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魔王降臨④

「魔王、覚悟っ!」


帰ろう。そう思い転移を発動した瞬間、空から一筋の光が降り注いだ。


光の斬撃が肌を掠め、大地に激突する。

足場が斬り崩され、バランスを崩した所で、強烈な突きが私の体を貫いた。


痛い。

例えるなら、裁縫の際に誤って針を指に刺してしまった位の痛さだ。


あれが起こると、一気にやる気が殺がれるんだよね。


「はあ」

私は一つ溜息を付き、私を貫いた人物に目を落とした。目を落とした所で、それが誰かは分からない為、いつものように鑑定をする。


ドラゴン・ド・ドラゴニア


龍騎士 人族の勇者


レベル80


HP90050

MP200

TP80010


力89600

魔力400

素早さ58300

防御力57700

器用さ45500


スキル


龍斬レベル7

龍撃レベル7

龍炎レベル7

龍殺レベル7



パッシブスキル


槍術レベル9

武器適性レベル8

毒耐性レベル5

呪耐性レベル4

精神レベル6

集中レベル6

予測レベル5

予感レベル7



EXスキル


限界突破

可能性

英雄

加護

勇者


勇者の武器防具を装備した人族最強の男。

勇者の剣から繰り出される一撃は魔王に必ず届く。勇者の鎧、盾、兜の加護によって大ダメージを受けても必ず生存する。



勇者来てますやん。

私が魔王を遂行したら、勇者には手を貸さないみたいな雰囲気だったのに、バッチリ手を貸してますやん。


ステータス的には、多分全然強くなってないから、『何もしてません』って、しらをきられたら、追及は出来そうにないけど、絶対にシーちゃんが一枚噛んでる。


だってこんなタイミングおかしいもん。

まぁ、もう何でもいいけど。


「龍え…」

「魔衝撃」


ドラゴンが次の攻撃を仕掛けてくるよりも前に、私は全力の魔衝撃をドラゴンに向かって放った。

黒い衝撃がドラゴンの体と衝突し、遥か彼方に吹き飛んでいく。


魔族百万を消失させた時よりも、遥かに強い攻撃だったにも関わらず、ドラゴンの体は原型を留めていた。


鑑定で見た通り、勇者の防具一式を装備している限り、死ぬ事はないのだろう。


大会に優勝しても貰えなかった事を考えると、城に潜入してパクっておけばよかった。ドラゴンは弱いけど、ゾンビ戦法なんてウザい事この上ないもん。


流石に死んでないってだけで、すぐに全快して襲いかかってくる事はないと思うけどさ。


ない、よね?


うん。ここはないという事にしておこう。

私は物事を楽観的に考える事にした。


でも、ちょっと来そうな気もするので、退散退散。

私は転移を発動させ、ユグドラシルに帰還した。


「随分と派手にやりおったの」

「うん」


帰還した私は、アビスの質問に答えながら、そのままどかりと仰向けで倒れた。何一つダメージは受けていないのに、何か疲れた。


『嫌な念波が飛んでおったが、また、何かされたのかえ?』

「分からない」


シーちゃんには鑑定が効かなし、姿も見せないので、例え何かをしていても、証拠は出ない。シーちゃんは中身の見えないブラックボックスだった。


「厄介じゃの」

「うん」


鑑定を使いまくっているからそこ確信出来る。分からない事程厄介なものはないと。だって、分からなかったら対策の打ちようもないもん。


それに、少し気になる事もある。

シーちゃんは、私が動かないなら勇者側に付くと言い、ドラゴンを連れてきた。あの時のドラゴンが洗脳状態にあったとは思いたくないけど、アルミリアで起こされた惨状は、シーちゃんが私をアルミリアに連れてきた結果ともいえる。


私の行動もドラゴンの行動も、シーちゃんの手の平で、意思なんてあってないような物だった。


私は私が洗脳されているとは、思いたくない。

でも私はあの、状況を作り出すように操られてはいた。


私は本当に森山木陰なのだろうか。

シーちゃんに魔王として創られただけの駒で、意思も何もない、自分を森山木陰だと思っているだけの人形なんじゃないだろうか?


…ちがう。私は私だ。

言霊と奇跡が嫌な風に働いただけで、シーちゃんの介入なんてなかった。


そういう事にしておかないと、私はこの先、怠惰なんかよりもずっと恐ろしいものに怯え続けないといけなくなる。


「私は私。私以外の何者でもない」


うん。私は私だ。

社内ニートの怠惰な魔王木陰ちゃんだ。

大丈夫。我思う故に我ありって、あのスティーブ・ジョブズも言ってたしね。


私が思っている限り、私は私なんだ。


「何かよく分からん事をぼそぼそと呟いておる所悪いのじゃが、そのキモい見た目、どうにかならんのか?さすがにその姿でユグドラシルを歩かれては、妾とて困るんじゃが?」

「えっ?あっ。変身」


アビスの指摘を受け、私は魔王から勇者(仮)の美しい姿に変身した。不覚にも、魔王の姿でいる事に異変を感じないくらい、錯乱していたらしい。


いや、するでしょ。見逃したはずの人間がこっちに向かってきては、恨み言や悲鳴を挙げつつ、バタバタと倒れていくんだよ?


しかもその現象を起こすように私自身が、操られていた可能性があるとか、そんなの無茶苦茶怖いじゃん。

そら、精神さんでも手に負えませんって。


復帰までに、時間掛かりますって。



「ふむ。よかった。その姿でここに現れた時は敵かと思って、妾や母様も一瞬攻撃体勢に入ったからの」

「こわっ」

アビスとユグドラシルに攻撃されたら、死にますやん。

「魔王形態は見た目が禍々し過ぎるからのぅ。本能が敵認定するのは仕方あるまい」

「うん」


私は未だに魔王形態の自分を見たことがないけど、手や足の感じや肌触りからするに、キモいのは分かる。


四天王を含む魔族大集合した時は、私も本能で敵認定して攻撃しちゃったし、なんかこう、そういう見た目をしているのだろう。

ゴキブリが大量に現れたら、そりゃあ、ね。


「なんであれ、キモい姿がエルフ等に見られんで良かったわ」

「確かに」

懐いていた子供達に嫌われたら、精神さんのレベルがカンストしちゃうもんね。

アビスが分かりやすい座標である事と、基本引き込もっている事に私は感謝した。


「木陰…」

「あっ…」


アビスがエルと仲良くなった事を、私は恨んだ。

ここにはエルがいて、エルは私の魔王形態をバッチリ目撃していた。


どうやって、言い訳にしよう。


「木陰、なんで…」

「いや、その」

「なんで、そんな格好いい姿してるのに、わざわざブスになってるべ?木陰はMなんだべか?」


「いや、は?」

何を言ってるんだ、この女。

「もう一回、もう一回あの格好いい姿になってけろ」

「ならない」


そっか。最近鎧もしてないし、エルフレアにず~っといたから忘れてたけど、エルは美醜感覚がバグってるんだった。


名前もそうだけんろ、オラはこの不細工な里出身だったのかもしれねえべ。とか、エルフはブス過ぎて森に引きこもるしかねぇ、可愛そうな種族だべ。とか、本気で言ってたもんなコイツ。



つまり、エルの美醜感覚に合わせるなら、魔王形態の私は、本当に信じられない位に不細工という事になる。



「あぁ、あんなに格好いい姿、勿体ねぇべ」

「はいはい」

そんな乙女みたいな反応をされると、魔王形態の姿がどんなのか気になるじゃないか。

絶対にろくでもないから見ないけど。



見ないって言うと見たくなる。押すなって言われると押したくなる。

ふぅ。でも大丈夫。私には精神さんがある。冷静に見ないという判断を下す事ができる。


すこ~しだけ、気にはなるけどね。



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