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92話 悪役令嬢

サタン王子に話しかけるなと言われても、現在王城でお世話になっているので話しかけないというのは無理。仕方ないのでひとまず先程の令嬢のことは気にしないことにする。

それから次の日


「ちょっとお待ちなさい!」


振り替えると昨日の令嬢と数人のご令嬢がいた。


「なにかご用でしょうか?」

「あなた私が昨日言ったことをお忘れですの!?」


「えっと…サタン王子に近づくなという」

「それですわ!覚えていながらよくも近づけたものですわね。しかも今朝は同じ馬車でいらしてたでしょう!」

あれ?確かにサタンとは、馬車で来たけど、私は途中で降ろしてもらったから、目撃されていないと思ったのだけど、誰かが降りるところを見ていたのか?


「確かに途中まで一緒に登校しましたが」

「あの方はこの国の王子ですのよ。いくら婚約者がまだいらっしゃらないからと言って平民の娘が気安くお話しして良い方ではありませんわ」

「でもこの学園は身分は関係ないという教えですよね?」

「身分が関係ないとはいえ普通は節度を持ち合わせるものでしょう?これだから平民は嫌ですわ。あの方には私のような侯爵家の娘こそふさわしいの。だからこれ以上サタン王子に付きまとうならあなたをこの学園から排除してもいいのよ?転校生さん」


そう言われても、4日後には居なくなるんだけどね。


侯爵令嬢から忠告をうけてから、目を離した隙に身の回りの物がなくなるようになった。移動教室の間にペンやインクなど授業で使用する物がなくなる。


「アリスさん、また物がなくなったんですか?」

「誰かに盗まれているんじゃないか?」

「心当たりわ?」


クラスメイトの方々が心配してくる。十中八九あの侯爵令嬢だと思うが、特に困るというほどではないし、精神年齢が大人の私からすれば、かわいい悪戯だ。


「大丈夫です。皆さん。心配してくれてありがとうございます」


この数日間、何度か身の回りの物を盗まれた。しかし、私は気にしない。

それよりも放課後になり、最終日の今日ついに私は王都の街に来ている。なぜか、かつらをかぶり変装しているサタン王子と、


「サタン王子、私一人でいいんですよ」

「何を言う。俺も久しぶりに王都の街を歩きたいだけだ」


この王子、普段から無断で城下に降りてるんじゃ?


「そうですか?ならついてこないでください。護衛には我が国の騎士がいるので問題ないです」


横を向くと、騎士のメシスが私服で護衛として付いてくれていた。実は隣国の訪問に一緒に来てくれていた。そのため、この5日間は私服で私を護衛していてくれた。


「自分は騎士のメシス・アレースといいます。サタン王子」

「俺はサタン・ベルク・ジオテニアだ。随分若い騎士だな。」

「はい、自分まだ18なんですよ」

「そうか。若くして騎士になったのなら、腕には自信があるのだろう。機会があれば今度稽古をつけてくれ」

「自分でよろしければ」


男同士が見つめ合っているが、残念!私にそっちの趣味はない。


「早く行きますよ。メシス様」

「はい、ルセリア様」

「俺も行くぞ」


そしてやってきたのが、ジオテニア国の王都の本屋【みなわき】だ。ユースティテ王国の王都の本屋は【きのみきや】だったが、ここも同じくらい広い。一階だけだが、面積が広い。店員に小説が置いてある場所を聞いて、私は自分とシルフィとリーネットのお土産を吟味する。何とも言えない顔でサタンとメシスが見て来るが気にしない。気にしたら負けだ。メシスは慣れているがサタンは驚いている。

20冊くらい小説を買い、ホクホク顔の私はメシスに本を半分持ってもらい帰路についた。馬車までの道中はたくさんの人が街を歩いている。右を見ても左を見てもたくさんの人が歩いている。





一人の男が私の横を横切る。


「ああ、ごめんよ。レイン、父ちゃんダメみたいだ」


夢で見た盗賊の一人だ。眼を見開き、

すぐにその男を追う。

「お、おい。」

「ルセリア様」

二人が私を呼び止めるが、構わず男を追う。


男を追っていくと、傾いている家に入っていった。いつ崩れてきてもおかしくない家。ゴミがないゴミ屋敷と言えばいいのか?中を覗いてみると女の子が横になってその横に男がいた。私のあとを追って、サタンとメシスがやって来た。


「ごめんな。レイン、今日はこれだけしか、食べるものがないんだよ」

「お父さん。ありがとう」

「調子はどうだ?」

「今日はいいかなぁ」


父と娘の会話を私たちは聞いていった。サタンはなんともいえない顔で聞いていた。

娘との話が終わり、男は一服しようと外に出る。タバコを吸いながら、目からは涙が流れていた。


「こんにちは、おじさん?泣いているんですか」

「?君は」

「アリスといいます。ただの学生です。近くを通りかかって、あなたが泣いている姿が目に入ったので」

「そうか。それでなんか用かい」

「実は、私、学校でいじめられているんです。なのでもう学校に行きたくないと思っているんです。誰かに話したくても、いしめをしているのは貴族なので、庶民の私は言いたいことが言えないんです。だから、あなたにでも聞いてもらいたいと思ったので」


女で子供と言うこともあり、警戒はされていない。

いじめの内容を男に話をしていく。




「なんだその程度のいじめか。貴族様は大したことしないなぁ。」

「それでも、されたら悲しいですよ私は」


しばらく、私の話をした後に今度は男に話を振る。


「おしさんは、辛いことはないの?」


すると、おじさんはこれまでの生活のことを話し始めた。妻が病気で早くに亡くなり。男一人で娘を育てなくてはならなくなったこと。仕事がいきなり解雇され職を失ったこと。病気である娘を医者に診せるが金がかり、貯金はすぐに底をついて、今は医者に診せれていないこと。何とか今まで生きてきたが、もう疲れたと。

話をしていく男の目は、すべてをあきらめているような目をしていた。

「今日も、儲けの話が合ったんだが、前にうまい話で失敗したからなぁ。だから今回は断った」


うまい話はおそらく隣国から積み荷を積んだ馬車を襲い金を得るというもの。隣国の騎士が待ち伏せをしていたため急いで逃げた。おかげで今も変わらずの生活をしているといったところかしら。


「今回は、どんな儲け話が?」

「はは、さあなぁ。聞いていないが、ろくな仕事じゃないだろう」


だいぶ、話し込んでしまったと思い。


「ありがとう。おじさん。いろいろ聞いてくれて」

「ああ、俺も愚痴を聞いてもらって、少しは楽になったよ」


少しは顔色がよくなったと思い帰ろうとしたとき、突然私の眼が熱くなる。



私の魔眼が未来をみる。




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