表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/119

魔王の疑惑


…。

…。

…。


ミーシャと朝まで語らい合い、気が付けば朝になっていた。

魔王になってからというもの、飲まず食わずでも平気で生きていけるし、睡眠を取らずとも体は常に絶好調だった。


でも、食べるのが好きだから、食事があるなら喜んで食べるし、眠る事も好きだから、ベッドがあれば5秒で入眠する事もできる。


なので、朝まで語り合った後今、ミーシャと普通に朝食を食べていたりする。


今日もこんな風に一日が始まって、終わればいいなと考えながら…。私は、旅立ちたくないのである。


ミーシャの目のには大きなくまがあるから、私が粘り過ぎるとミーシャが倒れそうではあるけど。


昼間は私の応援をして、夜は踊り子として働いていたミーシャは、ここ数日間あまり睡っていなかった。


モロゾフ君から奪ったお金を私に賭けさせたから、金銭にはかなり余裕が出来たと思うけど、ミーシャは良い子なので突然仕事を辞める事をしなかった。


私がいつ出で行っても見送れるよう、見張ってもいるから、ミーシャを安眠させるには、私がさっさと出て行かないといけなかったりする。


うぅ。出て行きたくないでござる。


私は基本引き籠もりで、実家のような安心感が大好きなのだ。


「たのもー。たのもー」


私が頭の中で葛藤していると、扉が二度叩かれ声が響いてきた。ノックの際、鎧が擦れるような金属音がした為、少しだけ嫌な予感がする。


「朝早くに誰かしら」

「城の兵士かな」

「たのもー。たのもー」

「取り敢えず行ってくるね」

「行ってらっしゃい」


ミーシャを見送り、私はサンドイッチを噛り、ミルクを口にした。前世では牛乳を飲むとすぐにお腹が痛くなったのだが、魔王の体は腹痛知らずだった。



来訪者はエル・ロロという名のしがない一般兵士だった。本人曰く、私の近辺警備を王に命じられた為、ここにやってきたらしい。


警護など勤まらない貧弱ステータで、何が警護出来るのかは分からないが、鑑定を使って真相を覗いてみるに、私という存在が一体何者なのかを探る為に派遣されたようだった。英雄ドラゴンですら歯が立たず、国宝の鑑定石による鑑定すら受けつない私には、神疑惑すら浮上しているみたい。


偽物を渡したり、勇者の称号を与えなかったのは、神を勇者に据えるわけにはいかないという、王様なりの配慮もあったらしい。


的外れな疑惑ではあるけど、ファインプレーではある。魔王を勇者にするわけにはいかないもの。


でもこれ、もしかしなくてもシーちゃんの介入があったりする?私が勇者になると、シーちゃんにとっては不都合だろうし。


『していませんよ 』

「うわっ」


ビックリ。

いきなり音もなく現れるんじゃない。てか、心を読むな心を。


『木陰ちゃんが私に、あらぬ疑いを向けていましたので』

「向けてないよ」

小声で反論してみる。

確かに向けたし、これからも一生向け続けるけどね。だってシーちゃんは、鑑定を受け付けない謎存在だし、心を読むし、超怖いもん。


あれ?

これ、まんまロスト王から見た私じゃない?


なるぼど。王は私が超怖いのか。

納得。


「驚かせてまい、申しありません」

「いや、別に」


エルに驚いたわけじゃないし。

驚くタイミングも変過ぎたでしょ?


「目障りですが、束の間、よろしくします」

「うん」


なんか、この子話し方変じゃない?

緊張してんのかな。

ちなみに、エルは女の子である。顔は鎧を着けてるから分かりません。


「木陰ちゃんに護衛なんて、いらないと思いますけど?」

「木陰?誰だべか?」

ミーシャの正論に、エルからも正論が返ってくる。てか、この子、めっちゃ訛っとるやんけ。


「勇者様の本当の名前です」

「ほえ~。いい事聞いたべ。メモメモ」


「それで、どうして木陰ちゃんに護衛が必要なんですか?」

「そんだら事聞かれてもおらはしんねぇべ」

「木陰ちゃん、こんな事言ってるけど、いいの?絶対におかしいし、王様に文句を言うなら、私も手伝うよ?」


「王に文句を言うと、ミーシャに良くない事が起きそうだから却下。それに悪人じゃなさそうだし、いいんじゃない」

「むぅ」


私の言葉に、ミーシャは不服そうに頬を膨らませた。

でも、因果が発動したら、折角手に入れたお金を没収されたりしそうだし、何より私は、エルという存在がかなり使えるのではないかとも考えていた。


「では、よろしくます。木陰殿」

「よろしくます」


エルが頭を下げ、私も頭を下げた。

エルが多分仲間に加わった。

戦力0の足手まといだけど。エルに合わせれば、例え旅立つ事を強制されても、ゆっくり旅な出来るし、話相手も出来てハッピーだ。


ミーシャは私の旅に、付いてきてくれそうな感じ0だしね。


という事て、私がゆっくり旅している間、人族のゴタゴタは頼みましたよ勇者ドラゴンさん。


私は心の中て、今頃勇者になっているドラゴンにエールを送った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ