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魔王とエルフ女王②

迷いの森に入り、裁きの森を進んだ先に、エルフが住む都市エルフレアはある。


人族最大の国である、ロスト王国とエルフレアの位置関係は、浦和と大宮位に近いのだが、近隣の森にエルフの都がある事を、ロストの民は誰一人として知らなかった。


エルフの女王であるアビスがスキルを使って徹底的に隠匿してきたからである。


人族にとってエルフは、おとぎ話の中でのみ存在する種族であり、伝説上の存在といって差し支えなかった。


ちなみに、おとぎ話に出てくるエルフはこんな感じ。

森に住み、争いを好まない。長命であり、魔法に長けている。耳が長く、そして、女のエルフはみな可愛い。


人族というか、私が持ってる知識とまんま一緒。

そして実物のエルフはというと、大体そんな感じだった。


アビスもそうだけど、マジで美人ばっかりなんだよね。だからなのか顔面偏差値バトルは起こらないし、顔面によるカースト性もエルフには存在していなかった。


私、超絶美女なのにまるで空気ですよ。

学生時代に戻ったら、顔面だけで優勝して頂点なのに。悔しいです!


あのカースト制は糞だけど、顔面無双したいと思う私は、立派に制度の奴隷だった。


だって、顔しか取り柄のない女子に顔でマウント取るとか、気持ち良さそうじゃん?


「木陰、キモい顔が余計にキモくなっているべ」

「キモくないから」


美人だから。でも、性格はちょっぴりブスになっていたかも。木陰反省。

…自分の事名前で呼ぶ女に、性格いい子っていないよね。私は私の事を私って呼んでるから、性格も美人だけど。


「木陰はキモいべよ」

「真顔、いや、真声で言うな」


エルの顔は鎧で見えないが、声がシリアストーンであった為、私はツッコミを入れた。ただ、鎧の中は真顔だったとも思う。


「あっ、おら、今とんでもない事に気付いたべ」

「言ってみ」

絶対しょうもない事だと思うけど。後、私をブスだという戯言を今度吐いたら、その口拘束してやるから覚悟しておけよ。


「エルフは森に隠れ住むくらい、ブスばかりだけんろ、みんなブスだから、森の中なら平然と顔を晒す事ができているべ。ここはブスなおら達にとっては、もしかしたら楽園かもしれねぇべ」

「私はブスじゃないから」


何度も言ってるけど、超美人だから。鏡で見たら自己肯定感爆上がりする位整ってるから。巨乳だし。お尻も大きいし。声だって可愛い。


「うん。ここでは、おらも木陰もブスじゃねぇべ。木を隠すなら森の中とは、良く言ったもんだべさ」

「あっそ」


こいつと話していると、マジで自分がブスになったみたいな錯覚に陥る。魔王に精神攻撃してくんなし。


「おら達は今、森に隠れているんだべ」

「分かった。じゃあその鎧取ろう」


てか、脱げ。

森の景観と合ってないし、アビスが寛大な処置を下したとはいえ、王国の勲章付き鎧なんて警戒しかされない。

実際、数人のエルフが遠巻きから警戒心バリバリの視線を送ってきてるし。視線の種類なんて私には分からないから、多分だけどね。


「それは、ちょっとはずいべさ」

「ここではその鎧が、ブスでキモいと思われてる。だからみんなエルを見て、嫌悪感出してる」


「木陰。今すぐ脱がすべ」

「はずいんでしょ?」

「オラはブスだべ。でも、ブスだとバレたらみんな離れていくべ。だからブスでも、ちゃんとそう思われないように、しないと、駄目なん、だべ…」

「わ、わかった。なんかごめん」


ちょっとした意地悪心を出してしまった事を反省し、私は謝った。まじで害悪しかない、毒親教育受けてきてるじゃん。


普段明るい子が、急に声を震わせながら、変な事を言い出したらビビるからやめて欲しい。


「いいから、早く取ってけろ」

「はい」


私はエルから呪いの鎧を力で剥ぎ取った。

呪いの鎧を脱がすには、エフだけが使える特殊な解除魔法が必要なのだが、私のパワーに掛かればそんなもの必要なかった。


しかもこの鎧、私の力で剥ぎ取ってぶっ壊したとしても、翌朝には自己修復されてるから、手加減の必要すらない。


エフあんたマジで鍛冶屋に転職しろ。

そして、娘に百万回謝罪もしろ。


「ほえ~。涼しいべ」

「…」


鎧を剥ぎ取ったら、美少女が現れました。

汗でびしょびしょの美女。


てか、何週間も鎧を付けたまま生活してたくせに、にきびやあせもの一つもないし、それどころか臭くもないけど、この鎧、老廃物を食らう機能まで備わってんのかな。


私は魔王になってから一度もうんこしてないし、それが普通になってたけど、よく考えたらそれに合わせて行動出来てるエルヤバくない?

ミーシャはトイレに行ってたから、この世界の人にうんこの概念がないわけじゃないし。


いや、ヤバいのはエフか。

あんた名工として、世界を変えられる力がありますよ?

そして、娘の世界が変わるまで謝罪しろ。


「うきゃ。じろじろ見られてるべ。恥ずかしいべ」

「今までと変わらない」


寧ろ今までの方がじっと見られてたと思う。神聖で自然な森に鉄の鎧はやっぱり異質だし。


「おらは、繊細なんだべ」

「そう」


まぁ、今の姿なら繊細そうには見える。

見た目ってやっぱり大事だよね。


「恥ずいべ。でも、この状態がここでは普通なんだべ。森に隠れているんだべ。大丈夫…あっ、木陰、アビスから念話が入ってきたべ」

「もしもし」


体をもじもじさせていたエルが頭に手を当て、こちらを見た。アビスはエルではなく、私に用があるらしいので、エルの肩に手を触れ念話に出る。念話のスキルを持たなくとも、念話のレベル次第では、こうして会話をする事も可能だった。


アビスクラスになれば、誰の脳内であっても直接語り掛けられるんだろうけど、私はほら、阻害君が仕事してるから。


てかこれ、念話じゃなくて仕様が電話っぽい。私も、もしもしとか言っちゃってるし、髪の毛撫でたら音量が上がったりするかな。


私はエルが持つ長い黄金の髪の毛を五本の指でスワイプした。


エルの髪はさらさらで、撫で心地最高だった。

しばらく撫でてよ。


『妾が声を掛けておいたから、エルフレアは随分と過ごしやすくなったであろう』

「槍と弓は向けられなくなった」

視線だけは、凄く突き刺さってるけど、エルが鎧を脱いだ事で、それもかなり無くなった気がする。


私は赤毛だからちょっと目立つけど、エルは耳が長くないだけで、見た目は殆どエルフだし、鎧さえなければまさに森に隠れる木みたくなっていた。


『では、妾に言う事があるであろう?』

「え?」

何?

いきなり謎のクイズが始まって、困惑なんだけど。


『妾は、木陰の役に立ったと思うのじゃ』

「うん。ありがと」

で?何。このお姫様は何を求めてるの?

鑑定さんも、本人を直視しないと心は読めませんよ?


『分かれば良いのじゃ。ではな木陰。夜を楽しみにしておるぞ』

プツリと念話が切れる。

お礼を言って欲しかったとか、そういう事?

分からん。

今夜鑑定してみるか。


私とエルはアビスが主宰するディナーに、招待されていた。なんでも今日は、アビスの聖誕祭があるらしい。


突然の聖誕祭開催に、エルフ達はビックリしていたけど、魔法文化が盛んだから、準備に戸惑ったりはしていなかった。


ちなみに鑑定した結果、アビスの誕生日が今日っていうのは本当なのだが、聖誕祭自体開かれる事が殆んどないらしかった。今回は64年振りらしい。


凄い中途半端。そりゃエルフ達もビックリするよね。

そして、私に祝って貰いたいと思ってるとか、あの女王様は中々可愛い所がある。


盃を交わしたからか、親子や兄弟のような絆が出来たのかもしれない。


「木陰、またアビスから念話だべ…。そろそろ頭が痛いべさ」


だからなのか、少し間が開くだけでアビスは鬼のように念話を掛けてる。


念話の使い過ぎで死ぬとか、この世界なら普通にありそうだから、そろそろやめない?エルのステータスは糞雑魚なんですよ?


『そういえば、大神木は見たか?』

「まだ」

『ならば見るのじゃ。あの木は妾の最高傑作であるからな』

「でも、そんな凄い木、見当たらないよ?」

『妾の力で、隠してあるからの。じゃが木陰であれば見付けられる。是非見て感想を聞かせるのじゃ』


念話が切れる。


大神木とか言われても、全然興味湧かないんだけど、これってわざわざ探して、見に行かないといけないって事?


「バタンキュー」

めんどくさー。とか思っていると、エルが嘘みたいな言葉を残して倒れ、気を失った。

バッテリー残量なし。

16時間も充電して、念話数回で残量0とか、これは買い換え時期をとっくに過ぎてますね。


まぁ、鎧を剥ぎ取ったエルは、触り心地いいし、持ち心地もいいから、背負うタイプの携帯電話であっても手放す気はないけど。


『木陰は、どんな料理が好みかえ?』

「ハンバーグ」

『エルフレアの売りは、野菜と果物じゃぞ』


いや、知らんし。

てか、エルが気を失ってんのに、念話掛けてくんな。

一生目覚めなくなったら、どうすんの?


答え、アビスは治療と蘇生のスキルレベルがカンストしてます。


でも、治せるから壊していいというのは違う。


「アビス。念話禁止」

『なぜじゃ?』

「ちょっとウザい」

『はわっ。妾、木陰の気分を害する事を言ってしまったかえ?謝るから許して欲しいのじゃ』

「また夜にね。バイバイ」


私は念話を切った。


エルに向けられたスキルを、こっらから切るなんて普通できないんだけど、そこは阻害の出番。


私個人のパッシブスキルなのに、弄ってみたら出来ました。 流石はチート阻害君。汎用性がバカ高いです。


これで、アビスからの鬼電を気にする事なく、エルフレアを観光できそうだ。


まぁ、一応アビスお勧めの大神木は見ておこうかな。アビスが隠すって事は、よっぽど凄いものだろうし。


てことで、鑑定。


看破を持ってないから探すのは苦労しそうだけど、鑑定さん万能説は揺るがないのだ。


エルフレア

人口54096人からなるエルフの住む村。

エルフレアとは世界に点在する第1セクターから第7セクターを総称した呼び名であり、すべてのセクターに大神木が立てられている。この大神木こそエルフを守護する賢樹の正体であり、森を汚す者は賢樹の怒りん買う事となる。


第2セクターであるこの場所は、ノエラ・シューマンを村長とし運営されているが、村の方針を決めているのは賢樹であるユーリ・エルフレアである。


ユーリは森を護る大神木として森の中心に鎮座し、ユーリを通す事で、エルフを統治し、賢樹を指揮するエルフの女王アビスに会う事ができる。


流石は鑑定さん。

重要な情報をベラベラと喋りおる。


鑑定結果から大神木の場所を特定した私は、早速大神木を見に行く、なんて事はせずに、果物屋でフルーツを買い、木陰に腰を下ろした。


エルフレアの売りはフルーツだって、アビスに言われたからか、無性に食べたくなったのである。


木陰ちゃん木陰で休む。なんちゃって。

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