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04 夢への始まりの日

 今日は記念すべき私の夢が叶う日。

 カフェひだまり亭オープンの日だ。


 昨日の挨拶周りで店の宣伝のパンフレットも配り、あとは、オープンの時間を待つのみだ。

 勿論パンフレットも、得意の魔法で()()()()()()

 複製・転写魔法を施し()()()()()()()で完成させた。そして、ご近所へは自分で試作のサンドイッチを持って挨拶に行ったが、離れた場所へは空間転移を使って一瞬で配り終えた。


「うん。魔法って本来こうやって使うべきよね?」


 そう自己満足に浸っていた頃、外がザワザワし始めたことに気づく。


 え?


 窓の外を見ると長蛇の列!


 嘘? まだ開店時間まで1時間はあるわよ?


 でもせっかくのお客様だしねぇ……

 かと言って店は私一人での経営。あれだけのお客様を一人で相手するのは……


 急ぎ、用意しておいた材料を魔法を駆使して、倍に増やした。

 そしてあらかじめサンドイッチをこれまた魔法を駆使して作りまくった。

 と言っても、一気に空間転移を使って材料を移動させ、所定の場所に動かすので一瞬で50個程度を作ることは出来るんだけどね。


 そして、昨夜急遽()()()自動精算機に目をやる。

 お金を入れたら自動でつり銭が出る中々の優れ物だ。

 我ながら力作である。



 あら! いけない! もうこんな時間だわ!


 さぁ、私の夢の実現の日よ!


「ひだまり亭開店します~いらっしゃいませ~~」



 私は大きな声でドアを思いっきり開けた。


「うわぁ~木の匂いがするわ~」


「明るいお店ねえ?」


「紅茶の良い匂い!」


 数名の女性客や、年配の御夫婦、若いカップルなどが次々に入店して来て、あっという間に店は満員になってしまった。


 私は急遽レジ横に作った台にテイクアウト用のサンドイッチを並べ、店内で座れない人もテイクアウト出来るようにした。


「お嬢さん? お金はこの中に入れたらいいのかい?」

 そう老紳士が私にたずねる。


「はい、お客様、こちらの数字を押し1つなら1を押してください。そして料金の500ギルを入れてもらうと、自然にこのロックが外れますから、お一つサンドイッチをお取り下さいね?」

 そう私がニッコリ微笑むと、老紳士は少し驚くような顔をしたが、私が側に行き、自動精算機を一緒に説明しながらやってみせると

「おおお! こりゃぁ凄い! 中々面白いのう!」

 満面の笑みで喜んでくれた。



 そんな感じで精算機の説明をしたり、お客様の接客をしたり忙しくしていたら、もうお昼前になっていた。



 カランカラン。店のドアが開く音がした。


「いらっしゃいませ~今日オープンした、ひだまり亭へようこそ~」

 私が挨拶すると、長身でかなりのイケメン男性が三人立っていた。

 三人ともタイプは違うが、全員イケメンと言われる部類であることは間違いない。


「すいません。まだ大丈夫ですか?」

 真ん中の金髪で色白、綺麗な青い目の男性が聞いてきた。爽やか系イケメンって感じかしら?

 私はちょっと頬が赤くなったのを誤魔化し軽く咳払いをし


「あ、大丈夫ですよ? 中で食べられますか? それともお持ち帰りですか?」

 そうたずねると、次は隣の少し赤み掛かった巻き毛で可愛らしい顔をした、癒し系イケメンさんが

「ここで食べまーす!」と元気に手をあげた。

「おい! マーク!」

 黒髪、黒目でちょっと強面だけど、がっしりした体型のイケメンさんがその癒し系男子に声を荒らげた。


「あっ、失礼。女性の前で大きな声を出してしまって……」

 私が咄嗟に驚いた顔をしたのに気づいたからか? そのがっちりした体型の男性が私にすかさずビシッっと頭を下げた。これには私も流石に驚き

「や、やめて下さい……みんな見てますし、それに大丈夫ですから……頭を上げてください……」

 私はその姿に恐縮し、慌てて顔を上げて貰うようその男性にお願いした。


「隊長ったら! こんな所でそんな大声出したり、隊長みたいな大男が急に頭を下げたりしたら、か弱い女性が驚くに決まってるじゃないですか!」


 先程マークと呼ばれていた、巻き毛の可愛い系男子が、そのちょっと無骨な強面イケメンさんに言った。

 か弱くはないですけどね……これでも以前の私はAランクと言われる魔物程度なら一人で瞬殺出来た。時間は掛かるかもしれないけど、長期戦で戦うならSランクのドラゴンですら互角に戦えるかもしれない自信はあった。数多の魔法を駆使して敵を徹底的に弱体化して、最高位魔法を連続でぶっぱなせば。

 良いところまでは行ける確信がある。


 私には魔法作成と言う大聖女特有の有効スキルがある。自分の思い描いた魔法を作成し、使用出来る便利な魔法。これを使って、相手の魔力を奪う魔法を作成すれば、例えドラゴンと言えど、魔力がなくなれば、ただの大きなトカゲだ。


 まぁ、もうそんな前線での修羅場を経験するつもりは全くないけどね。


 何で好き好んで年頃の女性が、自分の身を危険に晒してまで、血生臭い戦地で戦わないといけないのよ。しかも戦場に行くと、まともな食事を食べることが出来ないばかりか、お風呂にもろくに入れない日が続くのよ?


 あーーーーーー無理無理そんなの!

 あんなの女性がする生活じゃないわ!


 ボサボサの髪振り乱して、化粧っ気もなく、目は吊り上がり……あの頃の私って自分で言うのも何だけど、()()はないわ……


 せっかくの新しい人生。それなりにお洒落をして、可愛らしい物に囲まれて、美味しそうなスィーツを満喫し、そしてちょっぴり恋愛なんかも出来たら? キャーー恥ずかしぃ!



 そんな妄想に一人で浸っていたら


「あ、あの? お嬢さん? 席に案内して貰ってもよろしいですか? 私は第一騎士団の副隊長をしているアンディ・クロードです。先程は申し訳ございません。うちの者がお騒がせしてしまって」

 そう言って爽やか金髪イケメンさんが私にニッコリ微笑みながら言った。


 は! ヤバイ! お客様の前だったわ! 私ったら!

 あまりにもの前の世界のストレスから、愚痴の出放題だったようね。


 私は反省し、その騎士様に笑顔で答えた。


「申し訳ございません。お待たせしました。ではこちらへどうぞ?」

 自分の妄想を恥ずかしく思い、それを誤魔化す為に少し俯き加減に案内した。








「お忙しい中、最後までお読み頂き、大変感謝しております。」

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