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7話「まかせろぃ!」




 アラームが私を起こした。いつもの女々しいフレーズとは別の、曜日を繰り返しているフレーズが耳を掠めた。

 なんでこの歌?と思ったのも束の間、今日は土曜日だ。昨日の夜には毎回見ている歌番組や、ロードショーを楽しんだじゃないか。


 寝惚けたままに、アラームを止めるべくスマホを覗き込む。

 あ?なんでこんな時間? って待て!あのテレビやってるじゃないか!

 思い出して直ぐにテレビをつける。こういう時、部屋にテレビがあって良かった、と思う。見たい番組に回すと、オープニングが終わってた。

 クッソ遅かったか。

 見たい番組とはアニメだ。人気アニメ『フェアリーローズ』。出てくるキャラは可愛かったり、格好良かったりする。 魔法を駆使し、モンスターや敵と闘って絆を深めていく。 漫画は今も尚続いていて、最新刊もつい最近買ったばかり。


 好きなキャラが出てきて、キャー!カッコイー!とテレビに叫んでいたら姉が入ってきた。

「なんだ起きてたの?いつもより遅いからまだ寝てると思って起こしに来たのに」

「ついさっき起きたー。急いでテレビつけたらオープニング終わった所だったんだけどー」

 ガッカリという風に首を落とすと、お姉ちゃんに笑われた。


「そういえば今日は仕事じゃないんだ?」

「まだ入ったばかりだから大抵土日は休みだよ。それに木曜日が夜勤だったから今日は振り替え休日みたいなもの」

 器用に受け答えをしながらアニメを見る。ちょうど好きなキャラが戦ってるシーン。 あーヤバイまじかっこいーわ。なんて思ってたらお姉ちゃんが口を挟んできた。


「今日さ、買い物行くけどどうする?一緒に行く?」

「行く!」

 横になりながらアニメを見ていた私は、お姉ちゃんの提案に即決。と同時に横になっていたベットの上に勢い良く立つと、ベッドが少し軋む。 ごめんよ、ベッドさん。

 そうと決まれば急いで支度をする。だが、まだアニメが終わっていない。

 パジャマを脱いでアニメ。服を着てアニメ。ズボンを履いてアニメ。

 着替え終わった時には、アニメもエンディング曲が終わろうとしている。

 朝ご飯はいいや。歯磨きしなきゃ。

 手強い寝癖にドライヤーという魔法を掛けていると、近くの階段を降りてくる影。お姉ちゃんだ。

「別に、午後からだからね?」

 もっと早く言ってくれーい。


 急いだ意味!と口論。そこに、たまたま休みだったお兄ちゃんが私より遅い起床。

 髪ぼさぼさ。少しだけ開いてる目。大きな欠伸。普段から想像出来ない姿で降りてきた。

「お前ら五月蝿。ゆり、そこ退け」

 お兄さんは起きてくるとすぐに顔を洗う。その後に寝癖を直す。すると、少しはかっこいいお兄ちゃんに変わる。 大体お兄ちゃんは優しい顔だから少し変わるだけでイケメンになる。まぁヘタレだけど。 右目の下に泣きボクロがあるから、雰囲気がイケメンなだけだ。俗に言うイケメン詐欺。



 結局、お昼食べてから行く事になり、お昼ご飯の準備を手伝う。 お姉ちゃんは、先程私と口論になった話をお兄ちゃんに話してた。そしたら何故かお兄ちゃんも一緒に行く事になった。

 えー。お兄ちゃんも一緒?

「逆に行っちゃいけない理由あるか?いいよな?久しぶりに妹二人と買い物行きたいなー」

 もしかして顔に出てた?それともお兄ちゃんはエスパーなのか?

 お兄ちゃんから逃げるように、自分の分だけご飯を装って席に着く。さーってと、食べよう!


「なんで自分のだけなの」

 笑いながらお母さんが言った。

「ほんとだよ、全く。はい母さんの」

 お兄ちゃんは笑いながら、お兄ちゃん自身のとお母さんのとお姉ちゃんのご飯を装った。お姉ちゃんも笑いながら私の前に座った。

「ごめ~ん」

 私が笑いながら謝ると、お兄ちゃんが私の横にご飯を持ってきて座った。 最後に、お母さんがドレッシングを持ってきて、お姉ちゃんの横に座った。

 さぁ、今度こそ食べよう!いただきまーす!




 お昼ご飯食べてる時にお母さんを買い物に誘った。しかし、ママ友とヨガに行く予定らしく、断られてしまった。

 別にお母さんはそんな事しなくても綺麗だし、モデル体型なのに。

 私が小3の時からやり始めたそれは、思いの外楽しかったらしい。それからずっとやっている。 そのせいか、もう今年47歳なのに昔の体型からあまり変わってない。まぁ、それが自慢のお母さんだ。

 なんて思いながら支度をようやく終わらせた。鍵をかけて、いざ!行こー!



「どっから行く?行きたいとこある?」

「俺久しぶりに3人で映画みたいなー」

「却下。ゆりどこ行く?」

「ん~」

 提案したのを即効却下されたお兄ちゃんが五月蝿い。

 レンタルショップは先週行ったから今日は……

「CDショップ!たしかこの間新しいCD発売された!」

「あ~。ゆりはほんとにジャニーズ好きだな」

「じゃあ、そこと、私は……楽器店行こうかな、それから映画館行こう」

「良かったねお兄ちゃん」

「うぅ~ありがと~!お兄ちゃん嬉しいよ。理沙ありがと」

「うるさいな。ゆり、お兄ちゃんの為に早く買える?早く行かないと入れなくなっちゃう」

「まかせろぃ!」



 なんやかんやで行く所も決まって買い物を始める。

 最初にCDショップ。店内で流れてる音楽を鼻歌にして、色々見ていく。

 目当ての物を発見!他に何かあるかな~。あ、こっこれは……!

「お兄ちゃん!」

 違う所を見ていたお兄ちゃんを呼ぶ。

「どうした?金足りない?」

「これ!」

 全然違う事を言うお兄ちゃんを無視して見つけた物を差し出す。 見た瞬間、お兄ちゃんはそれを手に取り、少しの間表紙を見つめてから会計所に直行した。

 私ももういいかな。会計所に行くと、結構並んでいた。少し前に行ったお兄ちゃんも並んでいる。

「あ、ゆりもういいのか?金ある?俺払うよ?」

「いいの?」

「うん、その代わり一緒に並んで?1人寂しい」

 やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんだ。かっこいいと思っても、最後にはお兄ちゃんが出てくる。


 なんとか会計を済ませて、次の店に行く。

 次は楽器店。お姉ちゃんは中学の時に吹奏楽部、高校の時に軽音学部に入っていた。 部では、ドラムだったらしいけど、ギターをやってみたくて少し前に買った。 初給料でギターを買うのは、お姉ちゃんぐらいだ。

 私が軽音部に入ったと知った時は、「ギター?ベース?」と何回も聞いてきた。

 私はいろんなギターを見て回った。カラフルなギターから暗めの色のギターまで沢山ある。 ちなみに私が買ったのは少し黒が入った青色の軽めのギターだ。色々と見て回っているとお姉ちゃんが近寄って来た。

「終わった。映画館行こう。遅くなっちゃう」

「はーい」



 最後に来た所は映画館。何を見るんだろう?と思いながら公開されてる映画のポスターを見ていく。

「どれ見るの?」

「ん~。ドライもんの映画は?」

「いいんじゃない?ゆりは?」

「私もそれでいいよ」

 上映時間を確認すると、あと15分程で始まるらしい。座る場所を決め、チケットを買う。もちろんお兄ちゃんが全額負担。


「食べ物とか飲み物はどうする?」

「ポップコーン!塩味!飲み物はオレンジ!」

「はいはい。理沙はどうする?」

「じゃあ、ポップコーンキャラメル味にしようかな。でクレープファンタ。Mにしよう。ゆりもでしょ?」

「うん!分かってるぅ~!」

「……どっちか一緒に行こう?」

「ゆり、ここに座って待ってて?」

「はーい。いってらっしゃ~い」

 お兄ちゃん本当に寂しがり屋だなぁ。


 少し待っているとポップコーンと飲み物を持って戻ってきた。あと7分で始まる。

「どうする?もう入る?」

「そうしよう。これゆらの、はい」

「ありがとー、楽しみだねー」


 上映場所はスクリーン3だ。座る場所を探してお兄ちゃんとお姉ちゃんに挟まれる形で座る。

 少ししたら暗くなってきた。始まるからスマホの電源を消しとこう。

 『東映』の文字が私をワクワクさせる。




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