表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編ごった煮

闘争の歴史

作者: 白樺 小人



 寂寞せきばくの夜が明け

  太陽の目覚めと共に大地は再び賑わいを取り戻す


 長い長い戦いの歴史に彩られた大地

  夜明けと共に人々の絶望と希望もまた目を覚ます


 頬をなでる風

  自由にならぬ人の身をあざ笑うかのごとく吹き抜ける


 風に感情は無く

  風の響きに物悲しさを感じるは自らの心の反射


 争いの中の嘆きの音は未だ止まず

  見えぬ先に何を求めて手を伸ばすか




 見果てぬ先に、何があるのだろうか





 嘆きが全てを支配するこの世界


 どこまで行っても戦の呪縛からは逃れられない

 絶望に打ちひしがれる人々

 憎しみと悲しみが人々の心を支配する

 長く苦しき時代もいつかはと

 一縷の望みであろうと細き希望に縋りつく



 生きるか死ぬか


 全ては自らの手によってでしか掴めない

 絶望に呑まれるか、希望を掴みとるか

 どちらを選びとるにしろ

 足掻き続ける事に差異は無い



 全てのはじまりは些細な事


 だがその戦火は飛び火し

 大陸全てを巻き込んだ戦いへと拡大した

 同じ人同士

 各々の信念のために

 利益を得るために

 個々の思惑を抱え

 戦いは果てしなく広がり続ける



 戦いに明け暮れる人々


 刃を交え傷つけあう

 望む望まざるに関わらず

 戦場に立ち血濡れの刃を振り下ろす

 勝利を収めれば多大な報酬が約束され

 敗北すれば戦地にその身を骸と晒し大地に返るのみ



 戦場の痕に立つ人々


 死体は物言わずただ倒れ伏す

 動かぬ物に道具は必要は無く

 生きたる者が使ってこそ活きる

 故に人は糧を得るため奪うことに躊躇いを覚えず

 死者の尊厳は塵芥に等しい



 ただ純粋な思い


 生き残るために奪い続ける

 無力に震え飢えて死ぬか

 抗い生きるために奪い続けるか

 例えそれが他者を陥れる事に繋がるとしても

 それは自らが生き残るために必要と知っているがこその行い

 そこに罪の意識は無く

 あるのはただ生き残るために足掻き続ける姿のみ



 争いの止まぬ限り


 親を亡くした子は増え続け

 子を亡くした親は嘆き続ける

 飢えは広がり続け

 人々は生きぬく為に奪い続ける

 嘆きは憎しみへと変わり行く

 互いを憎み合う憎悪の連鎖は広がり続け

 戦火はさらに勢いを増すだろう

 例えはじまりの出来事を忘れたとしても

 憎しみだけは引き継がれてゆく

 四肢を無くそうとも

 争いに心壊されようとも

 人々は勝利の文字に躍らされ、争い続ける




 自らの利を得るために争いが長引くことを望む者がいれば

 争いを収めたいと望む者もまた

 どちらの望みが果たされるのか

 命を狙い狙われ、争いは続いてゆく


 終わりなき連鎖


 終わらせる術は今は無し





 嘆きが満ち溢れる大地

  人は己が力を振るいて他を圧倒せん


 日は昇り沈みゆく

  人の営みもまた栄枯盛衰を繰り返す


 果てしなき戦いの日々

  人々の悲哀もまた果てしなく


 時経た果てにあるものは

  血塗れた歴史と地に返る骸


 大地に刻まれた歴史は

  砂に埋もれ、また歴史は繰り返される……



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ