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見えない影烏  作者: I.S.C.
1/1

哀しき二人(哀しき独り)

今日はある哀しい二人の噺をしよう。

聞いたらここから出ると良い。

魔王が貴方を…

待っているから――…。


昔々、ある村に魔王と、

小さな勇者が居ました。

勇者は魔王と暮らして居ました。

一緒に住んでいる内に色んな事が分かりました。

魔王は、魔王に成りたくて、産まれて来たのではない。と、そんな普通の事や、絶対的な力を持つには親を殺し、友達も、心友も、殺さなければ生けない。

そんな、辛いことも知りました。

そして、魔王は悪い者ではない。と知りました。

ですが、ある時そんな普通の日々が音を立てて壊れて――割れて、行きました。

「魔王を殺せー!」

「貴様の様な者が勇者を語るな!」

「悪はこの世にもう要らないんだよ!!」

「死ね!」

「テメェは勇者なんかじゃない!!」

…と、村人は声を張り上げ、非難しました。

考えてみたら当然の事。

魔王がいつ私達を襲うか。

魔王がいつ私達を喰うか。

恐怖です。

村人にとって、魔王は恐怖そのもの。

此処まで堪えてきた。

それだけで凄いこと。

…ですが、魔王を知ってしまった勇者は…

「ひぎぇ!」

「ひぁぁぁ!?」

「いやだぁぁ」

村人を殺してしまいました。

中には、悲鳴を上げる暇も無く、死んでしまう人も居ました。

ある人は只の肉塊と成り、ある人は身体が斬れ、臓物が出ていました。



何時しかその勇者は賞金首となり、日々命を狙われていました。

魔王も居ました。

ある日勇者は耐えきれなくなり、

魔王に自ら喰べられました。

すると、賞金を狙っていた人は、来なくなりました。

ですが、魔王は独りぼっちになりました。

そして独りになった魔王は、旅をしました。

自分の友達になってくれる人を探しに――

自分を信じてくれる人を捜しに――

旅の始まりの夜、烏が哭いていました。

そして魔王は今日も旅をしているそうです――…。

では、サヨウナラ。

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