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神様リスナーと転生者  作者: キャズ


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第42話 ロザリンにいくつか質問

 目標の討伐も終わり、モンスターの落とした魔石をかき集めていく。宝の類は無かったけれど、モンスターの数が多かった分魔石は結構な量だ。これだと変異種の討伐よりも魔石の運搬の方が大変そうかも、なんて思いつつも僕達はダンジョンからの帰還を始めた。

 行きは競争だったから急いでいたけれど、帰りはその必要はない。ちょこちょこ出てくるモンスターを蹴散らしつつも、ゆっくりと雑談をしながら帰る事になった。

 帰還を始めてすぐにロザリンはふくれっ面で悔しそうな声を放つ。


「むー。負けてしまいましたわー」


「でも僕達協力してもらったしさ、今回は引き分けじゃない?」


 僕は引き分けを提案してみたけれど、ロザリンはそれを受け入れる気はない様で、首をブンブン振って言い返す。


「いいえ。今回変異種の討伐を目標にしたのはそこをゴール地点として設定しただけの事。先に到着していたのはあなた方なのですから、勝ったのはリトライズですわ」


 相変わらずロザリンは頑なだ。

 そんな様子を見てシシルーがロザリンに訪ねる。


「でも、ロザリンさん達って私達よりも進のは早かったよね?どうして私達の方が早かったんでしょうか」


 それにはダッドがため息交じりに答え、


「いやぁ、道が悪かったんすよ。行き止まりだったり、グルグルと同じところを回ったりで」


 そしてニーリェがカラカラ笑って返す。


「あー、そりゃあしゃあねぇな。道の良し悪しは運次第だし、ついてなかったってやつだ」


 今度はリディルカがロザリンに話しかける。


「今回は我らリトライズが先を行ったが、その実力差はほんの僅か。実に良い勝負であった。そして何より、共に戦えて楽しかった。またやろう。ロザリンよ」


「えぇ。次はわたくしが勝ってみせますわ」


 ロザリンは爽やかな笑顔と共に答えた。

 この二人。互いに自分の事をライバルだと言っているけれど、雰囲気的には友達関係に近い気がする。次は勝ってみせるという言葉も、バチバチした感じじゃなくてまた遊ぼうといった感じだ。


 そのまま皆で雑談をしつつゆったりと帰還していると、頭の中で神様の声が響く。


(ねぇねぇ、可奈芽ちゃん。ちょっといい?)


(ん?どったの)


 どうやら神様からお願いがあるらしい。神様側から要求とは珍しい。


(ロザリンちゃんに質問したい事があるんだけど。代わりに聞いてもらっても良ーい?)


 基本的に神様はこの世界の人達と直接やり取りする事は出来ない。だから配信者に訊ねたい事があっても、視聴者である神様はそれを質問する事は普通であればできない。けれど、今は神様の声が聞こえる僕が居る。つまり僕づてであれば配信者に質問をする事ができるのだ。

 一瞬なんで僕がそんな事をしなきゃいけないんだと思ったけれど、1視聴者が配信者に質問したい気持ちは分からなくもない。たまの頼みだし、まぁいいか。


(うん、いいよ。けど、変な質問とか、しつこいのとかはダメだからね)


(あ、じゃあ俺も良いか?)


 案の定火の神様も便乗してきた。彼は極炎の光星のファンだから、質問の機会があると乗ってくると思った。


(はいはい)


 という事で、僕はロザリンに聞いてみる。


「ねぇねぇロザリン。いくつか質問しても良い?」


「ん?構いませんけど。個人的に聞きたい事があるのなら、帰ってからの方が良くなくて?」


「うんとね、配信を見ている人や神様も気になってるかなって内容なんだ。視聴者向けってやつ」


「なるほど。じゃあ配信内でなきゃいけませんわね。どういった事を聞きたいんですの?」


 流石は配信者、話が早い。視聴者を意識した質問という説明ですぐに納得してくれた。


(質問。ロザリンちゃんって、なんでリディルカちゃんと張り合ってるのかな?)


(え?リディルカとロザリンの関係は知ってなかったっけ?)


(うん。二人の関係は知ってるけど、ロザリンちゃん気持ちは聞いてないからさ)


(本人がどういう思いを持っているのか知りたいって事ね。オッケー)


 僕は神様の質問内容を自分の言葉に変換する。


「ロザリンってどうしてリディルカとの勝負にこだわるの?見た感じ、自分が1番じゃないと嫌で負けを根に持つタイプでもなさそうだしさ」


「うーん。強いて言うなら、楽しいからですわね」


「楽しいから?」


「えぇ。わたくしリディルカと出会うまでは、人生とは勝ち負けが全てだという考えを持っていました。だからこそ全力で努力し、力を磨いてきたのです。あの頃のわたくしは競うのを楽しむなんて発想はありませんでしたわ」


「へぇ、元は負けを根に持つタイプだったんだね」


 ロザリンはコクリと頷き話しを続ける。


「そんな時にリディルカと出会ったのですわ。魔法学校時代、わたくしは魔導士としてリディルカと競い、そして負けました。何度も何度も。わたくしはその悔しさをバネに努力し、実力を磨き、リディルカに挑み続けた。そしてある時、わたくしは努力のかいあってリディルカに成績で勝利を収める事ができたのです。嬉しかった。そして同時に、リディルカの悔しがる顔が見れると思った。けれど、当のリディルカは嬉しそうに笑っていたのです。とても不思議でしたわ。わたくしにとって勝負は勝つことが全て。負けるという事はとても耐え難いもので、喜んでいられるものではないと考えていましたから。わたくしはそんなリディルカに聞いてみたのです。どうして負けたのにそんなに嬉しそうなのかと。するとリディルカはこう言ったのです、全力を出し合い競い合えるのが楽しいと、そんな競い合える人が近くに居る事が嬉しいんだと。それまで勝利こそ全てと考えていたわたくしにとって、競うのを楽しむというのは考えもしなかった事でした。そして同時に気付いたのですわ。わたくしもリディルカを超えようとしていた日々を楽しんでいた事を。それからですの。わたくしとリディルカが互いをライバルとして競い合う関係になったのは」


 昔を懐かしみ語るロザリンの横顔は薄っすらと赤く染まり、まるで恋する乙女の様であった。


「ふむふむ。ライバル関係の楽しさを教えてくれた人だからこそ、リディルカとの勝負にこだわってるんだねぇ」


(良いねー、出会いと関係が人生を変える。正に人に歴史ありって奴だな)


(じゃあ次の質問ね。極炎の光星って社長令嬢と屋敷の使用人とで始めたパーティーって話だけど。なんでこの3人にしたの?)


 僕は再び神様の質問を自分の言葉に変換する。


「んじゃ次の質問。ロザリンはなんでパーティーメンバーにこの3人を選んだの?」


「互いの事を良く知っているからですわ。ダッドとリドルとルドリは屋敷の使用人で長い間共に過ごしてきましたから、信頼関係で決めましたの」


 そう言うロザリンに割り込む様にリドルとルドリが話しに入る。


「こっちからするといい迷惑ですよ。屋敷の管理で雇われたのに、いきなり探索者やろうって言いだすんだもん」


「そうそう。これじゃあせっかくの信頼関係も揺らいじゃうよ」


 嫌味な言葉を並べながらも2人の表情は柔らかい。なんだかんだで関係は良好、楽しんではいる様子だ。


「ほうほう、人間関係優先って感じね」


(あーね。強いメンバーを揃えても人間関係でダメになるパーティーって多いもんねー。自分の強さに自信があるならそれが正解かもねー)


(んじゃ次は俺の質問だ。ズバリ。なんで火属性魔法一筋なんだ?火属性魔法にこだわる理由を是非とも聞きたい)


 僕はまたまた神様の質問を代弁する。


「そんじゃ次。なんで火属性魔法ばかりなの?ロザリンの実力だったら色んな属性の魔法だって使いこなせそうなもんじゃない?」


「まぁ他の属性も使おうと思えば使えますけれど、わたくしは火属性に適正が偏っていたので、苦手を克服するよりも得意を伸ばす方が良いと判断した結果ですわ」


「なるなる。適性が特化寄りだったんだね」


 ロザリンは静かに頷き続ける。


「それに、わたくしのライバルのリディルカが幾多の魔法を操る道を進んでいるのです。世界に名を轟かせる2人の超絶至高の魔導士。その2人が別々の道を歩んでいたというのも、なかなかおつなものじゃなくて?」


「あー、いいねーそういうの。ライバル同士が真逆の特徴を持ってるって、結構映えそうでさ」


「でしょう」


 ロザリンは朗らかな笑顔を僕に向けた。


 そうこうしながらも僕達はダンジョンから帰還。変異種討伐の報酬に加え大量の魔石。ロザリンとの勝負も一応の勝利を収めたし、今回の探索は大成功という結果に終わった。

 リトライズと極炎の光星の皆は以前と同じく近場の店で打ち上げをし、はしゃいだ後、また一緒にダンジョンに行こうと誓い、別れるのであった。

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