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決勝戦に出れない!?

「那覇、おまえは決勝戦に出れないんだ。」

 準決勝も快勝した俺は具志堅監督に呼ばれた。

「はい。分かりました。」

 那覇は野球をしなくて良いことに安堵した。

「あれ? ここは「なぜですか!?」とか「俺は決勝戦に投げますよ!?」とか言ってもいい所だぞ?」

「すいません。僕、そんなに野球が好きじゃないんで。」

 那覇は内気な選手で、元々はスポーツをする子供ではなかった。

「そうだな。那覇、おまえはうちのデニーが死んでしまって、その罪滅ぼしのような気持で野球を始めたんだもな。」

「はい。あの時、僕が変な所にボールを投げなければ、デニー君は死なずに済んだんです。」

 那覇は友達を殺してしまったと罪の気持ちに苛まれていた。

「あ、忘れていた。本題なんだが、那覇、おまえ全日本代表に選ばれたぞ。」

「え? ええー!?」

 那覇が決勝戦に出れない理由、それは少年野球の日本代表に選ばれたからだった。

「僕が日本代表!?」

「そうだ。日本代表の合宿に呼ばれたので、おまえは決勝戦には出れない。」

「か、監督。」

「なんだ?」

「もう野球を辞めたいんですけど。」

 那覇は野球を辞めたいと思っていた。

「なにー!?」

 寝耳に水の監督は大いに驚いた。

「どうしてだ!? 那覇!? おまえは小学1年生で日本代表に呼ばれるくらい野球の才能があるんだぞ!?」

「最初はデニー君の夢がプロ野球選手になることだったから、その分、僕が頑張ろうと思ったんです。だけど野球をやっていると性格が変わるというか、自分が自分でなくなっちゃうみたいで気持ち悪いんです。」

 それは俺が那覇、おまえに取り憑いているからだよ。

「そうか、難しいな。でも、せっかくだから日本代表の合宿には行ってこい。貴重な体験になるぞ。やめるのはそれからでも遅くはない。」

「はあ。」

 那覇は気が弱いので監督に押し切られた。

「あ、那覇くん。」

 そこに幼馴染の安室奈美が現れた。

「安室ちゃん。」

「ねえねえ、那覇くん。一緒に帰って、おままごとしよう。」

「うん、いいよ。」

「やったー! 一緒におままごとするの久しぶりだね。」

「そうだね。野球を始めてから、ずっと練習ばかりで、遊ぶ時間も勉強する時間もないんだ。もう疲れたよ。野球、辞めたいな。」

「分かった。そういう生活に疲れたお父さん役ね。私が慰めてあげる。」

「わ~い! 嬉しいな。膝枕して。」

「いいよ。」

 まだまだ子供の那覇であった。

 つづく。

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