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エピローグ
少し大きめで不格好だった制服。
履き慣れた赤いシューズ。
ともに勉学に励んだり、笑いあってふざけたり、思いの衝突があったり。
春も、夏も、秋も、冬も、通った教室。
過ぎていった日々は戻らない。だからこそ、これからの限りある学生生活の日々を、大人になった時に思い出が輝くようにしていきたい。
将来の不安や、日々の疲れが襲ってくる。未来のために今があるのだ。それを忘れずに、これからも最高の友達とともに、茅野ゆりの生活は続く。
「ゆりー」
「はやく来ーい」
「待ってるんですけどー」
消えることのない、この思い出を抱く。
「ごーめんごめん」
また一歩、鼓動を揺らすように大地を踏みしめていく――。




