転生してたっぽい
ありがちすぎる…
乙女ゲームの悪役に転生した私はとりあえずフラグを全部無視することにした
処女作ですのでお手やわらかに
「知ってる天井だ。」
生まれた時から見てるんだから当たり前だけど。
まふまふフカフカのベットには同じく手触りの良すぎるクッションや枕があって保温性の高い羽毛布団もポイントが高い。
どうしよう、起きたくない。
ぐだぐだとどうでもいいことを考えながら自分の手を見てみる。
ぷっくぷくだ。もみじのような、と言うのが本当に似合う手だ。
髪の毛は前世とほぼ同じく真っ黒。違うのは光の当たり方で深緑にも、深い藍色にも見える所。
じいやが寝る前に暖炉に火を入れてくれてたから床はあったかいはず…怠けたがりの足を叱咤しながらクローゼットの前にある姿見に向かった。
姿見に映る私は自画自賛だが可愛らしい。
りんごのようなほっぺはすべすべもちもちで我がほっぺながらいつまでも触っていたい気がする。
唇もぽてっとして愛らしい。
ただ目が、緑と紫のオッドアイで釣り目なのだ。
それに紫の左目の下の黒子が妙に気が強く、めんどくさそうな印象を醸し出している。
スチルで見た時とは当然異なるが私は確信する。
「星屑ノ語り手」
たしかそんな名前の乙女ゲームだった。
ありがちな剣と魔法のファンタジーな世界観で魔法を教える学園で平民だった主人公が王太子、貴族、裕福な商人、異国の王族その他何人かの男たちを落としていく恋愛ゲーム。
私はそこで噛ませ犬のような悪役カナリヤ・エル・ラインツバードとして登場する。
王太子の許嫁として登場し、性格、魔力の素質、自分の持てる全てのものに勝る主人公に嫉妬し、狂ったように陰湿ないじめを仕掛け、最後は一族郎党処刑されるというありがちなキャラクターだ。
ちなみに他のルートも大体殺されたり、奴隷になったり追放されたりするので救いようが無い。