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沖縄大会準決勝

「よし! いくぞ! 絶対に勝つぞ!」

「おお!」

 那覇たち沖縄小学校は少年野球の準決勝に挑む。沖縄野球場で円陣を組んでチームは気合を入れる。

「それでは試合を始めます!」

「よろしくお願いします!」

 審判の前に整列して相手チームに挨拶をする。いよいよ準決勝の始まりである。沖縄大会は3試合勝てば優勝である。

「プレイボール!」

 審判の合図で準決勝が始まった。スポーツモノの良い所は、試合で間をつなぐことができることである。そう簡単にメインストーリーや恋バナは進まない。

「打て! 西表!」

 1番は西表先輩だった。僕は裏のピッチングに備えてブルペンで肩慣らしをする。

(フッフッフ。今日も俺は絶好調だ! 今日は120キロ出るんじゃねえか? ワッハッハー!)

 俺は野球場に那覇が来ると現れることができる幽霊だった。そして俺の調子は絶好調。

(んん? なんだなんだ? 一回戦に比べて観客が多いな? どうやら俺の実力が認められたようだな。ニヤッ。)

 確かに沖縄球場の客席にお客さんが多かった。そして目立ったのが、スピードガンを持った大人たちだった。

「おい、スピードガンを構えろ。」

「はい。」

 大人たちのスピードガンは那覇を追いかけていた。西表先輩がホームランを打とうが野球の試合は一切注目されていなかった。

「おい、何キロ出ている?」

「ひゃ、100キロです!?」

「おいおい!? スピードガンの故障じゃないか!? あの那覇って子は、まだ小学一年生なんだろ!?」

 那覇のウォーミングアップのピッチングは球場に新聞記事や噂を聞いた、野球関係者のスカウトやスポーツ記者を集めた。

「初回は一点止まりか。いくぞ、那覇。」

「はい。」

 那覇のチームの攻撃は1点だけだった。遂に注目されている那覇がマウンドに上がる。

(ああ~注目されている! みんなが俺を見に来ているぜ! 快感だ! 絶対に名門中学校やプロ野球チームのリトルリーグからスカウトされてみせる!)

 幽霊の俺は今までにない充実感に満ち溢れていた。俺がプロ野球にスカウトされる日は近い。

「プレイ!」

 審判が1回の裏の攻撃の始まりを告げる。

「ピッチャー第一球を投げました!」

 俺は那覇に取り憑いて、この試合の第一球目を投げた。

「ストライク!」

 俺の投げたボールは地面の砂を巻き上げながら、キャッチャーミットに火花を上げながらめり込んだ。

「何キロだ!?」

「130キロです!?」

「なに!? あの小1は化け物か!?」

 俺の投球に、おおー! っと球場全体からどよめきが起こった。

 つづく。

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