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8話「ニャァ~」




 映画館など滅多に入らない為、スクリーンの前に座ると何故か緊張してしまう。映画館で見たい人は慣れてるかもしれないが、私みたいな後で借りて見ちゃう人は映画館に慣れてないんだ。

 ドライもんを見ているとその緊張も溶けていく。あの暖かい目を向けられたら笑ってしまう。




 ポップコーンもジュースも丁度なくなって店員さんが持つゴミ袋に捨てる。

「楽しかった~」

「良かったな」

「今度は友達と来たら?」

「うん!そうするよ!」

「え、ゆり友達出来たの? 女だよな?男はいないよな?」

「……さーってと、かーえーろ!」

「え?いるのか?おい」

「お兄ちゃん、ゆりももう年頃なんだよ?いいじゃない」

「理沙……駄目だ!ゆり!お兄ちゃんは許さないぞ?!」

 なんかお兄ちゃんが言ってるけど、聞こえなーい聞かなーいアハハ。

 スマホの電源を入れると、6時手前だった。急いで帰ろう。

「もう少しで6時になるよ、早く帰ろう」

「そうだね、馬鹿は置いてって早く帰ろうか」

「ちょっと?!理沙、お兄ちゃん悲しい…」

 お兄ちゃんを後ろに私とお姉ちゃんは横に並んで帰り道を歩く。



 なんだかんだ楽しく話しながら帰路に着くと、お母さんが夕飯の支度をしていた。それを手洗いうがいをしてから手伝う。

「ふふふっ、楽しかったの?ずっと笑顔だよ」

「うん!楽しかった! お母さんも来れば良かったのに」

「ふふっ、お母さんも今日良い事があってね、嬉しくてお肉買ってきちゃった」

「あはは、何々?何があったの?」

 お母さんは、水で濡れた手を口元に持っていって笑う。

「今日のヨガでね、姿勢が良いって先生に褒められてね」

「お母さんずっとヨガ続けてるし、元々姿勢も良い方じゃん」

「でもでも、本当に嬉しくて」

「可愛いなぁお母さんは」

 手を洗い終わったお兄ちゃんが会話に入ってきた。

「あら、(りく)はお母さんみたいな人がタイプ?お母さんみたいな人、私の他にいるかしら?」

「うわー、もしかしてお兄ちゃんマザコン?」

「キモいねー」

「ねー?」

 話しながら支度を終える。今日の夕飯は、鳥ささみステーキと昨日の残りの炒り豆腐がおかず。デザートは昨日の残りのイチゴ。




 夕飯を食べ終えた後、皆でテレビを見ながらイチゴを頬張る。甘いよ。さすがイチゴだよね。この先っぽが一番甘い気がする。

「ただいま~」

 お。お父さん帰って来た!

 イチゴを頬張りながら待ってると、リビングのドアが開いてお父さんが入ってきた。

「ただいま~、あっ、いいな~イチゴ。ゆり1個頂戴!」

「あげないよ!」

「ふふっ、お父さんの分もあるから、まずはご飯を食べましょ」

 私のイチゴを食べようとしたお父さんにお母さんが諭す。どうやら私のイチゴは無事に私の口に運ばれるようだ。良かったねイチゴさん。


 台所に入っていったお母さんは、少しすると暖かなご飯と味噌汁を手にして戻ってきた。

「はい、どうぞ」

「ありがとう、お母さん」

 お母さんとお父さんのやり取りを見ていると、少しムカつくのは何故だろう。

 2人の様子を横目にソファに移動する。

「ゆり!見て見て!」

「あははは、あはは」

 お姉ちゃんがテレビを指しながら言ってきた。その方向を見ると凄く笑っているお兄ちゃんが居た。テレビ画面に映っているのは、最近流行っている芸人さん。話題になったネタを披露している。


「んふ、ふふふ、あはははは!見えてる!見えてるよー、あははは!」

 面白い。全裸に見えるポーズで流行っている芸人さん。太ってるからそんな事出来るんだろうな。でも時々、ピンクのパンツが見える。そこがまた面白い。

「っあー、面白かった」

「あー。あれさ、少しでも痩せたらあの芸出来ないよね」

「確かにー。いやーホント面白いわー」


 3人で笑っていたら、笑い声に釣られたのか猫がきた。ペットのみいちゃんです。いつ見ても可愛いわ、まじで。

 私は、猫を抱えながらテレビに集中する。視界の端ではお母さん達がイチャイチャしてるだけでつまらない。

 3人でテレビを見ていると、私のイチゴがなくなっていた。Oh、私のイチゴもうなくなってしまったか。

 お皿をキッチンに戻しとく。テレビの前に戻ってくると、お兄ちゃんがみいちゃんを抱いていた。


「みいちゃ~ん、にゃ~、かわいいにゃ~」

「にゃ~、みいちゃ~んにゃ~、にゃにゃにゃ~」

「ちょっと2人供うるさい。ね~みいちゃん」

「ニャァ~」

 お姉ちゃんの言葉が分かるのか、タイミング良く鳴いたみいちゃん。みいちゃんうるさかった?ごめんね~ゆるしてにゃ~。

 なんて3人とみいちゃんで話していると、テレビが終わった。

「お風呂誰か入るー?」

「はーい、私入るー」

 8時だし、何もないし今日はもう入ろー。

 風呂場に向かう途中、お兄ちゃんが話しかけてきた。

「早く出ろよ?1時間も長く入ってないで」

「分かってるよ、もー」

 失礼しちゃう!女の子は風呂が長いという事を知らないんだから!だからお兄ちゃんはいつまでも彼女出来ないんだよ!それに、最近は少し早めに出てるもん!

 イライラした私は、脱いだ服を洗濯機に思い切り投げた。



「次誰かどーぞ」

 お風呂を出て、リビングに行くと皆がいた。風呂が空いた事を言いながら時計を見ると、9時なる20分前。

「え、早くない?ゆりって大体1時間入ってるじゃん」

「最近早くしてるんですぅー」

「少しだけどね。次私入ってこよー」

「いってらー」

「ゆり、髪の毛濡れたままじゃ風邪引くよ。ドライヤー持ってきてここに座りなさい」

「……はーい」

 しょうがない、ドライヤー持ってくるか。なんかお兄ちゃんが笑ってるけど、気にしない。


「ゆりの髪はさらさらしてるわよね~、ずっと触っていたいわ」

 私の髪を乾かしてたお母さんがニッコニコの笑顔で話し始めた。たまらず笑顔で聞き返したら、お母さんは私の髪を触りながら話した。

「本当よ。きっとお父さんに似たのかしらね。羨ましいわ~」

「俺、母さんの髪の方が好きだな~、クルクルしてるの可愛い」

「お兄ちゃん、キモいよ」

「きっ、?!」

「ふふふ、ありがとう陸。でもごめんなさい、私にはお父さんがいるから」

「お兄ちゃんフラれてやんのー」

「なっ! ハァ、別に告ってないんだけど」

「はい、終わり!」

「ありがとーお母さん」

「ゆり、宿題は?」

「あら、ゆり宿題あったの?」

「あったけどもう終わったー」


 お母さんとお兄ちゃんで話していたらお姉ちゃんがお風呂から出てきた。 早くね?時計を見たらあと少しで9時になる。 さてはお姉ちゃん、私とドラマが見たかったのか? フフン♪寂しがり屋め♪

「ゆり、キモいよ」


 その後、結局お姉ちゃんとドラマを見た。急いでお風呂を出てきたお兄ちゃんも途中から一緒に見て、10時にお兄ちゃんは部屋に戻った。

 お姉ちゃんも部屋に戻ったので、仕方なく私も部屋に戻った。自分の部屋のテレビで好きなアーティストのバラエティー番組を見る。


『さぁ、今週も始まりました!嵐にしやがれー!!』

 わぁ~始まった~。テレビに向かって拍手をしている私は変だろうか?まぁ、いい。いつ見ても嵐はかっこいい。癒される~。


 好きな番組を見終えた後もテレビを見続ける。寝たのは深夜1時。お兄ちゃんが知ったら怒られるだろう。




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