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神様リスナーと転生者  作者: キャズ


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第22話 リュートとカフェで

 僕とシシルーは買い物を終えた後にリュートと落ち合い、そのままリュートに連れられて近場のカフェに来ていた。

 リュートとシシルーは向き合う様に座り、リュートは穏やかな表情でシシルー顔を見ていて、シシルーは目を逸らしがちで、チラチラとリュートを伺っている。

 そして僕はシシルーの隣に座り、モクモクとお菓子を食べ、ゴクゴクと紅茶を飲んでいた。


(どうしよう・・・ついつい付いてきちゃった。これひょっとしてひょっとすると、二人っきりで話し合おうみたいなノリだったんじゃない?)


 居づらさを紛らわせる様に僕は飲食のために口を動かす。喋る事が無いから食が進む進む。

 どうしようかと困っている僕を祭の神は笑い飛ばす。


(ガッハッハ。付いてきちまったもんはしゃあねぇ、このまま二人の関係に首をつっこんじまえ)


(もー、そんな無責任な事言ってー)


 僕がそんな気まずさを感じている中、シシルーとリュートは話し始める。


「リトライズの配信見てるぜ。シシルー最近調子良さそうじゃん」


「あ、うん。パーティーの人達が皆凄い人達でね。私みたいにろくに回復ができない支援でも、平気でボスだって倒しちゃうんだ」


「良かったな、シシルー。自分に合ったパーティーが見つかって。ブレイドファングの皆も応援してるからな」


 リュートは穏やかな表情でエールを送ったかと思うと、ハァと軽いため息をついて軽くうつむき、両手を広げてヤレヤレポーズをし、今度は自分の事を話していく。


「俺達の方は全然だよ。シシルーが抜けてから神様からの評価が落ちてさ、パーティ全体の強化は減るし、高評価手当の収入は減るしで、これなら無理にでもシシルーを引き留めておくべきだったと後悔してるよ」


 シシルーも軽くうつむき、悲しそうに言葉を紡ぐ。


「私が辞めてなかったらそんな事には・・・」


「いや、シシルーの判断は間違ってなかったとは思うよ。ブレイドファングにシシルーの支援が合わなかった事は事実だしな。俺達が不甲斐ないだけだ、気にすんな」


 2人の会話の内容的に、やはり双方仲が悪いわけじゃない。むしろ仲は良い様だけど、なにやらシシルーには過去の選択に後悔がある様子。少し気になる。

 シシルーとリュート2人の事だから静観しようとも考えていたけれど、シシルーは僕のパーティメンバー。仲間のシシルーがモヤモヤした感じなのを放っておくのもなんだし、丁度お菓子と紅茶も切れた所だ。話に介入させてもらう。


「ねぇ、シシルーの過去に何があったの?」


 突然の僕の問いにリュートは少し考え、語り始める。


「シシルーが元居たパーティー、ブレイドファングは、元々俺と友達で作ったパーティーでした。皆で一流の探索者になろう、Aランクパーティーを目指そうって約束して、村を出たんです。皆抜きん出た実力はないけれど、協力し合って、皆で努力して、Cランクにまでなったんですよ。でも、そこから伸び悩んでしまって。知ってはいたんです。ブレイドファングの様な前衛をアタッカーとするパーティーでは、回復魔法を得意とする支援を入れるのが定石だって」


 引き継ぐ様に今度はシシルーが語る。


「私も、回復が遅くて足を引っ張ってしまっている事は自覚していました。ブレイドファングは前衛主体のパーティーで、皆が前に出る分ダメージを負う事が多い。だから頻繁に回復が必要なのに、私が回復に時間がかかるせいで逐一足を止めてしまってろくに探索も出来ていなかったんです。なぜか神様の評価は高かったから探索者を続けていけたんですけど、そのままだとCランク止まり。私は自分のせいで皆が上のランクに上がれないってなってしまうのが嫌だった。だから私はブレイドファングを辞める事にしたんです」


「俺達は皆で一緒に探索者を続けたかったから、引き留めたんだけどな。シシルーがは変な所で頑固だからな」


 そこまで聞いて、僕は話しをまとめる。


「ふんふん。つまり、上位のランクに上がるのに自分が足手まといだと思ってパーティーを抜けたら、なぜか強化どころか弱体化しちゃった。そんで、シシルーはその弱体化の原因が自分が抜けたせいだと責任感じちゃってるという訳ね」


 シシルーからの返事はないけれど、その物憂げな表情がイエスと語っている。

 リュートさんは神様の声が聞こえないから、なぜ自分達の評価が下がってしまっているのかが分からない。でも僕は神様の声が聞こえているからなぜ評価が落ちたのかも分かるし、どうすれば評価を取り戻せるのかも分かる。もしかしたら、僕ならブレイドファングを助けれるかもしれない。そう思い、ブレイドファングの評価の低下、その真相を探るべく僕は神様に質問を投げた。


(ねぇ神様。なんでブレイドファングの配信の評価が下がっちゃったか分かる?)


(えっとね。ブレイドファングは元々ほのぼのとした雰囲気が人気のパーティーだったんだー。回復魔法に時間がかかってたけど、その間にちょっとしたお話しとかしててさ、そのゆるい雰囲気が好きで見ている神も多かったんだよ。でもね、シシルーちゃんが抜けてからは、もっと真面目にやろうって感じになってさ、お話しとかもしなくなっちゃって、元の雰囲気が好きな神が見るの辞めちゃったんだよ。あーしも惰性で見続けているだけだしねー)


(あーね。緩い感じが人気だったのに、ガチ感だして既存のファンが離れちゃったと。そんでファン離れが起きた事で神様の評価が減って、その分のバフと収入が減っちゃったと。もっと上を目指そうって頑張りが裏目に出ちゃったんだね)


(それとね、シシルーちゃんとリュートくんが離れ離れになった事が嫌だって神も居る感じかな)


(というと?)


(シシルーちゃんとリュートくんの関係性が好きで見てた神も居るって事。この2人くっつくんじゃない?みたいなノリで見てたりしてたよ)


(カプ厨もいますと。ふむふむ、そういう感じなんだねぇ)


 神様の評価によってバフや収入の増加が見込めるこの世界ならではの問題か。しかもこの世界の人は神様の声は聞こえないらしいから、なんで評価が下がっているのか分からないと。会話が出来ないというのは難儀なもんだ。

 ここでリュートが話しを切り出す。


「なぁ。せっかく久しぶりに会って、しかも同じ日にダンジョンに行く予定だ。今回のダンジョンは、リトライズとブレイドファング一緒に行くってのはどうかな?皆も久々に会って色々話したいだろうしさ」


 リュートの提案を聞いたシシルーは僕の方に顔を向け、僕の方に質問を投げる。


「私も、久しぶりに友達と一緒にダンジョンへ行きたい。良いですか?可奈芽さん」


 ねだる様な顔で僕を見つめるシシルー。その表情を見て、僕は微笑み言葉を返す。


「うん。戻ってニーリェとリディルカにも聞いてみよ」


 その後、僕達とリュートは別れ、互いにパーティーメンバーにこの事を話した。

 リディルカとニーリェは快く賛成してくれて、リュートの方もOKとの事。丁度お互いにダンジョンに行く予定だったので、さっそく一緒にダンジョンへと行く事になった。

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