表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/119

魔王は座して待つ

二度と座るまいと心に決めていた玉座に腰掛けた私は、玉座の両端を握りしめた。


パキッと骨の折れるような音が聞こえたので、少しだけ力を緩める。


世界にある物は、私にとってあまりに脆かった。


「これからどうしよう…」


勇者(笑)として仲間と共に世界を旅してきたけど、溢れだす魔王パワーのせいで、勇者(笑)になる事はもう叶わない。


エルフの友人とは袂を分かってしまったし、怠け者の鎧女は、飾られた鎧のように一点から動かなくなった。


私は一人だった。


「のらのら、にーたんを忘れて貰っては困るのら」

「…」


私は一人だった。


「にーたんを無視するな。火を吐くのらよ」

「吐いてんじゃん」


ボフッと音が聞こえ、炎が吐き出される。

吐き出された炎は、開いていた扉部分に更に大きな穴を空け、何処かに消えていった。


にーたんは弱体化しているとはいえ、城なんて余裕で壊せるし、四天王程度なら相手取る強さも普通に持っていた。


てか、滅ぼす者バフが乗っかてるから、こいつに勝てるのはアビスしかいないかもしれない。


もう、こいつが魔王でいいんじゃないかな?


真の姿、邪悪の化身みたいな感じだったし。実際、世界を滅ぼそうとしてたし。


なので、代わりにアビスに殺されてくれにーたん。


「にーたんが殺されたら、木陰も死ぬのらよ」

「はーつっかえ」


本当に使えない。後、一人称がにーたんなのがなんか腹立つ。萌えキャラを自認しようとしてないかこいつ。


「にーたん、痛みに強いから、木陰の盾になっちゃおうかな。かな」


焼け落ちた包帯から顔を出したにーたんは、ゆらゆらと顔を動かし、私を煽ってきた。


煽られたので、パンチしておいた。


「あうっ。痛い」


例えるなら、自分で自分を殴ったような痛み。

こんな金玉と一心同体とか、マジで萎えぽよです。


「木陰が哀れに見えるのら」

「人の手に寄生してるあんたの方が哀れだし」

「寄生は立派な生存戦略なのらよ。なにより生物は皆、世界に依存しているのら。だからこそ寄生先の世界を滅ぼそうとする木陰は、みんなに狙われるのら」


「うるさい」

私は饒舌に語るにーたんの頭をパシリと叩いた。


痛い。


何、この理不尽。

ムカつく事を口にするし、ムカついて殴ったらこっちが痛いし、にーたん無敵じゃん。


「木陰は阿呆なのら」

「…」


「木陰は阿呆なのら」

「聞こえてるから、2回言うなし」


「木陰は阿呆なのら」

「きょえー。ぶっ殺してやる」


私がカッとなってにーたんを絞め上げようとした瞬間、大きな音が響き、城がぐらぐらと動き始めた。


下からドンドン。

上からドンドン。


下階と上階の住人による騒音トラブル。


果てしなく五月蝿い。

てかこの城浮いてない?


「総攻撃が開始されたのら」

「これ、攻撃なんだ」


言われてみるとそんな気がしないでもない。

でも、ハリボテの城すら壊せないとか、しょぼくない?この城、手抜きの突貫工事だから、まともに攻撃したら簡単に壊れると思うんだけど…。


「木陰どうするのら?」

「何が?」


「何がって、攻撃されてるのらよ?」

「そっか。確かに。少し考える」


両腕を組み、考えるポーズを取ってみる。

取った所で、実際は考えていない。


万里眼の先にいるアビスと視線が交錯する。

この女王様は一体何を企んでいるのか。


鑑定をかけようとした時、ドンと一際大きな音が響き渡り、天井が貫かれた。


そして目の前には、一人の少女の姿があった。


アイル・リリ

勇者の到来である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ