vol.008 姫の扱い
「魔王様!!」
姫を拐ってきた日の翌日の朝と昼の中間の頃、魔王はキキョウに起こされていた
「…何?まだ眠いんだけど…」
「魔王様、申し訳ありませんが起きてください!!食堂に人間の女が現れたという報告が」
「何だ…その程度か…じゃあ寝させてよ…」
「その程度じゃないので魔王様に相談しているのです」
「あら、キキョウ。魔王様の寝室に侵入してどうしたのかしら?夜這いにでも来たの?」
「なわけあるか!!今はもうほぼ昼だし。そんなことよりも、人間の女が…」
「あ、多分それ桃華だわ」
「桃華?新入りですか?魔王様、人間を我が軍に勧誘するの止めてください!裏切られて困るのは魔王様ですよ」
「ちょっと落ち着いて、キキョウ。桃華は人間の姫よ」
「…昨日拐ってきた姫ですか?でも、牢獄から出て何でわざわざ食堂で食事を…」
「Zzz」
「魔王様、寝ないでください!」
ツバキによってからだを起こされ、はだけたパジャマ姿から、いつもの服に着替えた後、魔王は口を開いた
「…何の話だっけ?」
「人間の姫が食堂で食事を摂っているという話です。一応ここに来る前に何も手を出さないようにと忠告しておきましたけど」
「ちなみに今何時?」
「えっと…11時です」
「なるほど…全然ご飯が運ばれてこないから、食堂を見つけて朝食を食べたってことだね」
「へぇ…とはならないです!なぜ人間の姫が自由に出歩いているんですか!」
「それは、部屋に鍵つけてないからだね」
「魔王様、姫って人質として拐ったんですよね?」
姫の扱いが緩いので若干呆れつつ、確認した
「とにかく、姫の扱いはいかがなさいますか?」
「どうしよう」
「俺に言われても…早くしないと大変なことになります。報告を受けて、食堂に向かったときに食堂にいた者には手を出すなと命じましたが、俺がこっちに来た後に来た者が姫を襲う可能性があります。なのでその前にご命令を」
「キキョウ、そんなこと言ったところで魔王様が決められるわけないでしょ」
「お前、今だいぶ失礼なこと言った自覚あるか?」
「仲いいね~」
「「よくありません!!」」
「おお、揃った」
「とにかく、早く命令を下してください。でないと、姫は死にますよ。魔王様も姫を殺すために拐ったわけじゃないですよね」
「桃華に対しては一般兵と同じ扱いでお願い」
「心得ました。それでは」
勅命を受けたキキョウは魔王の部屋から飛び出ていった
「気をつけてね~」
「魔王様、本当に一般兵と同じ扱いで宜しかったんですか?」
「何?ツバキは私の判断に不満でも」
「滅相もありません。ですか、魔王様ならもっと優遇するのではないかと」
「そのせいで不満出ても困るからね」
次話は諸事情により10月5日の18時に更新します。