85話 潜伏して
騎士の乗っている馬の蹄音が地を揺らす。それも一馬ではなく多馬だ。
少し前、作戦会議室に集められた大勢の騎士に騎士団長から
「隣国へ向かう我が国の馬車を狙って、盗賊がイリンガの谷で待ち伏せしているという情報があった。この道は、王子達も隣国を訪問するために使われる道だ。直ちに、盗賊を殲滅せよ。ただし、抵抗しないのであれば、捕縛しろ」
指令が下る。
ルセリアの話を聞き、襲撃がおこると思われる場所を特定していき、王都から馬車で3日かかるイリンガの谷に場所を絞っていた。そのため、後は騎士を出動されるだけだが、まだ、騎士たちに伝えることがある。
「ここ最近は雨の日が続いている。そのため地盤がもろくなっているため、崩落の可能性が高い。また、盗賊は拳銃を所持しているかもしれない、気を付けて任務に当たれ」
その声と共に、騎士が動き出す。各部隊から数10人が選出され、50人以上の騎士が馬に乗り、馬を走らせる。その中にはロック隊長とインガー、ギャレンの姿もあった。
馬車での移動よりも、早いため3日かかる距離が1日で行くことができる。王都を出発して、最初は田畑などの平地が続くが次第に山や村などが見え始める。
目的のイリンガの谷に着いたのは、次の日の昼過ぎだった。
ロックがある騎士に崖の上を確認させると、まだ人影はないとのことだ。部隊を残し数人で崖の上を確認すると、崖の上には洞窟があり武器や弾薬が隠されていた。まだ、盗賊たちは集まっていないのだろう。その状況でロックは、武器と弾薬を部下に運び出すように指示を出し、騎士たちは手際よく武器や弾薬を崖下に降ろしていった。
崖上で盗賊を待ち伏せてもいいが、騎士団長から地盤に気を付けろと言われているため、崖でないところで盗賊を待ち伏せする。
岩陰や木の上、林の中、崖を上がるために通る道に隠れていく。1日が立ち、盗賊たちが徐々に表れだす。せいぜい、5~6人が集まって歩いてくる。集団行動ができていないようだった。そのため、隠れた騎士たちにより賊を無力化していく。武器を崖の上に置いているため、賊たちに対抗する手段はなかった。捕縛した賊は騎士が近くの村から荷馬車をかり、賊を乗せていく。
夕方になる頃には荷馬車が3台になり、無力化し拘束された賊が40人近くに荷馬車に入っていた。
騎士たちに大きな被害はなく、未然に襲撃を防ぐことができた。
ただ、全員が拘束されたわけではなく、様子がおかしいと感じたものや、異変に気付いた者たちは、崖に近づく前に、引き返していた。
それから一日は賊が現れなかったため、撤退を決行する。賊を荷馬車に乗せているため、単独でなら王都まで一日の道のりも二日をかけ、騎士たちは王都に戻ていった。
賊たちが戻る道中で、
「なぜあの場所が分かった。なぜ襲撃がわかったんだ?」
「はめられたんだよ、俺たちは?」
「ちくしょう!ちくしょう!」
賊たちが馬車の中で嘆く。
ロック達が王都に戻ってきたのは、出撃して五日後だった。
賊は直ちに、地下牢に入れられる。これから、様々な取り調べが待っている。ただ、今回は隣国へ向かう馬車の襲撃の未遂なので、大きな罪、死罪や奴隷に落ちることはない。罪を犯す前に防いだため、償る罪、罰っする罪がないからだ。
ロックは副団長に報告をしに行く
「副団長、ただいま戻りました」
「ご苦労。大変だったなぁ」
「いえ、大きな戦闘もなく、こちらが一方的に賊を無力化しました」
「そうか。事前に知らせが合って、本当に助かったなぁ?」
「・・・はい」
ロックは副団長に報告を終えて、部屋を出てから考える。誰が襲撃のことを陛下に伝えたのか?思い当たるふしはある
「ルセリア嬢か」
アストライア公爵の玄関前で、彼女が大声を上げたところから、今回のことは始まった。
騎士団長や王子、そしてルセリア嬢に尋ねたかったが、今は王都に彼らはいない。
なぜなら、彼らは、自分たちが王都を出発した次の日に隣国へ向かうため旅立ったのだから。
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