64話 ロイスの過去
僕の名前は、ロイス・カシアート、どこにでもいる庶民の子供だ。小さいときから体が弱く、そのため農家の両親の手伝いもできず、僕はずっと両親のお荷物だった。妹は僕と違い健康で、両親の手伝いをして褒められていた。僕はその姿を見るたびに、自分がなさけなくなっていた。
僕の趣味は読書だった。身体を動かせない僕ができるのはそれくらいだったから。最初は、農業の本から読み始めた。これは両親が農家ということもあり、農業に必要な知識の本だった。読んでみると、面白く知らないことを学んでいくことが楽しくなっていった。そして、本の知識をもとに両親に農業のアドバイスができ、褒められることが何よりもうれしかった。
やがて、僕の夢は知識を深め、その知識をもとに新しい農業の開拡、そして両親を助けていけることになていった。知識を深めるためには、独学だけでは限界がある。王国学園に行けば、大きな図書室もあり、より知識を学ぶことができる。僕は王国学園に入学したいことを両親に話した。
次の日には両親が学園に入学するためには試験があり、そのための本を買ってきてくれた。決して安くない本を僕のために買ってきてくれた両親に、とても感謝した。それから僕は、頑張って勉強し、見事学園に入学することができた。
しかし、僕が思っていた学園生活は送ることができなかった。ずっと勉強してきたこともあり、クラスの中でも頭はいい方だった。先生の質問にきちんと答え、宿題もきちんとしてくる。しかし、体育の授業は見学、それがいけなかったのか、僕はクラスの貴族生徒に目をつけられてしまった。
初めは、ちょっと絡まれるだけだったが、日毎に悪化していった。いきなりお腹を蹴られたり、カバンを隠されたり、僕は絶えることしかできなかった。学園生活で2か月が過ぎたころには、すでに学園に行くのが嫌になっていた。それでも、僕のために頑張って、働き授業料を出してくれている家族のことを思うと、行かないわけにないかなかった。
中間試験では、5位をとることができた。心から嬉しいと思った。こうやって結果が出て自分の努力が形になったのだと思った。しかし、それが余計に彼らの癇に障ったのだろう。僕は彼らに呼び出され、また暴力を振るわれた。
しかも、今回は僕だけでなく、両親まで巻き込もうとする。
「ああそうだ、お前、俺の領地の庶民だったなぁ。親父に言ってこいつの両親が仕事できないようにしてやろうかなぁ」
僕は怖かった。僕のせいで両親に迷惑をかけてしまうことが、
貴族の生徒から解放された僕は頭の中で彼らの言葉が何度も浮かんできた。
「消えてくんない」
「消えてくれよ」
自分がどこに向いて歩いているのかわからず、自分の部屋に戻ろうと学生寮の階段を昇っていこうとしたことは覚えている。しかし、気が付くと僕は寮の屋上に来ていた。風が心地いい、夕方になり僕の目には沈む太陽が見える。太陽が沈むあの場所には僕の家族がいるのだろうと思う。
「ごめんね。父さん母さん、サラ、兄ちゃん勉強しかないのに、その勉強でもみんなに迷惑かけることしかできないみたいだ、ほんとにごめん////」
僕は泣きながら前に一歩一歩進んでいく。
「この世界に、・・」
「救いはあります」
僕の言葉を誰かが変わりに言ってくれたのかと思ったが、違う意味になっている。僕は声の主を探す。すると太陽の横に立っていた少女に気づく。深紅の髪が風になびき、青い眼が真剣に僕を見ている。
僕の救世主がそこにいた。
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