表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夢の中で

作者: 音無悠也

ふわふわな雲の中でぷかぷかと。

浮かんで、お日様浴びながらうとうとしていると。

気づいたら、雲を抜けて落ちてしまっていた。

けれど、ずっと前から地上にいたような気もしなくもない。

いつから、寝てたんだっけ…?


ふわふわとした、頭で考えていると次第に意識がしっかりしてくる。

雲で寝るとか小学生みたいな夢を見たのはいつぶりだろうか。

誰に見られているわけでもないのに、どことなく恥ずかしさが込み上げてくる。

そそくさと、身支度をして下山する。

あれ?

いつから私は、山登りしてたんだろ?

ふと、そんなことを考えて水を飲もうとしてこぼしてしまい、冷たい感覚が起きた時に…。


いつもの私の部屋で目が覚めた。

こぼした、足の辺りを触ると本当に濡れていた。

よく見ると、天井から雨漏りしてきている。

これのせいで、変な夢を見たのかと納得した。

時計を見るといつも起きる30分前。

これから二度寝するのもなぁ…。

そんなふうにぼーっと考えていると、目覚ましが待ってましたと言わんばかりに音を鳴らす。

毎朝のことながら、なんでこの目覚ましを買ったのかわからない。

友達からも、買った時は突っ込まれた気がする。

それでも、その時はこれがいいなって思ったんだからしょうがない。

思い返してみれば、私の部屋にあるものって昔から、少し周りとズレたものを買ってしまっているものが多い気がする。

なんでかなぁ?

個人的にはズレてるつもりもないし、一般的にウケるものに手を出しているはずなんだけどな。


そんなことを考えながらも、時計を確認して二度寝しようと寝返りをして飛び起きた。

今日は、前々から約束していた友達とのお出かけの日だった。

待ち合わせ時間には間に合うが、集合の5分前に着きたかった私からすればギリギリだった。

とはいえ、前日に準備は済ませている。

さすが、前日の私。

けれど、荷物の準備はできていたがご飯やら服とかは何もできていなかった。

何してるんだ、前日の私!


なんだかんだ、予定通りに家を出て待ち合わせ場所に。

お手洗いに行ったりとかしていると、友達から連絡が。

友達も時間前についているようだ。

場所に戻ると、同じように荷物を背負った友達がいた。

無事に合流!

今日は友達と日帰りで行ける登山だ。

今向かっている山は私は知らない。

友人が、日帰りで行けるところをピックアップしてきて現地に着くまでお楽しみとしている。

しかし、なぜか見覚えのある景色が通り過ぎていく。

山に着くと、そこは夢で見ていた山の景色。


「なんかここ来たことあるような気がするんだけど…」


友達に聞いてみるが。


「多分、来たことないと思うよ?少なくともあたしとは」


とか言ってるけど、こんな遠出をするのはこの友達しかいないし。

その友達がないと言うのであれば、多分来たことはない。

やっぱり、夢で見た山に違いない。

こんな偶然、あるものなんだなぁ。

そのうち、雲の中にまで浮いていっちゃったりするのかな?

そんなことないか。


そして、麓からバスでいくこと20分ほど…。

山の中腹くらいのところの大きめの休憩所で荷物の確認をする。

一度、山登りの時に荷物に不備があったせいで、登山を中断せざるおえないことになってから、これは、毎回やるルーティーンとなっていた。

荷物に不備がないことを確認すると、いよいよ登山開始だ!

とはいえ、友人も言っていたように基本的に日帰りで行けるような山。

険しい山道を…とか、獣道を…とかは全くない。

完璧ではないが、そこそこ整備された道を談笑しながら登っていく。

終盤に差し掛かったところ開けた道にでる。

またここでも、夢の記憶が甦る。


そういえば、ここは雲の上から落ちてきたところ…かな?

なんか、本当に今日は見る景色たちがデジャヴばかりだ。

今朝見ていた夢が本当に夢なのか。

今、こうして生活をしているのが夢なのか。

はたまた、こんな不思議な体験をしている夢なのか。


「なんか変な感覚だなぁ…」


そう呟くと。

友人がこちらを見て口を開く。

何か、話しかけているがどうも聞き取れない。

頭がぼぉっとする。

そうして霧がかかったような意識の中で、ふと思う。

どうして、今、見て聞いて感じていることが現実だと思っていたのだろうか?


そして、僕は目が覚めた。

あたりを見渡すと病室。

そして、隣のベッドにはさっきまで、自分だと思い込んでいた女性が寝ている。

そして、次第に意識がはっきりしてくると自分の身に何が起きて、どうしてこうなったのかを思い出してくる。

僕は登山中に足を滑らしてしまい、滑落。

その先にあった、登山道を歩いている彼女の上に落下してしまった。

奇跡的にそこで、二人とも落ちることもなく。

救急隊に運ばれてきた、というわけだ。


あの雲から落ちたり、開けた山道に落ちていく感覚だったりしたのはきっと、僕の落ちていくときの記憶が夢の中で誇張された結果なのだろう。

後日、目を覚ました彼女に話を聞くと。


「私も君になって生活している夢を見ていたの…」


そして、その内容を聞いてみれば本当にその日の僕の1日の行動だった。

僕の夢の内容も彼女の実際の行動であった。

きっと、ともに昏睡状態に陥ることで何か霊的なものが作用して二人の記憶や人格が交わってしまったのではないかと。

彼女とは今でもよく話している。

その事件以来、彼女とは登山仲間として、関係を深めている。

今度、真剣に交際を申し込もうと思っている。


二人が奇跡的な交わりを見せたあの山で。

今度こそ、頂上の景色を二人で見ながら。

もう一度、あの時の出来事を振り返ったりしながら。


これは、僕の人生の中で1番と言っていいほどの。

まさに夢のような出来事のお話。

皆さんも、もしかしたら、このお話を読んでいるのは…?

現実と夢。

その境目はなんでしょうね?

これは現実だとはっきり言えるのでしょうか?

長い長い夢のお話の途中かもしれないですね。


願わくばその夢のお話が、幸せな形で醒めることを願って。


Have a nice dream...


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ