vol.006 桃華
服を着た魔王は姫とツバキを連れて魔王城に戻った
「魔王さん、今の姿で魔王城に入っていいんですか?」
今の魔王の姿は第1形態、つまり女の、本来の姿なのだ。だからこそ、女とバレたくない魔王が第1形態で魔王城内に入ったことが気になって質問した
「大丈夫、今の姿は私は魔王とキキョウのお気に入りになってるから」
「キキョウ?」
そんなこんなで魔王城の魔王の部屋に辿り着いた
「ここまで尾行してきた奴らはいないわよね」
「今この時点で言っても無駄ですけどね」
「そうね。ねぇ、ツバキ。私、喉渇いたわ」
「ただいまお飲み物を用意して参ります」
部屋には魔王と姫だけになったところで魔王は姫に質問した
「人間王…あなたの父親ってどんな人なの?」
「…あいつのこと話題に出さないでください」
「…ごめん…でも、敵の王だし知っとかないと…」
「分かりました…」
姫は容赦なく大嫌いな父親を売った
「あいつはただの暴君です。気に食わないことがあったら部下たちに暴力を振るうし、誰が相手でも気に食わなかったら処刑して…それで、お母様…あいつの后が殺されて、気に食わなかったら、村の人たちもろとも殺して…」
「もういいです」
想像以上にやばい奴すぎて魔王が引いた
まとめると、気に食わなかったら暴力を振るったり、処刑したり、村人もろとも処刑したりする独裁野郎ということだ
「誘拐してきたところで悪いんですけど、おそらくあいつなら私が拐われた程度じゃ処刑する手間が省けたとしか思わないと思います」
「なんかそんな気がする」
下で騒動を起こし、王に被害を加えることで、姫の身にも同じことをやるぞということを示したのに…
手に入ったのは交渉材料にならない人質で失ったのは六曜4人…あまりにも損失が大きすぎた
「あの…すいません、あいつのせいで魔王さんの計画が瓦解してしまって」
「姫が気にすることじゃないよ」
「…その姫って呼び方止めてもらっていいですか?姫という称号を今すぐにでも捨てたいので」
「…分かったわ。名前何なの?」
「出来れば、元の名前も捨てたいです」
そうして新たに姫に名前をつけることになった
「魔王様、お飲み物の用意が出来ました」
「ありがとう、ツバキ」
「姫もどうぞ」
「ありがとうございます」
「ねぇ、ツバキ、姫が名前を捨てて新しい名前が欲しいらしいんだけど、何かいいのある?」
「…私よりも魔王様の方がネーミングセンスいい気がしますけど」
「…って言われても…桃華とか?」
「…あ、それでお願いします」
「それでいいの?」
こうして、姫はこれから桃華と呼ばれることになった