木陰ちゃん労災に遭う④
頭の奥底にグワングワンと嫌な鐘の音が響き渡る。
耳に何とも言えない不快感が残る鐘の音。
私は試しにこの音を鑑定してみた。
理由は奇妙な違和感を感じたから。
嘘です。私は、何にでも鑑定をする鑑定くそ野郎なのだ。
だから、先に言います。
鑑定なんてしなきゃ良かったって。
終末の鐘。
世界に終末が訪れる際、打ち鳴らされる警告の鐘。鐘の音から7日後に地上の一掃が開始され49日間で完遂される。
うん。酷い鑑定結果である。
なんで龍の歯音が、終末の鐘とかいう格好いい名前なの?ちょとした舌打ちとか、歯ぎしりの可能性だって…。
ないんでしょうね。
ないから、この鑑定結果なんでしょうね。
でも、7日間動かないって事は7日間の間にどうにかできる、対策可能なイベントって事だよね?
「…どうにかできるの?あれ」
どうにかしないと、魔王であっても確実な死が用意されてるんだけど…。
ニーズヘッグが持つスキル伝承。
一定の条件を満たしている際に発動。
7日という時間を掛け、あらゆる生物の頂点に君臨する神龍へと変容する。
あらゆる生物の頂点とか言ってますし、どう考えても7日後には、もっと恐ろしい化物になるって事。
今の状態で頂点じゃないんかいって、ツッコミもあるけど、アビスみたいなのもいる世界だし、完全に頂点とは言えない。
にしても、伝説の鉱石を探しにきたら、伝承のドラゴンを見付けちゃうとか、これって奇跡では?
奇跡さんレベル6なのに仕事し過ぎです。もう過労で死んで下さい。
「…あでっ」
奇跡に心の中で文句を言いつつ、ニーズヘッグにバレないよう走って逃げていたら、躓いて転んだ。
痛い。
えっ?痛いとかある?
私の防御力100万超えてますよ。
でも、確かに痛かった。
何に躓いたのか見てみると、そこにはテニスボールサイズの黒い石があった。
ニーズヘッグの黒炎に焼かれて黒くなったのだろうけど、形を保てている事に驚き、鑑定をする。
オリハルコン
世界一希少な鉱石。
どの鉱石よりも硬くどこ鉱石よりも柔らかい。あらゆる魔法を跳ね返し、あらゆる魔法を吸収する。
矛盾する二つの特性を理解し、錬成する事は不可能とされている。
オリハルコンじゃん!
奇跡さん、過労死せずに働いてくれてありがとう。
錬成不可とかいう、怖い記述があったけど、取り敢えずオリハルコンを持って、エフの所まで帰ろう。
私は転移が出来る場所まで、今度は転ばないよう頑張って走った。
さっきと同じやり方で転移を使えばいいって?
今度こそ見つかったら殺されちゃうでしょ!
私は安全に配慮できる人間なのだ。




