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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

繰り返す、繰りかえす、くりかえす

作者: ポニー

夢をみていた。小さな家で日記を読む、何度も見た夢を。

─────────「っ!!」

頭痛がして目が覚める。だんだんと意識がはっきりとしてくる。周りを見渡すと、ここは家の中であり、どうやら僕は大きめの石に頭をぶつけ、床に倒れてしまっていたようだ。「ここは・・・」うっすらと見覚えがある、そうだ、夢の中で見た家だ。しかし、自分は一体誰なのか、ここで何をしていたのか、何も思い出せない。

僕はまだ夢の中にいるのか?そう思い頬をつねる、痛い。ならここは現実なんだろう。とりあえず、家の中を調べてみよう、そうすれば何かわかるかもしれない。

───家の中は随分と散らかっていたが、幸いにも、水とパンを見つけた、これでしばらくは大丈夫だろう。少しパンがカビているような気がするが。他に見つけたものといえば・・・日記だ。夢で見たものと同じだ、何か読んではいけない気がして手はつけていない。ひととおり家の中は見終わったようだ。それにしても、なぜこの家はこんなに散らかっているんだ。まあ、今はそんなこと考えても仕方ないか外に出てみよう、そうすれば誰か人に出会えるかもしれない。

扉を開け外に出る。眩しい、雲ひとつない青空が広がっている。とりあえずその辺を歩き回ってみよう。

───しばらく歩き回ってわかったことは、ここは「足根村」であるということ、やはりどこにも人はいないこと。

もうひとつ見つけたものがある、血痕だ。どうやらこの血痕は遠くまで続いているらしい、暗くなる間に辿ってみよう。───血痕の先にあったものは・・・死体だった。それも1人じゃなく、何人もの死体だ。驚くと同時に気分が悪くなり、その場で吐いてしまった。なんでこんなものがここに、もしかして・・・この死体達は・・・嫌な考えが頭をよぎる。

ひとまず、暗くなってきたしあの家に帰ろう、そして・・・あの日記を読もう。なぜそう思ったのかはわからない、

でも、なんだか日誌を読まなくてはいけない気になったのだ。そうすれば、何かがわかる気がする。

───家に帰ってくる頃には、だいぶ呼吸も落ち着いていた。日記を手に取り、1ページずつ読む。

『8月1日:大雨 こんな日は家でゴロゴロするに限る。』

『8月2日:大雨 今日もまた雨だ、今日は本でも読んで過ごそうか。』

しばらく読んでいたが、内容にほとんど変わりはなく、8月の間はずっと大雨だったようだ。しばらくペラペラとページをめくっていたが、手が止まった。

『9月1日:あめ いつまでこの雨は続くんだろう、食料も無くなってしまった』

『9月4日:あめ 気が狂いそうだ』

『9月5日:あめ そうか、あいつらが雨を降らせているんだ、村の奴らが俺に嫌がらせをしているんだ、そうに違いない』

『9月6日:あめ 今日は村の人間をひとりころした。食料の補給もできた。明日は晴れるだろうか』

『9月7日:晴れ やっぱりだ!!雨が降っていたのはあいつらのせいだったんだ!!』

それからは、雨が降るたび村人を殺していく、狂った男の日記が続いていた。僕は、いや俺は、この男が誰なのかを知っている。だってこの字は俺の字なんだから。日記を読んでいくうちに、記憶がよみがってきた。1人1人、村のみんなを殺していく記憶が。

───そうか、なぜ俺が家の中で倒れていたのか、その理由が今わかった。俺は死のうとしたんだ、罪の重さに耐えきれなくなり、自分すらも殺そうとした、でも失敗したんだ。ビビったんだろうな、今まで散々人を殺めておいて、自分は生にしがみつこうとしたんだ、俺は最低な人間だ。でも、それももう終わりだ。今度こそ、俺は自分で俺の人生を終わらせる。近くに落ちていた石を掴み、自分の頭に向かって思いっきり振りかぶった。

──────────────────────────────────────────死にたくない

「ゴン」と鈍い音が鳴り、男は床に倒れ込んだ。

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