国王陛下と王太子殿下の内緒話は複雑っぽい
重複の訂正いたしました
ご迷惑おかけしました
国王陛下side
息子は自分の種から生まれたことを疑うほど、手が掛からない、真面目な子供だった。
少々頑固な気もあったがそれこそ個性の一部だと微笑ましかった。
家庭教師は元近衛騎士団出身で高潔な精神を持つレヴァリア・フォル・シュタインを選んだ。
王太子たるもの、弱き者に手を差し延べ、強気ものも切磋琢磨し、清廉な精神を育てることが出来ているはずだと、そういう教育を受けさせるのが愛だと信じ、下手に介入しないようにしてきた。
その結果がこれだ。
初対面の年下の女性、しかも婚約者に対し本人及び父親への侮蔑を全面に出した言葉を投げつける?
冷静に正論を述べた婚約者に対し身分をかさにきて怒る?
しまいには暴力に訴えようとするなど…
「お前は本当に見損なった。相手への気遣いを忘れ婦女子に対しての暴言、暴力。目に余る。」
「しかし父上!」
「私はお前にそんな教育を受けさせた覚えはない!!」
「父上は騙されているのです!あいつらは住民に重税をかし、さらには横領をして私腹を肥やしているとルクソール先生が教えてくださいました!」
ルクソール?いいや、教師につけたのはレヴァリアのはずだ。
「ルクソール?お前の教育はレヴァリアに任せたはずだ。」
「いえ、俺の教育は全てルクソール先生から教わっています。」
ルクソール・フォン・アルカリヤ
公爵家の中でもとりわけ伝統派の流れの強いアルカリヤ家のものか。
「お前は普段何を習っていた」
「父上?なぜ今それを…?」
「いいから言いなさい!!」
「は、はい!えっと…先生の言葉に疑問を持つな、書類は下々の役職が見るので俺はハンコを押すだけ、王の仕事は会議での号令などです!」
「お前はそれに疑問を持つ事はなかったのか?」
「疑問を持つ事は許されていなかったので。」
やってくれたな…やってくれたなアルカリヤ公爵!!
「おい陛下、その顔やめろうちの娘が怖がる。」
「うるさい、うちの息子の人生が、というかこれからの国が歪まされる寸前なんだよ」
というかいくら乳兄弟でもお前は私を敬えアクィラ。
食えない笑顔の幼馴染み兼悪友に事の次第を話し、あるはずの無い咎めに怯えるカナリヤ嬢を撫で、私は一度城に戻ることにした。
「行ってしまわれるんですか?」
「カナリヤ嬢、少しだけ用があったのを忘れていたからな、夜には戻る。」
少しだけ残念そうに眉を下げるカナリヤ嬢の頭を再び撫で反対の手で愚息に鉄拳制裁をくわえる。
外では優秀なセバスが馬を用意しておいてくれた。
礼もそこそこに王都に向かって駆け出す。
息子よ、権力の正しい使い方をこの身を持って教えてやろう。
もふもふがーはいらないー