再会っぽい
そわそわ。部屋に閉じ込められた犬のように落ち着きがない私にセシルがお茶をいれてくれた。
「カナリヤ様、もう少しで到着らしいのでそろそろ落ち着いてはどうですか?」
「お、落ち着いているわ。それよりセシル、私のドレスとか髪型どう?変じゃない?」
「大丈夫ですよ。いつもどおり可愛らしいです。」
セシルが苦笑いしながら私を見下ろす。
失礼ね、落ち着いてるわ。
…嘘、朝からそわそわしっぱなし。
このままじゃみんなに笑われちゃうわ。
「セシル、お茶をもう一杯もらえる?」
「かしこまりました。」
セシルのお茶で一息つくと下から小さなベルの音が聞こえて部屋の外が少し騒がしくなってきた。
「旦那様、奥様のご到着です。」
「お帰りなさいませ、旦那様。奥様。」
セバスチャンの声が上品に響く。大声なのに上品ってどういうことなのかしら。
一拍置いてから侍女や使用人達が一斉に唱和した。
帰ってきた!お父様とお母様が帰ってきた!
「あ、カナリヤ様っ」
私は待ち切れなくなって部屋を飛び出した。
ゲームの世界だとか転生だとか、とりあえずどうでもいい。今はお父様とお母様のことが大事。
「お帰りなさいませ、お父様、お母様!!」
階段を登ってる途中のお父様に遠慮なく飛びつく。
案の定お父様はしっかりと私を受け止めてくれた。
「熱烈なお出迎えだね、お姫様。」
「もうっその呼び方はやめて欲しいっていつも言ってますよね?」
「ふふ、私やお父様には貴方がお姫様に見えるのよ。」
お父様、アクィラ・ブラーヴ・リィングバードは王の刀と呼ばれて、30を過ぎている筈なのに20前半にしか見えないと言う美丈夫だ。
そしてかなりの親ばか。
お母様のアルエット・ラーク・リィングバードもかなりの親ばかで、聖女のような見た目なのにドジっ子でかわいいお母様。
この遺伝子をもらったのになんで私はこんなに悪役顔なのかしら。