舞台裏のエピローグ
――とまあ、こんな感じで今回も終わったよ。
見事に解決だろう? 演劇サークルの人にツテなんかあったんだね。それにしても、エキセントリックラリーって名前はどうなんだい。え、趣味? あ、そう。
え、うん。そうだけど。そうなの? ちょうど今持ってるけど。はい、これ。
違うの? ナンバーワンとは読まない?
だって後ろから右フックされたら首は左に……あ、そっちを左に傾けるの?
あー……なるほど、裏返してからタグに右フックね。
そうすると……えっと。"l、о、u" だね。これでどう読むの?
いや、それは無理があるよ姉さん。
これで "アイ ラブ ユー" とは読めないよ。
アイは分かるよ。見れば分かる事は僕にだって分かるからね。真ん中はどう見てもアルファベットのオーじゃないか。え? あ、だから今回の舞台がテニスサークルだったのかい? 確かに、テニスではゼロの事をラブと呼ぶけれども、さすがにこれは……ねえ。
ユーは? ああ、同音だからか。uと you は確かに同音だね。
じゃあ、今回は姉さんの勝ちってことに? でも、天狗は解けたと思っているよきっと。
勝負は次に持ち越し、ねえ。そういう所は本当にポジティブだね。また僕を巻き込むつもりかい、姉さん。
いいじゃあないか。
こんな回りくどい事をせずに、好きなら好きと言ってしまえば。あ、でも、天狗が義理の兄になるのはちょっとなんだかこう、考えさせられるものがあるなあ。無職だもの、彼。
いやいや、姉さんの恋路を邪魔するつもりはないよ。
むしろ、変人同士でお似合いだと、あ、いや何でもない。
何でもないったら。
とにかく、僕をワトソン役にするのはもう勘弁してよ。姉さんと天狗の奇妙な推理ゲームに、僕がどうして巻き込まれなきゃあならないんだ。
え、鉄雄特製弁当、1週間分? 鉄雄って、ああ。アレン役の人か。
……なら、まあ、ちょっとくらいは協力してもいいかな。弟の僕としても、姉の頼みを無下に断るほど薄情じゃないから。
別に弁当に釣られたわけじゃないよ。
ほんとだってば。
それじゃ、次の謎ができたらまた言ってよ。天狗に声かけるからさ。
うん、それじゃあ、お休み姉さん。