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偏差値52の魔王様  作者: 佐倉要
序章
3/11

3

「やばいって!ねぇ!母さん!なんで起こしてくれないの!」


「だってしゅうちゃん、気持ちよさそうに寝てるし…」


ーー7時40分


これはまずい、遅刻できない理由がある。今日、このタイミングで遅刻するということは社会的抹殺を意味する。


ーーまずいまずいまずいまずいまずいまず…


「ああーっ!もう!いまずってなんだよ!誰だよくそ!」


「…いまず?ねぇ、ぱぱ、いまずって何かしら?今日の晩御飯のリクエストかしら?」


「あれは無視していいんだよママ。」


そんな夫婦の会話は置いといて。


俺は弁当とリュックをつかんで廊下で転びそうになりながらも全速力で家を出た。


「いってきま「バタンッ」」


「朝からしゅうちゃんが元気で嬉しいわ♡」

「そうだね、僕も朝からママが楽しそうで複雑な気持ちだよ。」


父親とは偉大だ。


今日遅刻できない理由?それはだね…


中高一貫の学校のため俺と古澤、藤谷はなんだかんだいつもつるんでいる。


この2人には気を使わなくていいし、自然体でいれるから居心地がいい。

それにまぁその、それなりに日頃の感謝ってものもある。


だがしかーし。今回は別。

昨日俺が告白されてんの見た彼女いない歴=年齢のチェリーボーイズはやっていいこととやってだめなことの判断がつかなくなってしまったみたいだ。俺の机に理想の彼女を描いてくれたらしい。

昨日の夜わざわざご丁寧に写真を撮って送ってくれた。


なるほど、この溢れんばかりの脂肪のかたま、、スイカ2玉は藤谷の趣味か。

んで?この曲がった腰と、ほうれい線、これはまあ、いいや。


スイカ垂れてんなぁ。


なんというか、このよくわからん状況の女性を書かれるくらいならエロ本机の上に置かれてるほうがマシだ。


一応やつらも爪の垢ほどの親切心で周りの机と同様に椅子をあげて机上は見えないようにはしてあるらしい。


が、遅刻するとその椅子は自動的に隣の席の成績優秀、容姿端麗、の水樹さんに降ろされてしまう。


避けねば。


やつ(スイカたれ子さん)を隠し通さねばならん。


そんなことを思いながら俺は全速力でチャリのペダルを漕ぐ。


時計をチラ見、おし、このまま行けば朝礼にはまだ間に合う…!


でもさ俺は忘れてたんだよね、人生そんなに甘くないって。めちゃめちゃ急いで家を出たらスマホ忘れて取りに帰って、スマホ持って家でたらスマホと引き換えにカバン家に忘れて、玄関出たらスマホしか持ってませんでしたーーーみたいな?


さすがにこれはどんくさすぎるって?

バカにするでない。俺の場合、annualイベントである!(ドヤァ)


1年に1回ってたぶん多い方だけど、自慢するほど多くはないし、なんというか、

The 微妙…


そんな外野の声が聞こえるかがするが、俺はペダルを漕ぎ続け、、

曲がり角を曲がった時自転車同士で接触しかけて避けるために俺は盛大にやらかした。


ですよね。

何かありますよね。


ガッシャーーン


転がってる俺をよそに接触しかけた相手は何事もなかったように進んで行く。

いってえな…まじで勘弁してくれよ。せめて止まって声でもかけろよ、おいーー


ーーお前も転べばいい。俺より痛い間に合えくそ。


0.1秒。そう思った刹那。


ガードレールに突っ込む相手の姿が思い浮かんだ。


ーーえっ、うそ、


全身の毛穴が開くのを感じた。


ガンッ



まずいと思った時には遅い。

接触しかけた相手は自転車と一緒に宙に舞ったと思ったらそのままガードレール下まで落ちて行った。



ーー俺今、見えてた…?


いままでじゃんけんや、スポーツ、いろんな場面で相手の動きが自分の望みとリンクして見えることはしばしばあった。


でもこれは、、、




相手は意識不明の重体だそうだ。

学校に着いてから先生が教えてくれた。


その日俺はどうやって1日を過ごしたのかな思い出せなかった。


ずっと何かを考えていた気もするし、何も考えていなかった気もする。


ただ、帰り道自転車のハンドルを握る手はいつになく冷たかった。



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