表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/100

アメリカン・ジョーク

「ピッチャー交代。ピッチャー那覇!」

 遂に出番がやって来た。2回の表、ノーアウト。4対2で俺たち日本代表は負けている。

(覚悟しろ! カナダ! 俺がマウンドにあがった以上、もう1点もやらねえからな!)

 俺は気合が入り過ぎて、いつもより体が軽く感じるくらい絶好調だ。

「プレイボール!」

 試合が再開された。

(いくぞ! カナダ! 俺のバーン・ボールを食らいやがれ!)

 俺は第一球を投げ込んだ。

「こい! ちびっ子! 打ち返してやる! ホームランだ!」

「おいおい? ここは砂場じゃないんだぜ? 子供はディズニーランドに行きな!」

「この試合、俺たちの勝ちだな。決勝戦はアメリカだ。ワッハッハー!」

 カナダチームは俺を見て、自分たちの勝利を確信していた。

 ズドーン!!!

 俺のボールは火花を上げながら加速しキャッキャミットに吸い込まれた。

「え?」

 審判もカナダのバッターも、カナダのベンチも観客も、言葉を失うぐらい驚いた。

「ええー!?」

 そして皆の止まった時間が動き出した。どう反応していいのか戸惑っているみたいだった。

「審判、入ってますよ?」

「あ、あああ、ストライクー!」

 日本のキャッチャーに促され、球審がストライクをコールする。

「な、なんなんだ!?」

「おいおい!? アメリカン・ジョークだろ!?」

「あんなボール見たことがないぞ!?」

 カナダの選手は俺のピッチングに夢を見た。

「キャアー! スゴイ!」

「坊や! カッコイイ!」

「ウオオオオオオー!」

 観客のボルテージは俺の一球を見て最高潮になる。

「うむ。将来のために球拾いで招待しただけのつもりが、まさか戦力になるとは!?」

「そうですね。長嶋監督。初めて見た時は、アメリカで初めて那覇を見た人々と同じ衝撃を受けましたよ。那覇がいればアメリカにも勝てるかもしれません!?」

 全日本代表の長嶋監督と原コーチも俺の投球を認めていた。

(毎回、この展開が嫌になるぜ。早く俺の名前を世界に響かせてやるぜ!)

 俺の野望は終わりを知らない。俺は次々と投げ込んでいく。

 ズドーン! ズドーン! ズドーン!

「ストライク! バッター! アウト! チェンジ!」

 2回の打者3人を9球で三者連続三振にとった。

(よし! 待ってろ! アメリカ!)

 俺の心の情熱の炎は更に過熱していく。

「すいません! すいません! ごめんなさい! 許してください!」

 那覇自身は体が勝手に動き、自分でも、なぜこんなに体が動くのか分かっていなかった。

 つづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ