13 贈り物
──王宮の一室にて
「クランツ、至急極秘に調べて欲しいことがある」
少し驚いた表情をしたが、いつもの冷静さを取り戻し、たずねた。
「何をお調べしたら? 殿下?」
「最近できたカフェ『ひだまり亭』の店主について、何でもいい。分かること全てを調べろ! 早急にだ!」
「『カフェひだまり亭』と言えば、確か殿下がご執心の? 今、噂の美人の店主が営んでいると言う店でしょうか?」
「誰が執心だと?」
彼は眉を寄せ不快感を露わにし低い声で言った。
「いきなり200個ものサンドイッチを買って来たかと思えば、それから毎日通っておられるようですが? てっきり私はその店主にご執心なのかと思いましたが?」
「何で俺があんな……単に、あそこのサンドイッチが気に入っただけだ! それがどうしたと言うんだ!」
またも、不快感を顔に浮かべ声を荒げる。
「で? 何故その店主を調べるのですか?」
「そ、それはだなぁ、市井の者達が多く利用しているようだし、何か問題があるような店だと、この国のためにも……よくないと言うか……」
「殿下? 流行っているのなら寧ろ、良いことではございませんか? 町の活性化にもなりますし?」
「ええい! うるさい! とにかく調べろと言ったら調べろ! どんな小さなことでもよい。全て俺に報告しろ! そしてこのことは他言無用である!」
「は、はい……では失礼して……早急に」
そう言って、クランツは部屋を出た。
「──しかし魔法か……それも高位な回復魔法。あの娘は何処で?」
────「ふあ~~あ。よく寝たわ。昨日は色々あって流石に疲れていたのかしら?」
──まさか自分の正体を第一王子の側近が調べているとは思いもせず、サーシャはこの日も、いつも通り起床し、遅めの朝食を摂っていた。
そしていつものようにシャワーを浴び、身支度を整え一階に降りた。
昨日を思い出し入口のドアを見る。あの後直ぐに業者の人が来て、新しいドアと取り替えてくれた。
そして割れたガラスや、飛んで来た、馬車の車輪なども回収して持って行ってくれたのだ。
「今日は意地悪しないでちゃんとお礼を言わないとね……」
そう思いつつ開店時間をむかえ、店を開けた。
「こんにちはーサーシャさんお届け物です~」
いつもの、宅配屋の彼の声か聞こえた。
「は~い。いつもありがとう」
私は笑顔でお礼を言う
いつものように手際よく、荷物を台車からおろし、テキパキと店内に置いてくれている。
ん? その中でも一際大きな花束を発見した。
数えきれないほどの沢山のバラで出来た花束。
ピンクを基調とした、優しい色合いのバラが両手で抱えきれないぐらいの大きな花束になってある。
これは? そう思って私が花束に視線をやると、配達屋の男性が言った。
「綺麗ですねぇ? こんな豪華な花束、俺も始めて見ましたよ?」
笑顔で彼が言った。
私はその大き過ぎる花束を一旦店のカウンターの上に置いてもらった。
そして全ての荷物のサインを終え、配達屋の彼が去ったあと、その大きな花束に再び目をやる。
そこにはとても、上品で上質なカードが添えられていた。
「今日も12時半までに行くから席を用意しとけ」
そう一行だけ書かれていた。
は? 何それ??
何なのよ!
はっ……いけない。今日は彼にお礼を言うと決めたのに……
それにしてもこの花束……
私は仕方なく、錬金魔法を使って大きめの花瓶を作成した。
「これでよし! それにしても……嫌がらせかしら?」
作成したばかりの花瓶に、花束を活けようとしたが
「重っ! これ!」
あまりにも本数が多く重かったので、また空間転移を使用し、花瓶に活けた。
「絶対、嫌がらせだわ……私に対する……」
空間転移を使用し、出窓の上に置いた。
はぁ……
何か疲れたわね。魔法を使っての作業の為、身体は全く疲れていなかったが、なんとなく精神的に疲れた気がした。
「まぁでも、意地悪な人と言っても、私を助けてくれた人だし……」
そう思い直して、ふと時計に目をやると。
「あら、いけない。こんな時間!」
時計は10時を指してあり、私は急いでドアを開けた。
「お待たせしました~カフェひだまり亭開店です~」
「お忙しい中、最後までお読み頂き、大変感謝しております。」
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