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ドラグノフの女
昨日も今日も、大物が死ぬ。
腐敗臭が蔓延るこの街で、毎日誰かが暗殺される。
SAAが盗まれちまって、銃砲店を訪ねる。
いつもガラガラのくせに、今日は先客がいる。
金髪の女だ。
茶色のロングコートを着て、サングラス越しに、
その長い銃をカウンターに置く。
そういや、ここ最近の大物暗殺には狙撃銃が使われたとか言ってたな。
まあ、この女が犯人だろうが俺には関係ないけどな。
通りで喧嘩が始まってる。
あいも変わらず五月蝿い連中だ。
店で買った中古のオートマグを試そうか。
あまりオートマチックは好みじゃねえが。
殴り合いの喧嘩。
男と男の間に銃弾を一発放つ。
精度が良くねえもんで、頭に当たっちまった。
ごめんな、地獄で再会したら酒でも奢るから。
ため息をつく俺に、後ろから女が声を掛ける。
「アンタ、アタシのを使うかい?」
女が渡して来たのはコルト・パイソン。
こんな高級なもん、自分じゃ買えねえ代物だ。
金持ちだなぁ。
素直に受け取り、代わりにオートマグを渡す。
またなと言われ、おうの2文字を返して、女の後ろ姿を見つめる。
夕日が泥水をためた道を照らす。
なかなか良い女じゃねえか。
ホルダーにしまい、新たな相棒に祝して酒を飲む。
その晩もまた、大物が死んだ。
あの女の仕業だったりしてな。
俺はあいつを思い出しながら、路地裏の壁に背を預けて眠りにつく。




