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勇者邂逅②

隣には伝説の勇者がいる。


勇者の剣を引き摺り、カタカタと地面を鳴らしながら歩く、11歳の少女勇者。


ステータスは約8000。勇者の武具一式は既に持ってるから、現状ステータス80000超えの化け物である。


私はそんな化け物よりも、更に10倍以上のステータスを持っているけど、背中は冷や汗でべたべただった。


なぜかって?

アイルちゃん、私と違ってめっちゃ好戦的なんです。


魔物や魔族の殆んどは、ビビり散らかして建物の影に隠れているんだけど、アイルはそんな魔物や魔族に片っ端からエンカウントし、ザシュザシュと葬り去っていた。


完全に殺意の波動に目覚めちゃってます。


スキルとしては覚えてないから、これが勇者の在り方なのかもしれないけど…。


冷静に考えると勇者って、魔王を倒すまでに信じられない位の魔物を倒してるしね。


時にはアイテムやスキルで呼び寄せてまで斬り刻んでるし、生態系が壊れるんじゃないかって位、銀色の魔物狩りまくったりもしてる。


勇者、怖っ。

魔物からしたら、厄災でしかないじゃん。


世界平和って、あくまで人目線だもんなぁ。



「ぐげやあああっ…!!」

「助けて、ぐふっ…」

「や、やめっ…」


アイルが魔物や魔族を容赦なく斬っていく。


本当に怖い。


こんなのが玉座でくつろいでる時に現れるとか、私が魔王だったら死期を悟るわ!


私がその魔王なんですけどね。

ハハッ…。


うん。笑えない、

四天王さん出番です。仕事してください。


「お姉様。もうすぐだね」

「うん」


何がですか?

私の死期の話ですか?

後50年は生きたいと考えているので、怖い話はやめて下さいね。


余命宣告イヤイヤ。


「小娘共よ。ここから先は通さぬ」


私がイヤイヤ期に突入しようとした所で、天に願いが届いたのか、四天王の一人が空からズドンと落下してきた。


着地の衝撃によって、大地がぐらりと揺れ動く。地震大国出身の私がはかるに、震度5といった所だろうか。


建物の中にいたら、普通に怖いレベル。

今の私は体幹魔王だから、1ミリも動かないけどな。


「…殺す」

「止まる気はなしか」


アイルは勇者の剣両手に、四天王ベリアルに斬りかかった。


盾役として相応しい体躯は、アイルの軽く10倍はある。魔王状態でしか四天王を見たことのなかった私は、四天王って大きいんだな。と馬鹿みたいな感想を抱いていた。


「死ね」

「威勢が良いな人族の子供よ」


アイルの振り下ろしをべリアルは自身の腕を使って簡単に受け止め、空いていた一方の手でアイルを殴り飛ばした。


「…っ」

「この程度か?小娘」


護る事に特化したべリアルの防御力はばちくそに高い。勇者に覚醒したとはいえ、戦闘経験の乏しいアイルでは、少しのダメージすら与えるのは難しい。


勇者の武具一式がなかったら、それこそ尻尾を巻いて逃げなければならない程のステータス差である。


勇者の武具一式を持っているアイルなら、戦い方次第で多分勝てちゃうんだろうけど。


「手を貸そうか?」

「平気。アイル一人で殺す」

「そっ」


アイルの経験値になる位ならいっそ私が。とか少し思った結果声に出ちゃったけど、アイルは私の提案をあっさり断ってきた。


うんって頷かれても困るから、いいんだけどね。敵に寝返った四天王を魔王が殺すとかはあるかもだけど、ベリアルは裏切ってないし。


それどころか魔王城を護るために真面目に働いてるわけで、これを瞬殺するのは、さすがにしのびない。


「我ほ何人きても構わぬぞ?」

「お前なんて、アイル一人で十分」

「そうか。こい、小娘!」


再びアイルの持つ剣と鋼鉄よりも硬いベリアルの皮膚とがぶつかり合う。



防御スキル満載のべリアルは、ただでさえバカ高い防御ステータスを、更に何倍にも増幅する事ができる。


私が最初に放った魔衝撃がどれくらいの威力だったかは知らないけど、べリアルにはそれを無傷で耐えた実績があった。


スキル盛り盛りの防御ステータスは、低く見積もっても50000はある。


「はあっ!」

「ふん」


光雷撃、光炎撃、光風撃とアイルは立て続けに覚えたてほやほやの剣技を放つ。


それをべリアルはあっさりと防いだ。


一撃目と二撃目は腕、三撃目は腹で受け止めているから、普通に当たってはいるんだけど、効いてないって感じ。


べリアルが受けたダメージを予想するなら、足の無駄毛を処理した後の、ちょっとしたひりつきレベルだと思う。


つまり、実質ノーダメージだった。


「ぬるい!」


アイルの攻撃を受けきったべリアルは、背中から巨大な斧を抜き取り、アイルに振り下ろした。


アイルはそれをあっさりと回避し、べリアルとの間合いを取る。


魔王の攻撃すら凌ぐ防御力を誇っていても、他のステータスは軒並みアイルには劣る。


有象無象の人族相手であれば、無双するに十分であっても、勇者の武具一式を装備したアイルが相手では傷を与える事は不可能に近かった。


お互いに決め手に欠ける戦い。


こういうのを将棋だと、1000日手って言うんだっけ?


なるほど、つまりこの状況は。


「まるで将棋だな」

「将棋?」

「気にするな。こっちの話だ」


べリアルの疑問に私はついうっかり魔王っぽく答えてしまう。


でも大丈夫。魔王はキモい声だけど、今の私は声優で食べていける位、プリティな声をしている。


中の人が同じだなんて、誰も思いはしないのだ。


「お前の相手は私だ!」

「何度やっても同じ事!」


アイルの剣とべリアルの斧とがぶつかり合い、激しい火花を散らす。


その後も幾度となく剣と斧とがぶつかり合い、幾度となく火花を散らし続けた。


何度と同じシーンを見せる気だろう。

昔ならいざ知らず、最近のアニメはここまで露骨な尺稼ぎなんてしないよ?


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