表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/100

夢はプロ野球選手!

「俺! プロ野球選手になる!」

 俺の名前は具志堅デニー。沖縄に住んでいるとプロ野球のチームが春先に秋季キャンプにやって来る。

「どうして?」

「カッコイイから!」

 子供ながらに俺は大人のプロ野球の迫力に憧れた。憧れは将来の夢の動機に十分なる。

「あっそ、デニーらしいね。」

 俺の友達の那覇勇作。大人しくて、気弱で、俺のパシリだ。近所に住んでいる幼馴染という悪縁でつながれている。

「那覇、俺たちもキャッチボールしようぜ!」

「ええ!? 僕、運動神経が良くないのに・・・・・・。」

 俺の圧力に屈している那覇は気弱な性格になってしまい、自主的に運動をしようとするタイプではなくなった。全て、俺の性ですけど。

「いくぞ! 俺様の剛速球だ!」

 俺の投げたボールは子供ながらに時速100キロは出ていた。

「ギャアアアアアア!?」

 俺の空気を切り裂き渦を発生させるボールを那覇は受け取れないで、吹き飛ばされる。ボールが当たって痛いではなく、吹き飛ばされるなければ最近はウケないらしい。

「痛いよ!? もうデニー君とキャッチボールなんかしたくないよ!?」

 那覇はキレキレでメソメソだった。

「悪い悪い。今度は手加減するからよ。」

 誰かが言っていた。この世は気を使った方が負け。他人を踏みつぶせる者だけが成功を掴めると。プロ野球選手になれる者は、毎年100人もいない。実力勝負の世界だ。

「いくよ。え~い。」

 那覇のヘロヘロボールは、俺の頭を通り越して、遥か彼方に飛んで行った。

「バッキャロウー! どこ投げてんだよ!」

 俺は那覇に文句を言いながらボールを拾いに国道に出た。

「ごめんなさい! え?」

 次の瞬間、ドスっと音がして、俺は車に引かれて、吹き飛ばずにまともに直撃を受けた。即死だった。吹き飛んでいれば衝撃は軽かったかもしれないが、俺は運が悪く流行に乗れなかった。

「デニー君!?」

 俺のプロ野球選手になるという夢は終わった。


 そして月日は流れた。

 俺の大好きだった野球の試合が始まろうとしている。少年野球だ。沖縄のリトルリーグの試合だ。

「ピッチャー、那覇くん。」

 那覇は野球を続けていた。

 つづく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ