38.自転車二人乗り
多分続きます。
「いいなぁ」
何気なく校庭を見ていて、自転車に二人乗りして帰っていく恋人同士をみて呟いてしまった。
「あん?何がだよ」
「あれあれ」
佐伯にもわかるように指を差す。
彼氏が彼女の自転車を代わりに漕いで、彼女が荷台に腰かけて帰っていく。
「ああいうのって、憧れる」
漫画みたいだ。
高校時代に付き合っていてやりたいこと上位にランクインしてくるよ、あれは。
いいなぁ。やってみたい。
「やりゃあいいじゃん、森川と」
「!!」
何で、森川君とやらなきゃなんないの!?
「いや、一応付き合ってるんだからやったらいいじゃん」
「本っ当、何言ってんの!?」
馬鹿じゃないの!?
森川君とそんなことやったら学校中の噂話になるに決まっている。
やらなくても想像できる。
嬉しそうに自転車を漕ごうとする森川君。
しかし、自転車は進まない。
「あれ?おかしいな??」と後ろを確認すれば、私は荷台にちゃんと乗っているし自転車のスタンドは上がっている。
スタンドが上がっている=動く。でも動かない→重りがある。後ろに乗っているのは……。
「…………もしかして、栞が重いの?」
進まないのは私が重いから?という結論に至って微妙な表情で尋ねる森川君。
「あーーー!絶対嫌!!」
バァンと机を思いっきり叩いて想像を強制終了した。
自分の想像なのに自分が痛い目に遭うとはなんということか。
で、結局森川君じゃ動かないから代わりに私が前になって漕ぐっていう、ね!
この一部始終を見ていた人たちからは失笑。翌日から生温かい目で見られ、『安藤さんって苦労してるよね』と知らない同級生からも声を掛けられるようになる。
とんでもない。
何それ恐ろしい。
佐伯は机を叩いた音に驚いて目だけこちらに向ける。大きな音に反応して固まってしまった猫のようだ。なんだか申し訳ないけれど、もともとは佐伯が森川君と二人乗りしたらと言ったのだからしょうがない。これは佐伯のせいだ。
「私が前になって漕ぐ羽目になるから絶対嫌」
「何を想像したかは大体わかるから聞かないけど、森川だって一応男だから前で漕ぐのできるだろ。まぁ顔だけは良いし、二人乗りしても絵になるんじゃね?」
イケメンと平凡のカップルの二人乗り。
確かに言葉だけなら少女マンガみたいだ。知らない人が見たらキュンとするかもしれない。
でも、でも!
「森川君だしなぁ」
はぁ~とため息をついてがっくりと肩を落とした。
憧れは憧れのまま終わりそうだ。
いつもありがとうございます。
遅くなってすみません。
悩んだんですが、答えは出ませんでした。
とりあえずは考えている話のネタを全部やり終えたら正式に完結表示にして、あとは不定期で載せていくようになると思います。




