いをして領地の離れに置いてもらうことだった。

言い分としては、未来の国母に相応しい女性になるべく、静かで勉学に集中出来る田舎の領地で学園入学までの間、己を磨きたいというものだ。

両親としても、既に私が王子との婚約を結んでいる以上、不用意に異性と関係を持ってしまう可能性が少なく、淑女としての嗜みを身につけられると快諾してくれた。


(よし、これで街でうっかり他の対象者に会ったり、前とは雰囲気が変わったことで王子に惚れられるなんて事は少なくなる。)


気分はもうウッキウキだった。

何より、誰にも邪魔されず、自分自身を育成できるという環境が私にはめちゃくちゃ魅力的でオタク魂が浮き足立つ。


「やるぞ!悪役令嬢育成計画!」


前世でありとあらゆる育成ゲームを網羅し、相棒をカンストさせまくった経験を生かしまくるぞ!





そう決意して早六年……とうとうこの日がやってきた。


「さあ!いざ冒険者への道!」


この六年でやれる事は全部やった。

勉強も作法も魔法のレベル上げも教師が目を見張るできで王国お抱えの魔道士だって目指せるレベルだ。


「攻略対象とはほとんど会ってないし、王子とも最低限の会話しかしていない!これでヒロインと変な確執もできない筈だ!」


あとはヒロインが王子と恋に落ちるのを見守りつつ、婚約者の座を明け渡せば全て上手く行く!そう思ってたのに……


「あの……私、王妃にも貴族にもなりたくないので……冒険者を目指したいんです!」


そう私に言ったのは……綺麗なピンクブロンドの髪に金色の瞳を持った、このゲームのヒロインだった。

突発的に書いたのでちょいちょい修正するかもですがこれからよろしくお願いします。

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