両親の馴れ初めをきいたけどちょっとヒきました。
「お父さんはどうしてブルモーリー村から王都に来たの?」
それはカシスを採りにブルモーリー村へ行く数日前のこと。ルノアはなぜ父が生まれ故郷の田舎から王都、クレアディスタに来たのかきいた。田舎にだって仕事はあるだろうに。
「お父さん、小さい頃から都会に行きたくてなあ。こんな田舎じゃなくて都会で一旗揚げてやる!って思ってな。まあ、いざ都会に来るとあんな田舎でも愛すべきところがあったというか…」
「父さんはいくつで王都に来たの?」
一緒にきいていたメロウは興味がわいたのか父に質問した。
「十九だよ。本当はもっと早く田舎を出たかったんだが、家業の手伝いをしていたからなかなか金がたまらなくてなあ」
「じゃあオークス酒店は十九歳から始めたのか?」
同様にきいていたグロウも父にきいた。
「いや、出てきたはいいけどなにをすればいいかわからないし、資金もなくてな。しばらくは肉屋とか料理店とか掃除屋とか、仕事をかけもちしてたよ」
労働基準法などない世界だ、きっと大変だっただろう。
「母さんと出会ったのは田舎から出て一ヶ月くらいしてからだったかな」
「そうね、十六歳だったかしら。あのとき王都の隣街の花屋で働いてたのよ」
「あれ?お母さんの実家って王都だよね」
「そうなんだけど、実家は人手が足りていたから働きに出ていたの」
「母さんを初めて見たとき驚いたよ。都会にはこんなに綺麗な人がいるんだって」
父は遠いようであっという間だった昔を思い出していた。呆然と見上げた街並み、数の多さに驚いた人の群れ、その中でひときわ輝いていた花と見まごう女性。
「花を手に働く母さんに、父さんは初対面で思わず言ったんだ」
「告白?まさかプロポーズ?」
――お嬢さんはいくらですか?
「………」
「デートに誘いたかったんだが、田舎者の父さんなんて相手にされないと思ってな。せめて金を払ってでもデートしたいと思って」
「驚いたわあ。娼婦と勘違いしてるって思ったもの」
「あのときの母さんの張り手でもっと夢中になったよ。綺麗なだけじゃなくて強い人だなって」
照れる父と怒りを含む笑顔の母。互いの第一印象は正反対だったらしい。そしてちょっとヒいた三人の子どもたち。
けっきょくその後、父の猛アタックで交際。結婚を機にオークス酒店を開店したらしい。
「あのときは最低って思ったけど、今はこうして子どもにも恵まれて幸せだもの。ルノアだってどこに出会いがあるかわからないわよ」
――それは数日後、攻略キャラに出会う私への予言のようだった。




