ベルフェルの苦悩
100万という規模の魔族を虐殺し、半径100キロを魔物すら住む事の出来ない死地に変えた魔王が忽然と姿を消して10年。
ベルフェルは突如現れ、人族の猛者達を蹂躙していく魔王に戦慄した。
いや、あれは蹂躙ではない。我々魔族にも行われた虐殺だ。
理解したのは魔族も人族も、魔王にとっては餌に群がる蟻を踏みつけるよりも簡単に虐殺できてしまうという事だった。
恐怖を煽り遊んでいた姿を見るに、人族に対してはより残虐であるとみる事もできるが、だからといって、魔王を魔族の味方と考える事は出来ない。
唯一収穫があったとするなら、魔族にとっても人族にとっても、魔王は敵であると深く認識出来た事くらいだろうか。
100年、1000年と何処かに姿を消したままでいてくれた方が、ずっと良くはあった。
魔王が生きている以上、問題を先送りにしただけに過ぎないが、問題の対応と対策は十分取る事が出来ていただろう。
魔族の集中力は園児並に脆く拙い者が多いが、同胞や家族を殺された事で、長きに渡り集中を保てていた。
10年。
確実と呼ぶには短い期間であったが、それでも準備は出来た。
後はどうやってこの魔王を…。
ベルフェルは玉座に腰掛ける魔王を見た。
魔王という称号がピタリと当てはまる恐ろしい見た目と威圧感。
目が合っただけて、死を直感させられる。
魔王の問い掛けに答える唇は、震えていた。
作戦は立てた。
準備も整えた。
しかし、本当にこんな化け物をどうこうできるのだろうか?
ベルフェルは人族を虐殺した事で、数段階レベルアップした魔王のステータスを見てしまっていた。
そして、鑑定では見る事の出来ないスキルがある事に、ベルフェルは遅れながら気が付いた。
魔王は確実に転移か、それに準ずる空間魔法を使って現れた。
にも関わらず、ベルフェルがどれだけ目をこらして見ても、それ等のスキルを発見する事ができなかった。
魔王
レベル48
HP1181000
MP281000
TP1181000
力1181000
魔力281000
素早さ1181000
防御力1181000
器用さ81000
スキル
魔衝撃レベル6
魔炎撃レベル4
魔氷撃レベル4
魔風撃レベル4
魔雷撃レベル4
魔振撃レベル4
魔導砲レベル4
拘束レベル8
万里眼レベル8
召喚レベル4
超弱行動レベル5
闇の衣レベル8
闇の波動レベル7
闇の鼓動レベル7
絶対王政レベル8
パッシブスキル
自動回復レベル4
超再生レベル4
威圧レベル8
指揮レベル5
抑制レベル5
精神レベル8
支配レベル6
奇跡レベル6
言霊レベル6
怠惰レベル8
「用がないなら去れ」
魔王が言う。
恐ろしい威圧感に、ベルフェルを含め四天王は一瞬で萎縮し、去るしかなかった。
魔族では最前の英雄と呼ばれ、勇気と強さを誰よりも称えられているベリアルですら、何も言えない。
転移する際ベルフェルは、ベリアルが唇を噛み締め血を流している姿を目撃した。
目の上のたんこぶであったベリアルが見せた苦悶の表情は爽快であったが、それ以上に同情となぜか怒りが、湧いた。
ベリアルにあの表情をさせたのが自分ではなかったという、悔しさのようなものが、どこかにあったのかもしれない。




