11.森川君、気づく?
「最近、誰かに見られてる気がする」
「は?何言ってんの、お前?」
俺がそういうと水石が呆れた目で見てきた。
「馬鹿で頭おかしいとかもうヤバいぞ」
「おかしくねぇし!」
真顔で言うな。俺は普通だ。
「で、森川は何でそう思うの?」
武井が話を元に戻した。今、水石舌打ちしなかったか?
「何かさー、俺の机にテスト範囲のメモとか野菜ジュースとかのど飴とかイソジンとか置かれてるんだよ」
「自分で寝てる間に置いてんじゃね?」
「いや、どれも持ってねぇし。そんな器用なことできねぇ」
そんなの持ってたら逆にすごくね?
「宮島の英語のとき寝言で『デブのハゲめ』とか言えるのにそういうのはできないのかよ」
「!マジで俺そんなこと言ったの!?」
「あぁ、あったね。クラスが凍りついたよね」
武井がおかしそうに笑っているが、俺は知らないぞ。
だから最近赤点免れたのに宮島の態度がいつもより冷たいのか。別に構わないが。
「んーでも別に危害を加えられてるわけじゃないから放っておいていいんじゃない?」
「確かにそうなんだけど、メッセージもついてるんだよ」
ほらと正方形のメモを武井に渡す。
「えっと、『試合お疲れ様でした。喉の調子が良くないように感じたのでのど飴を置いておきますね。M.T』」
「うわ!なんだよ。ラブレターか!?馬鹿のくせに生意気だな」
武井が読んでいるとこに水石が覗き込むようにしてメモを見て言う。
「水石。ラブレターとは決まってないよ。悪戯かもしれない」
「……」
笑顔で武井が言い、「お前意外とひどいよな」と水石が武井を見た。
こいつら、俺のことなんだと思っているんだ。
「馬鹿だと思ってる」
「!!」
やっぱり馬鹿だと思われているのかよ。
ってか何でわかった!?
「森川、声でてたぞ」
やっぱり馬鹿だなと水石がにやりと笑う。またネタにされる……。
「で、そのM.Tが気になんのか?」
「気になる……。気にはなる」
実際、M.Tのおかげで中間も赤点逃れたし、のどが痛かったのも事実でのど飴があって助かったし。俺のことをよく見ていてくれているんだなって思った。
「でもイソジンにコップつけてほしかった……。直接口に入れてうがいとかマジで辛かった」
「お前、本当に馬鹿だな!普通、家に帰ってからやるだろ」
「せっかくくれたのに家でやるの失礼かと思って」
「いや、マジで馬鹿だな!!」
水石が爆笑。武井は俺から背を向けて肩を震わせている。
「せめてさー、空になったペットボトルに水入れてイソジン入れるとかさー、紙コップ買うとかできただろ!?お前、あれだ。馬鹿じゃなくて頭空っぽなんだわ」
だから真顔で言うな。
俺だってたまには傷つくからな!
いつも読んでいただきありがとうございます。




