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16話「それは言わないで!」




 やっと中間テスト最終日。

 最終日の今日は世界史と英語。世界史はまぁまぁ出来るし、英語は得意な方だ。


 テスト開始10分前の今は、モモと中庭さんに最終確認として単語の問題を繰り返し出している。

「ピクチャー」

「写真!」

「絵!」

「どっちも正解、じゃあビジィは?」

「えっと~……何?」

「……んー?」

「……忙しい!」

「「あぁ~、ね」」

「ね、じゃねぇよ!」

「すいませーん」

「まぁまぁ、落ち着いて、ゆり」

「……アスク」

「「尋ねる!」」

「何でアスク分かってビジィ分からんの?!」

 アスクが分かるならビジィも分かる筈なんだけど?

「まぁまぁまぁ」

「まぁまぁまぁ」

「「まぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁ」」

「……三三七拍子!!」

「あ、分かった」

「さっすが軽音部!」

「軽音部じゃなくても分かるからね?!」

 問題形式にして勉強してる筈が、私が二人に対してツッコミをしてる状態。


「てか、英語勉強してていいの?1時間目は英語じゃないんだけど?」

 今日の1時間目は世界史。普通なら世界史を勉強してる筈なのだが。

「いいの」

「「捨てたから」」

 つまり諦めたって事ね。

「……少し教える?」

「「いいの!?」」


「コロンブスは第一航海で何を発見した?」

「……島」

「いや、島は合ってるけど、その島の名前は?!」

「……アフリカとか?」

「あ、えっとね、当時の名前をお願いします!」

 完全に分からない2人は、私のノートと教科書をパラパラ捲って答えを探す。

「……サルサンバトル?」

「サンサルバドルね?!何よサルサンバトルって!お猿さん同士の喧嘩っ?!」

「「おぉー」」

「おぉー、じゃないわ!えーっと、じゃぁサンサルバドル島を見つけた年は!」

「もーテンポ早いー」

「えーっと、ん~、1492年?」

「正解!じゃぁ次は」

 次の問題を出そうとしたらチャイムがなった。急いで教科書類をロッカーに閉まって席に着く。

「ゆり、ありがと」

「うん」

 テスト用紙が配られてくる間に中庭さんから礼を言われた。

「始めて下さい」





 テスト最終日とは、悪魔から解放される日、お祝いで皆でパーティーをする日。

 なのに!全校集会。何故に。

 体育館内は熱が(こも)りやすい。 故に、体育館内のドアを4つ全部が全快になっている。 それでも暑いのか、ハンカチで汗を拭いたり、顔の近くで軽く(あお)いで微かな風を感じている先生達。

 言っときますけど、今一番暑いのは私達生徒だからね?何、めっちゃ暑い、とか思ってんの? 生徒達座ってるだけでいいなぁ、とか思ってんの? こっちはブレザー着てんだよ!脱ぎたくても脱げないからっ! 早く衣替えしないかなぁ!

「――なのです。それはやはり、――」

 校長の話は長いし、さっきと同じ事話してるし!



「生徒会員は全校集会の後、ここに残って下さい」

「それでは、これにて全校集会を終わりにします。1年生から退場してください」

 ようやく終わった全校集会は、私達1年から順に体育館を出ていく。



「ゆり、これありがとう」

「うん」

 帰る準備をしていると、谷さんが化学のノートを返しに来た。手を止めて受けとるとロッカーにしまう。

「ゆりー、化学のノート見して?」

「あ、いいよ」

「ごめんね、すぐに終わるから、ちょっと待ってて」

 ロッカーに仕舞われる筈のノートは梓の手に渡る。

「うん」

「あ!ゆり、あたしも貸して!」

「“貸して”?朱音、言葉が違うよ」

「……貸してください!」

「いいよっ、んふふっ」

「……梓も言ったの?」

「いや?……朱音の普段の行いじゃない?」

 どうやら、化学のノートがロッカーに仕舞われるのは1日後みたいだ。

「はい、朱音」

「あい、ありがと梓。明日返すね、ゆり」

「うん」


「あ、茅野さん!」

 皆で教室を出た時に、呼ばれ慣れてない呼び名で呼ばれた私は、振り向くのが少し遅くなった。 声の主は菅谷くんだった。

「あ、あの、化学のノートって、今持ってる?」

「さっき朱音に貸しちゃった……」

「ごめんね、すぐなら今貸せるよ?」

「朱音の後になっちゃうけど、それでもいいなら貸せるけど」

「じゃあ、富田さん!明日、終わった後貸して?」

「うん、いいよー!」

 満足したのか、そのまま階段を下りていく菅谷くん。


「ゆり、いいの?」

「何が?」

「化学のノート貸しちゃって、明日化学あるよ?」

「知ってるよ。午後だからまだいいかなぁーと。ノートなくてもルーズリーフ持ってるし大丈夫だよ」

「ふーん、ゆり優しー!」

 モモと会話しながら歩いていると、突然頭を撫でてきた。

「ちょっ、なにっ」

「んふふ、お姉ちゃんがいい子いい子してあげる!こう見えて家ではお姉ちゃんなんだぞ!」

「学校ではそう見えないのにね」

「それは言わないで!」

 学校では妹キャラなモモだけど、やっぱりお姉ちゃんなんだな、とこの時実感した。


「そうだ!カラオケ行こう!」

 ……前言撤回。

「あ!まどか達も一緒に行こー?!」




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