97話 女王の威圧
私とサタン王子とメシスは城に帰って来た。馬車で城に向かているときにサタン王子に女王陛下との謁見をお願いすると頷いてくれたため、私は女王陛下に会うために、着替えをするため部屋に戻って来た。部屋にはエクリシアが私を待ってくれていた。
「おかえりなさい。お姉様」
「ただいま、エクリシア様。訪問先はいかがでしたか?」
私は学校でのこと、エクリシアはこの国の観光名所を訪れてたくさんの方々と交流ができたことを話し合った。アトランとロベルトも少し緊張していたが、案内してくれる人がとても親切で楽しんでいたと。ただ、アトランは時々私を心配してか、うわの空になるときがあったと。笑いながら話してくれた。
着替えが終わり、ちょうど部屋にノックの音が響く。私を呼びに来てくれた城の人が女王が待つ部屋に案内してくれる。エクリシアもついていこうとしたが、遠慮してもらった。部屋に通されると女王、王配、そしてサタン王子がいた。
「どうぞ、座ってください」
女王に言われ、用意してくれている椅子に座る。
「ありがとうございます。女王陛下」
椅子に私が座ると、女王が話始める。
「いかがでしたか?我が国の学校は?」
「はい、とてもよかったです。転校生の私にもみんな親切に対応してくれました。いい経験をさせてもらいました」
「それはよかったです。サタンからあなたの学校での様子を聞いていたので、心配してたんですよ」
「え?」
サタン王子のほうに目がいく。
「アーロット侯爵令嬢。彼女があなたの学業に関する備品を隠したと聞いています。アーロット侯爵令嬢には知らなかったとはいえ隣国の公爵令嬢に嫌がらせをしたということ。見過ごすわけにはいきません」
その言葉で私は焦る。
「お待ち下さい。確かに備品を盗まれることはありましたが、気になるほどのことでもありません。私は全く怒っていないです。だから、罰などは与えないでください。お願いします」
「・・・・しかし、これを許しては、貴族に示しがつきません」
「お願いします。若気の至りということで、どうか寛大な処置を」
女王陛下にお辞儀をする。
「あなたはいくつですか?はぁー。わかりました。被害者のあなたがそういうのであれば、これ以上は何も言いません」
「ありがとうございます。女王陛下」
「それでは、次の話です。今日の誘拐事件についてです。どうやって、アーロット侯爵令嬢が誘拐されたことを知ったのですか?」
「へぇ?あ、あの女王陛下、それはどういう、、」
「サタンから聞きました。あなたが突然走り出し、アーロット侯爵令嬢がいなくなった場所まで向かったと」
「・・・・・・・」
「考えられる可能性は、あなたが誘拐犯の仲間、もしくは魔眼を使ったか?どちらでしょうか?ルセリア嬢?」
何て答えたらいいのか。
私はただ女王陛下に学校生活のお礼を言いたかっただけなんだけど。まさかこんなことになるなんて、なんて答えたらいいのかわからない。今私は一人だ、助けを求めたくても誰もいない。
隣国三人の王族の瞳が私にむく。それだけですごい圧だ。何も言えなくなる私に女王陛下が。
「ならば、ルセリア嬢。サタンの魔眼は知っていますね」
「はい、過去視の魔眼を持っていると聞きました」
「それは、王族だけが知っている重要事項です。それを知ってしまったあなたと騎士の方はこれからどう扱うべきでしょうか?」
女王が笑顔を向けて来るが、その目は全く笑っていない。
「脅かしすぎだ。アレクシア、それぐらいにしたらどうだ」
「母上、やりすぎですよ」
王配とサタン王子が間に入ってくれる。
「黙りなさい。これは王族の機密事項です。簡単に済ませていいものではありません」
女王の言葉で王配もサタン王子も何も言えなくなる。ここの王族は恐妻家なのだろうと心の中で思う。再び、私に向きなおった女王陛下に、
「魔眼を使いました」
観念して、答えるしかなかった。
「ほぉ。どのような魔眼ですか?」
女王が興味深そうに尋ねて来る。
「よ、予知の魔眼です」
私の答えを聞き、女王以外の二人が驚きの顔になる。
「誠か?ルセリア嬢、貴殿は本当に予知の魔眼を?」
王配が私に尋ねる。ユースティテ王国で王族に予知の魔眼について話した時と同じ態度だ。
「はい・・」
王配と違い納得した顔の女王が、
「そうですか。ルセリア嬢、そのことを知っているのは?」
「私の両親と王族の方々。後は数人です」
「そうですか。ではこの話はこれまでにしましょう。ルセリア嬢、今日は疲れたでじょう。ゆっくり休みなさい。残り二日、この国を楽しんでください」
「あ、は、はい!」
突然、話が終わる。言われるままに、部屋を出た私はこれでよかったんだよね、と思いながら自分の部屋に帰った。
部屋に残った三人の王族は
「よかったのか?アレクシア」
「サタンの過去視の魔眼以上の機密事項を教えてもらったのよ。あれ以上は何もいえないわ」
「そうだな。しかし、予知の魔眼とはなぁ。これからあの子とどう接していけばいいのか?」
「そんなにすごいのか?母上、父上、予知の魔眼というのは?」
「そうですね。サタン、あなたの魔眼は確かにすごいものです。しかし、ルセリア嬢の予知の魔眼はそれ以上のものです」
「そうなんですか?」
サタンの頬に汗が流れる。胸を触ると心臓がドキドキと鳴っている。サタンはこれまで、過去視の魔眼を持っていることを誇っていた。王族しか知られていないことだが、それでも自分の魔眼が他の魔眼よりもすごいことを母上と父上から聞かされていたから。しかし、それ以上の魔眼と聞かされては。最初にルセリアに興味を持ったのは箸の使い方だった。わが国の箸の使い方を知る隣国の公爵令嬢。綺麗な女の子で自分の好みだったためパーティーの時声をかけてしまった。学校生活でも好感が持ち少しずつ彼女に惹かれていった。そして今日の事と予知の魔眼のことで、ルセリアに対しての感情が好意に変わる。
「どうしましょう?エル」
「お前が決めることだぞ、アレクシア」
「「「「はぁー」」」
三人の王族が同時にため息を吐くが、二人と一人の表情は全く違っていた。
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