39.自転車二人乗り(2)
だいぶ遅くなりすみません。
そして今回は(今回も)期待はずれかもしれません;
自転車2人乗りの話をした数日後、森川君は爆弾発言をした。
「栞、俺今日チャリで来たから!一緒に帰ろう」
「え?」
森川君は電車通じゃなかった?
森川君は学校がある駅から1駅離れたところが最寄駅だ。確かに自転車で来られなくはない距離だけど……。
「何で自転車で来たの?」
「だって、栞がチャリで2ケツしたいって聞いたから」
森川君は恥ずかしそうに顔を赤らめて両頬を手で押さえる。女子かっ!と思わず突っ込みを入れたくなったのは安藤だけではないはずだ。
そこで安藤の頭の中に疑問符が生じる。
「どうして知ってるの??」
あの時いたのは佐伯だけだ。森川君に話した記憶はない。
どうして知ってるのなんて聞かなくてもわかるじゃないか。
安藤が佐伯を見れば、佐伯もやはりこっちを見ていてすごく良い笑顔で親指を突き立てていた。
やっぱり佐伯が言ったのか……。
ため息が出そうになるのをかろうじて堪え、どうやって断ろうか考える。
森川君とはやりたくないと言ったのに。
ちらりと森川君を見ればすごく嬉しそうに放課後のことを話していて(安藤の耳には届いていないが)断るに断れない感じだ。
「え、駅まででいいからね」
恥ずかしい、否、恥をかくからやりたくないのはとても言えなかった。
駅まででも結構な距離がある。正直何とかして避けたい。
避けたいけど、方法がない。
「ほらー席に着けー。今日はSHRやってから授業だぞ」
安藤が頭を抱えて悩んでいると担任が入ってきた。
本来ならば、SHRは放課後に行われるのだが、今日は例外で朝一で行われるらしい。
何か緊急の諸連絡がある場合、そうなる。
「ほら、森川。はしゃいでないで座れ。邪魔だ」
安藤との自転車二人乗りに想いを馳せていた森川君は、先生に出席簿で頭を叩かれ渋々席に着いた。
「あーあと、森川。自転車で来たのはいいが、安藤を乗せて帰ると犯罪になるからな」
「!」
犯罪!?
「え?栞乗せると俺捕まるの?」
「道路交通法違反でな」
天は私に味方した!
心の中で、久しぶりに現れた神に感謝する。
最近見放されすぎていたから神などいないのかと思っていた。でも神はいるんだね。神様ありがとう。今度、神社に行ったらお賽銭奮発しよう。
「あー皆も良く聞け。森川だけが知らないわけじゃないだろうから。原則二人乗りは法律で禁止されてるからな」
「はーい」とやる気のない返事がまばらに聞こえた。
そのあとの森川君は抜け殻のようだった。
周りに黒い空気を纏っているようでとても近寄りがたい。
私は嬉しかったけど、森川君には可哀想だったよねと安藤も罪悪感を覚え始めたとき、森川君のそばに佐伯が近寄っていき、何か耳打ちした。
その途端、黒い空気が華やかな感じに変わった、気がした。
嫌な予感がする……。
森川君が復活すると離れた佐伯を捕まえて、安藤は詰め寄る。
「何言ったの?」
「別に、大したことは何も」
「じゃあなんで復活してるの!?」
「近くの自然公園では二人乗りの自転車借りれば二人乗りできるぞって教えてやっただけ。しかし、先生も黙っててくれりゃー森川が捕まった瞬間撮ることができたのにさー」
残念そうな佐伯。
「それって、私も捕まるじゃん……」
「安藤の我儘だからしょうがない」
「佐伯ぃ……」
元はと言えば誰のせいだと佐伯に掴みかかろうとしたら、気配を察知して逃げられた。
くそっ!あとで覚えてろ。
「栞、今度の休みさ、自然公園行かない?」
この後、もじもじしながら森川君に尋ねられてどう切り抜けようかまた頭を抱えるはめになった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
本当は二人乗りさせようかなと思っていたのですが、道路交通法違反になると天の声(N様よりご指摘)がありまして、さすがに彼は捕まるだろうと思ってやめました。
期待していました方(いますかね;)、大変申し訳ありません。
そういえば、法律が改正される前、当時私がバイトしていた先の男の子が自転車で並進していて警察に見つかり、全部の指の指紋を取られたそうです。
その光景を同じくバイトの先輩が目撃していたため瞬く間にバイト先に広まりました。
指紋を取られるなんて警察怖ぇと思ったのを道路交通法違反と聞いて思い出しました。




