第34話 変異種討伐再挑戦
ビッグホーンを倒した後。僕はその喜びを分かち合うべく、手を掲げてニルスンに近づき、
「ヘーイ」
とハイタッチを促すが、ニルスンはそれに応じる事は無く。僕の手は空振りとなった。
「今は一刻も早く合流すべき時、ゆっくりしている場合じゃあありません。行きますよ可奈芽さん」
そう言ってニルスンは駆け足でその場を去っていく。
ハイタッチに応じてくれずにムッとする僕だけど、急ぐべき状況なのは確かだ。不満な顔をしながらも僕はニルスンと共に他の仲間の元に向かった。
まず合流したのはニーリェだ。ニーリェは僕達と合流すると「おぉ、無事だったか」と気さくに言い、ニーリェを前衛として先を進んでいく。
ニルスンと僕だけだとモンスターとの戦闘を避けなければならなかったけれど、ちゃんとした前衛と合流した事でモンスター避けて進む必要はなくなった。ニーリェは進行上のモンスターを突進系のスキルで弾き飛ばしながら進んでいく。さながら轢き逃げの様だ。
次に合流したのはディクス。ディクスは僕達と合流するとすぐさまニルスンに状況を聞き、変異種の放った光によって散り散りになった事、ニルスンがモンスターの襲撃に合い、それを僕が助けた事を知った。
ディクスは「ニルスンを助けてくれて感謝する」と感謝の言葉、ニーリェは「ビッグホーンを倒すとか、やるじゃん可奈芽」と賞賛の言葉をそれぞれ僕に投げかけた。それに僕は「えへへ」と照れで返す。
ディクスと合流した事で進行はさらに円滑になった。ニーリェの突破力にディクスの殲滅力が加わり、もはやモンスターは進行の妨げにならない。
そこから僕達は次々仲間と合流していった。
シシルーは不安そうにキョロキョロしていて、僕達と合流するや「助かったー」と安堵の表情。
ミルカはモンスターに襲撃されている所を助け。
ベドゥイは警戒状態で待機していた所を拾い。
カルスも同様に待機していた所で合流。
リディルカは余裕そうにポーズを決めて待っていた。「みんな無事で何より」と案ずる言葉と共に一緒になる。
これにて全員集合。バラバラに飛ばされたものの、誰一人欠ける事無く集まる事ができた。
全員が無事集まった所で、ディクスはあの変異種とどう戦うのか、次なる策のために今回の討伐対象の再確認を行う。
「俺達に回される変異種は強すぎる奴か厄介な特性の奴のどちらかだが、今回は後者、倒しにくい特性を持っている相手だ。罠を設置する能力で罠をばらまき。見つかったらすぐに逃げる。そして袋小路に追い込んでも、高い回復と回避性能で倒すのが難しい上に、あの光でバラバラに転移させられる。非常に倒しにくい相手だな」
ディクスが今回の変異種について話すと、ニーリェとリディルカは感想を述べる。
「逃げ回る相手って事は、ニルスンさんか可奈芽が居なきゃまともに戦えやしないだろうし、あの回復能力があるんじゃ半端な攻撃も意味ないし、モタモタしてるしてたらあの光でワープさせられちゃうし、やっぱ兄ちゃんやリディルカの高火力で一撃で倒すしかないんじゃない?」
「うーむ。確かに反撃や逃亡の余地も与えずに倒したい相手ではあるが、大魔法で倒そうにもそれを撃つには相応の貯めが要るのだ。残念ながら、このリディルカの大魔法よりも奴の転移の光の方が早い。反撃を許さずに討つというのは難しいだろう。ディクス殿の攻撃も避けていたし、必殺の一撃も当てるには一工夫必要であろう」
ここでディクスは次なる策を提示する。
「そこでだ。今度はリトライズと騎士団とで二手に分かれ、リトライズが待機して待ち構え、騎士団が変異種を追いこみ、挟み撃ちの状態を作って一気に畳みかけようと思う。リディルカさんはタイミングを見計らって、変異種との出会いがしらに大魔法をぶちかましてほしい」
シシルーが相槌を入れる。
「待ち伏せる事で貯めの時間を賄うんですね」
「あぁ。奴は今洞窟内を徘徊している。俺達は変異種を追って洞窟の出口へと追いやるから、リトライズの皆は出口の所で先回りをして待ち構えてほしい。挟み撃ちの状態を作って一気に畳みかける。もしリディルカさんの魔法で倒せなければ、二の矢として俺が<スパイラルランス>を放つ。二段構えの策でいくとしよう」
ディクスが策の説明を終えると、「おっけー」「了解」「はい」といった言葉が並ぶ。次なる策は追い込んで挟み撃ちという方針に決まった。
ここで僕達リトライズとディクス率いる騎士団は別行動。騎士団は変異種を追いこむために洞窟の中へと入り、僕達はひとまず外で待機。変異種の行動に合わせて移動する事になるだろう。




