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神様リスナーと転生者  作者: キャズ


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第8話 パーティーを組もう

 時は過ぎ、朝が来る。

 僕は目を覚ますと、体を起こし伸びをした。


「さーて、今日はどんな神様がくるのかな?」


 異世界に来てまだ3日目だが、散々頭の中で会話してきたためもう慣れた。多分今日も何かの神が話しかけてくるのだろう。

 予想通り、僕の頭の中で男性の声が響く。


(俺が来たぜ!)


(いや誰だよ)


 暑苦しい声が知り合いかの様に馴れ馴れしく話しかけてきたが、この声に覚えはない。初対面ならまず名乗って欲しいところ。


(俺は火の神。火のごとく熱い男だぜぃ)


 それに続いて他の神も名乗りをあげる。


(ボクは本の神。よろしくー)


 おっとりマイペースな雰囲気の女性の声だ。自分も僕っ子なので僕っ子が被ってしまった。


(我は光の神。また会ったな少女よ)


 自信に満ちた感じの男の声。この神は初日に声を聞いたので覚えている。

 他に声は聞こえない。どうやらこの三柱の神が今日の担当らしい。


(んで、今日はどうするんだ?)


(昨日の件で分かった。この世界のダンジョンは安全だけど危険がいっぱい。死にはしないけど、不意に強いモンスターが出てくる事もあるし、油断すると罠でいきなりやられちゃう事もある。無策でつっこんでも同じ様になるだけだ。そこで賢い僕は考えました。先人から学ぼうと)


(先人から?)


 今日やる事は既に決まっている。僕は身支度を済ませ、迷うことなく探索者ギルドシナーブル支部へと向かった。


 探索者ギルドについた僕はギルド内にある休憩所に行き、そこの店員からタブレットめいた魔道具を借り受け、休憩所の椅子に座りタブレット型の魔道具を操作していく。初見の道具だけどとても手に馴染む。僕はスマホの扱いに慣れた現代っ子、この手の道具の扱いはお手の物だ。


(ほぅ、他の探索者の配信を参考にするのか)


(そーゆう事。他の人配信も見れるんだから参考しない手はないよね)


 僕は慣れた手つきで魔道具を操作し配信動画一覧を眺めていく。

 配信されている内容は聞いてた通り多種多様様々だった。長い間ダンジョンに潜り続ける長期遠征や、浅く早く済ませる短期探索、雑談メインのものや、攻略法を解説するものや、商品の紹介をする宣伝じみたものや、特定の地点までのタイムアタックを競うものまで、ダンジョン探索と一言で言ってもそれぞれのスタイルがあるのが一覧を見ただけでも良く分かる。


(なんだか4~5人の配信が多いね)


 一番多く見かけるのは4~5人の配信だった。ソロやペアの配信もそこそこいるにはいるけれど、それは組む人が居なかったり少人数攻略の企画であるものが多く、基本は4~5人規模で行くものらしい。


(報酬の分配と動画映えのバランスを考えると、だいたいそれくらいの人数になるみたいだねー。途中で誰かが倒れて抜けても宝や魔石の回収が期待出来て、そこそこ仲間内で会話を回せるから動画映えして評価も得られる、そして報酬を分配をする事を考えると、多すぎず少なすぎずの4~5人くらいが適切って良く言われてるねー。ソロで浅い所を探索するだけならわざわざ配信しないって人が多いってのも理由かなー。)


(ふーん)


 僕は少し考えると「よし!」と声を上げ立ち上がり、タブレット型の魔道機を返し、探索者ギルドの受付の元に行き用件を伝える。


「あの、パーティーを組みたいんだけど」

「パーティーに入りたいのですが」

「パーティーを探してんだけど」

「リディルカはパーティーを所望する」


 僕が話すのと同時に、同じ用件を3人の少女が受付に伝えていた。

 丁度いいタイミングで僕と同じ様にパーティを探す少女が三人。これには運命を感じずにはいられない。他の3人も同じように感じていた様で、他の3人の顔を注目して見ている。

 そして再び同じタイミングで言う。


「僕とパーティー組まない?」

「私とダンジョンに行きませんか?」

「オレと一緒にダンジョンいかね?」

「このリディルカとパーティーは如何かな?」


 四人は静かに、そして同時に頷き、同意の意を示した。


 探索者ギルドでパーティーメンバーを探そうとしていた4人は同じ卓を囲む。

 僕以外の3人は慣れている様子で探索者のカードと何かが書かれた用紙を机の上に出した。僕は察し、慌てて自分の探索者カードを出す。


(何?これ)


(探索者カードの裏面は本人の特性が書かれているからな。それを見てどんな役割が出来るのかを把握するのだ。そしてそちらの用紙は、その人が探索者としてどんな活動をしてきたかを記録したものだ)


(なるほどー。探索者の履歴書的なものなんだ。ちなみに僕のは?)


(まだこれと言った活躍はないから必要ないぜ)


(そっか)


 カードを見るに、どうやら全員僕と同い年くらいの様だ。

 全員の探索者カードが出揃った所で自己紹介が始まった。


「私はシシルー・ディーカー。元Cランクパーティーの探索者です。支援寄りの魔導士なのですが、その、回復魔法はあまり得意じゃなくて、強化魔法でならお役に立てるかと思います」


 シシルー・ディーカー。おどおどとした自信無さげなまん丸メガネの女の子だ。うなじが隠れる程度のショートヘアー、体は小さく小学生と見紛う程、だがそれと不釣り合いに胸は豊満で、アンバランスな印象を受ける。


「オレはニーリェ・ドーランズ。元Bランクパーティーの探索者だぜ。スキルはあまり良いのがねーけど、体はつええから前衛は任せてくれ」


 ニーリェ・ドーランズ。長身でガタイが良い男勝りの女の子だ。獅子のたてがみの様に野性的な髪を腰まで伸ばし、露出の多い服からは鍛え抜かれた体がチラホラ見えている。眼光は獣の様に鋭く威圧感があるが、どこか女の子の可愛らしい雰囲気も感じられる。


「我はリディルカ・ハーヴェント。元Aランクパーティーの探索者だ。このリディルカ。魔道を究め、あらゆる属性をマスターし、強力な魔法を自在に操る、超絶至高の魔導士である」


 リディルカ・ハーヴェント。変なポーズを決めつつ様子のおかしい口調で話す女の子だ。サラサラで綺麗な長髪、スタイルもモデルの様に良く、肌も人肌とは思えない程つややかだ。現在進行形で奇行を続けているが、間違いなく美人。いわゆる残念美人というやつか。


 なんだか皆キャラが濃いなーと思いつつ、僕も自己紹介をする。


「僕は遊朝可奈芽。探索者初心者で、これが初パーティーだよ。カードにある通り、感知スキルが使えるから、モンスターや罠の把握はお任せあれ」


 最後に僕が自己紹介をして、とりあえず4人の名前を伝え合うまでは済んだ。

 偶然出会ったにしては前衛、後衛、支援、感知となかなかバランスが良い。僕以外はベテランっぽいし、これなら安心してダンジョン探索もできそうだ。

 一通り自己紹介が終わるとニーリェが話を切り出す。


「じゃあひとまず臨時のパーティーを組んで、もし合う様だったら固定のパーティーにするって感じでいいかな?」


「おっけー」

「よかろう」

「うん」


 と、周りに合わせて同意はしたけど、僕は臨時のパーティーだの固定パーティーだのが何なのかを知らない。その名前で大体察する事はできるが一応聞いておこう。


(へぃ神、臨時パーティー固定パーティーって?)


(言葉通りだぜ。臨時パーティーはその時だけのパーティーで、その探索が終わるまでの関係になる。固定パーティーはギルドに登録してグループとして活動する事になる。探索者の間では、最初は臨時パーティーを組んで気が合う様だったら固定パーティーになるってのが一般的らしいぜ)


(そうなんだー)


 という事で、僕はひとまず臨時パーティーを組み、シナーブルのダンジョンにリベンジする事になった。

 今度は一人じゃないし、仲間はベテランっぽいし、今度はきっと大丈夫だろう。

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