表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

笑みの歳

作者: あまね

 

 その一瞬の光を、今の時代は青春と呼ぶ。  


 それならば自分は、人より少しだけ長く青春を感じているのだろう。


 笑って下さいと声をかけられる。


 何故に簡単に、笑顔が出来ないのかと、古い、しかし高級感が出ているカメラのレンズの向こうの人は、そう思っているだろう。



 まぁでも、そんな目をされても困るというのが、正直すぎる感想だ。


 こんな歳になっても、愛想というとのが、欠けている。

 それが、わかってなお、笑顔になって写真をとれと言うのは、中々の酷さだと思うのだ。


 笑み年というものを制定した、政治家いや、民間企業や神仏関係者等々は、多いに反省して、自分に頭を下げてほしい。


 そう思うほどに、煩わしい。


 笑顔が大人になると、減ってしまうという事を危惧したならば、もっとやることは他にあっただろうに。


 よりによって笑顔の写真をとって、大人になる前に奉納して、家族友人と笑顔を分かち合おうだなんて、時代錯誤もいいところだ。


 そう思えば、AI世代の弊害だの、人と触れることの少なさによる感情の希薄さだの言われる。


 まぁ300年も続けば、立派な伝統だと思うことにしよう。


 実際に続いているのだし。

 神社、お寺に奉納されている笑顔が並んでいるのは壮観で、不気味で、それでも続いているのは、笑顔を絶やしたくないという思いからだろう。


 色々な厳しさが溢れるようになり、禁止事項や文句も悪意も社会には溢れた。


 子供は減った。


 社会を支えるために、大人は頑張らないといけない。


 そのために、笑顔はここに奉納して、自分にも、こんな時代もあったのさと肩をすくめながら、笑わないといけない。


 今年から大人は12才、今までより2年下がった。


 本当に、大人になるのは簡単で大変だ。


 カメラのシャッターの光が、自分の顔を照らす。


 今度は少しでも、笑えているといい。


 青春を何度もやる事など、今の大人には許されていないのだから。
















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ